僕とオタと姫様の物語
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227 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 04:12
いまさら こんなことを言っても誰も信じないだろうけど、これは体験談です。
当時の時間の流れたままを小説ぽく書いています。
なぜ、そうするかというと、照れもなくなく自分じゃないように書けるからです。
いくつかは もう忘れてしまっていて曖昧で、もちろん脚色もあります。
例えば彼女の口調とか。
実際には もっと今っぽくて、簡潔で、手短で、もっともっと可愛いかった。
ぼくの筆力なんて たかが知れてるので こんな風にしかまとまりません。
メールも ここに書いた何倍もの量を、彼女と そしてオタの間で交わしました。
ありがとう。>>223
じゃあリスタートします。
228 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 04:16
「お腹すいてない?」
「ぺこぺこ。何か食べないと死んじゃう」
おーけい。
ホテルから ちょっと歩くけど、すごく美味しいイタ飯がある。
あたかも詳しいそぶりで説明する。でも実は仕事で何度か行ったことがあるだけ。
店に向かう途中、母から電話があった。食事を作ってるのに父さんまで消えたと抗議の電話。
仕事で6日まで戻れないと手短に説明すると、ため息と空電のノイズ。
良心がちくちくしたから、母の電話を切ったのち弟に
>母さんが風邪。倒れたみたいだ。すぐ帰ってくれ
とメールしておいた。
弟は晦日から彼女の部屋に入り浸り。
ぼくは お金で彼女の側にいれる可哀想な やもめ。
労働と賃金は平均化されるべきなんだよ。弟よ。
ぼくと弟では すさまじい不平等にあるからね。
彼女がニヤニヤしながら、ぼくを見てた。
それから「いいよね。お母さん優しくてさ」と言った。
229 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 04:21
ぼくと彼女の つかの間の仲じゃ当然かもしれないけれど ぼくは彼女の家庭とか いつも暮らしてる環境を知らない。
帰りたくない。と何度か聞いた彼女のセリフを すぐに思い出した。
何かあるんだろうな、と憶測しながらも聞けないしあれこれ考えてから「白と緑って何だったの?」と間抜けな質問をしてしまった。
彼女は笑いながら、「うん。白と淡いグリーン」
ニヤニヤ笑いを浮かべたまま、今夜のお楽しみだと言った。
あ、なるほど、そうか。だったら緑だったのにな。
ぼくの前を走ったり、いきなり腕を組んだり せわしなく歩く彼女を見つめる。
ローライズのデニムに小さい紙のタグが残ってるのに気づいたから彼女の腰に手をまわして、バリっと剥ぎ取ってあげた。
ん?と訝る。
タグ残ってたよ。とぼく。
小さな紙切れには「ミスシックスティーン」と英文で書かれたロゴがピンクの文字で印刷されてた。
16歳ね。
彼女は実際には20くらいなのかもな。妙に大人びてたりするけど15だったりして。
真実は闇の中。最後まで ぼくは彼女の年を知る機会がなかった。
231 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 04:24
店は意外にも人が多かった。
はぁ。予約しといて正解だった。3日だから。という理由は都心じゃ関係ないのか。
席に案内されると、コートを店員に渡した彼女が
「ヒロってさ。実は すごく遊んでるでしょ」
と言った。
これには笑った。
実は、と彼女が言ったのには、見かけと違ってというニュアンスが強く含まれてて喪男なのに なんでこんなとこ知ってるの?と言いたげだった。
「いや、仕事でさ」と正直に答える。
でも、彼女には それが真実とは伝わらないだろうな。
ぼくは彼女の頭の中で ちょっぴり再構築され、彼女の男を見る目が やや改善される。
そんな馬鹿げたことを想像して笑ってしまった。
ぼくは姫様が推測するままの男。
食卓には高そうな分厚い刺繍のクロスが2枚かけられてて店員が運んできたパンをぼくが いくつか選ぶと直接クロスに無造作に並べられた。
彼女が好奇心に溢れた子供っぽい熱い視線で、給仕の手の動きを追う。
「食べてもいいのかな?」
「もちろん」とぼく。
「コーヒーとか先に もらう?」
「ん~。お酒飲みたい」
「好きなワインとかある?」
「よくわかんない」
ぼくもよく分からないから、給仕に選んでもらった。
パンを千切る彼女の手の動きは子供みたいに元気で蝋燭の明かりと飲めないお酒で ぼんやりしながら ぼくは彼女の指先から肩華奢な鎖骨から首すじ そして唇が上下する様を見つめてた。
綺麗だよ。姫様。ここで食べたいよ。
234 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 07:37
メインが運ばれてきたあたりから ふたりとも無口になって、それこそ食事に夢中になった。
なにしろ飢えてたし、こんな美味いとこ滅多に来れないし。
食事の後 ぼくはエスプレッソ
彼女は飲み続け、デザートに手をつけないで そこからワインを もう1本空けた。
彼女がテーブルに だらっと、でも心地よさげに投げ出した手を握った。
閉じていた目をさっと開いて「どうしたの?」と小声で言う。
「綺麗だな。と思ってさ」
彼女の唇が左右へ引っ張られて、柔らかな笑顔、形のいいハイフンが作られると彼女は突然テーブル越しにヘッドバッドしてきた。
彼女は美味しい食事を心の底から楽しんでて こういう店で みょうに かしこまったり、ぎくしゃく上品に振舞ったりしないで気後れすることもなく、ぼくといることを 仕事と割り切ってないように見え しかもリラックスしていた。
やばいな。ほんとうに やばい。
好きになってしまいそうだ。心底。
彼女は、はたと自分の前に置かれたケーキに気づいたかのように それを しげしげと眺め、それから つつっとぼくの方へ押し出した。
「どうした?」
「ケーキ嫌い」
と彼女。
「甘いの嫌いなの?」
「甘いの好きだけど、ケーキは嫌い」
しめたとばかりに2つめのケーキを頬張るぼく。
2杯目のエスプレッソを飲み出したあたりで ぼくは だしぬけに気づいた。
彼女の首筋とか衣類にかすかに残った あの香り。
バニラエッセンス。
すると彼女の実家は菓子屋なんだろうか。いや、それにしてもバニラエッセンスの匂いって そんな強いのか?
バニラエッセンスの匂いだけ付着するものなのか?
彼女は菓子屋を経営する両親と上手く折り合ってない?だからケーキが嫌い?
「さきっちょだけ かじらせて」
そう言って手を伸ばした彼女の一言で、ぼくの推理は跡形もなく消し飛んだ。
235 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 07:45
気分よく店を出て、それからタクを拾おうとすると彼女が制した。
次は わたしが案内すると言い、まだ飲み足りないと付け加えた。
彼女の手を握り、ゆるやかに蛇行しながら繁華街からは逸れた方へと向かう。
夜風が気持ちよくて、珍しく彼女は身の上話をした。
「ヒロには優しいお母さんがいていいね」と。
「わたしね、お父さんには もうずっと会ってないんだ」と。
向かった店は青白く光る模造真鍮の路上行灯が出ていて、いかにも今っぽい安普請な、でも かっこいい造りで中は雑誌の中でしか見たことのないようなおねえさんが沢山いた。
これじゃ場違いだ。ぼくがいていいような場所じゃない。
カウンタの一番奥のさらに その奥のテーブル席に座ると すぐにホールのおねえさんがやって来て注文を急かされた。
肌がプラスチックみたいな、均一の茶色。染みひとつない。
頭も小さくて髪を後ろにひっ詰めてるせいで黒人女性のように見える。
白いストライプの入った黒の光沢のあるジャージ。
お腹は むきだしで、美しい筋肉で覆われている。
ジンジャエルとカルアミルクを注文して、それからやけに恥ずかしくなった。
「ここね、変なやつがあんまりいないし、朝までやってるし、店員がちゃんとしてるから ひとりで酔っても平気」
変なやつに何かされるんだろうな。彼女が酔ってると。
それから10分もしないで彼女は すやすやと寝息を立て始めた。
ワイン2本のうち1本と半分は彼女の胃袋の中。
そりゃ寝ちまうか。
テーブルで勘定を済ませて、彼女を連れ出そうと抱えあげると店内の客から、おおっ、と声が上がった。
内心ぼくは、彼女がダウンしてしまったせいで、心細かった。
こんな場違いな場所に ひとり残された心境で臆病になり、早く退散したかった。
別に気取って お姫様だっこしたわけじゃないんだけど、妙な焦りで思わず やってしまったんだと思う。完全にキョドってしまってた。
ホールの女の子が気を利かせて、彼女のコート、ウサギ毛の手首がふくらんだ灰色のプードルみたいな毛の塊とバッグを運んでくれ おまけにドアまで開けてくれた。
「お気をつけて」と言ってくれたホールの女の子の口調は機械的で見透かされたような気分が和らいで、それが せめてもの救いだった。
236 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 07:53
店を出ても彼女は いっこうに起きる気配がなく タクが通るまで彼女を抱え上げたまま待つことなった。
ちっとも苦痛じゃなかった。
彼女は軽かったし、感触は心地よかったし、彼女の髪に顔を近づけたりもできた。
背後で さっきいた店の音楽と ざわめきが大きく聞こえたので振り返るとドアが内側にやや開いたようだった。音が漏れたんだ。
次に、ドアが大きく開かれ、あの女の子が走ってやってくると
「これ、りかに渡して上げてください」と言って一枚のフロッピィを彼女のバッグに押し込んだ。
タク呼びます?と言ってくれたけど、丁寧に辞退して、大きい通りまで歩くことにした。
タクはすぐに捕まり、彼女を乗せるとき
「りか。タクシー来たよ。これから帰るよ」
とわざと彼女の名を入れて話しかけた。
彼女は一瞬 目を開いてぼくの顔を確認したけど、すぐに興味を無くて また深く眠った。
りかっていうのか。どういう字なんだろう。
いや、それすら偽名なのかもな。
道路は渋滞ぎみで、ホテルに到着するまで けっこうな時間がかかった。
ぼくも いつの間にか眠ったようで、運転手にホテルの近くで起こされた。
場所をそう指定したので、ホテルのロビーに横付けな間抜けは避けることができたわけだ。
部屋に戻って2時間ほど眠った。
寝苦しくて目が覚めたんだけど、彼女が しがみついてきてたせいで寝汗をかいてた。
そういえば、着替えとか用意してなかったんだよな。
シャワーを浴びてクロゼットからバスローブを取り出して着た。
鏡に映すと笑えるくらい似合ってなかった。
服だけでも取替えに朝早くにでも家にもどるか。
そんなことを考えながら、寝てる彼女を ひっくり返し、服を脱がせブラだけ取ってシーツで くるんだ。
彼女の下着は真珠貝の殻のような曲線が刻まれていて白で その下着に包まれて横たわる彼女は おそろしく魅力的だった。
でも酔って寝てるし、まぁ仕方ないか。
煙草を吸ってから、彼女のバッグからフロッピィを取り出した。
ぼくは誰か他人の持ち物をひっかき回したりなんて普段しない。けど、不思議と罪悪感は なかった。
フロッピィの中には、10kの画像ファイルが3つ。
拡張子はgifでブラウザでロードすると真っ黒な画面。
またまたオタに登場願うか。
いまさら こんなことを言っても誰も信じないだろうけど、これは体験談です。
当時の時間の流れたままを小説ぽく書いています。
なぜ、そうするかというと、照れもなくなく自分じゃないように書けるからです。
いくつかは もう忘れてしまっていて曖昧で、もちろん脚色もあります。
例えば彼女の口調とか。
実際には もっと今っぽくて、簡潔で、手短で、もっともっと可愛いかった。
ぼくの筆力なんて たかが知れてるので こんな風にしかまとまりません。
メールも ここに書いた何倍もの量を、彼女と そしてオタの間で交わしました。
ありがとう。>>223
じゃあリスタートします。
228 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 04:16
「お腹すいてない?」
「ぺこぺこ。何か食べないと死んじゃう」
おーけい。
ホテルから ちょっと歩くけど、すごく美味しいイタ飯がある。
あたかも詳しいそぶりで説明する。でも実は仕事で何度か行ったことがあるだけ。
店に向かう途中、母から電話があった。食事を作ってるのに父さんまで消えたと抗議の電話。
仕事で6日まで戻れないと手短に説明すると、ため息と空電のノイズ。
良心がちくちくしたから、母の電話を切ったのち弟に
>母さんが風邪。倒れたみたいだ。すぐ帰ってくれ
とメールしておいた。
弟は晦日から彼女の部屋に入り浸り。
ぼくは お金で彼女の側にいれる可哀想な やもめ。
労働と賃金は平均化されるべきなんだよ。弟よ。
ぼくと弟では すさまじい不平等にあるからね。
彼女がニヤニヤしながら、ぼくを見てた。
それから「いいよね。お母さん優しくてさ」と言った。
229 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 04:21
ぼくと彼女の つかの間の仲じゃ当然かもしれないけれど ぼくは彼女の家庭とか いつも暮らしてる環境を知らない。
帰りたくない。と何度か聞いた彼女のセリフを すぐに思い出した。
何かあるんだろうな、と憶測しながらも聞けないしあれこれ考えてから「白と緑って何だったの?」と間抜けな質問をしてしまった。
彼女は笑いながら、「うん。白と淡いグリーン」
ニヤニヤ笑いを浮かべたまま、今夜のお楽しみだと言った。
あ、なるほど、そうか。だったら緑だったのにな。
ぼくの前を走ったり、いきなり腕を組んだり せわしなく歩く彼女を見つめる。
ローライズのデニムに小さい紙のタグが残ってるのに気づいたから彼女の腰に手をまわして、バリっと剥ぎ取ってあげた。
ん?と訝る。
タグ残ってたよ。とぼく。
小さな紙切れには「ミスシックスティーン」と英文で書かれたロゴがピンクの文字で印刷されてた。
16歳ね。
彼女は実際には20くらいなのかもな。妙に大人びてたりするけど15だったりして。
真実は闇の中。最後まで ぼくは彼女の年を知る機会がなかった。
231 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 04:24
店は意外にも人が多かった。
はぁ。予約しといて正解だった。3日だから。という理由は都心じゃ関係ないのか。
席に案内されると、コートを店員に渡した彼女が
「ヒロってさ。実は すごく遊んでるでしょ」
と言った。
これには笑った。
実は、と彼女が言ったのには、見かけと違ってというニュアンスが強く含まれてて喪男なのに なんでこんなとこ知ってるの?と言いたげだった。
「いや、仕事でさ」と正直に答える。
でも、彼女には それが真実とは伝わらないだろうな。
ぼくは彼女の頭の中で ちょっぴり再構築され、彼女の男を見る目が やや改善される。
そんな馬鹿げたことを想像して笑ってしまった。
ぼくは姫様が推測するままの男。
食卓には高そうな分厚い刺繍のクロスが2枚かけられてて店員が運んできたパンをぼくが いくつか選ぶと直接クロスに無造作に並べられた。
彼女が好奇心に溢れた子供っぽい熱い視線で、給仕の手の動きを追う。
「食べてもいいのかな?」
「もちろん」とぼく。
「コーヒーとか先に もらう?」
「ん~。お酒飲みたい」
「好きなワインとかある?」
「よくわかんない」
ぼくもよく分からないから、給仕に選んでもらった。
パンを千切る彼女の手の動きは子供みたいに元気で蝋燭の明かりと飲めないお酒で ぼんやりしながら ぼくは彼女の指先から肩華奢な鎖骨から首すじ そして唇が上下する様を見つめてた。
綺麗だよ。姫様。ここで食べたいよ。
234 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 07:37
メインが運ばれてきたあたりから ふたりとも無口になって、それこそ食事に夢中になった。
なにしろ飢えてたし、こんな美味いとこ滅多に来れないし。
食事の後 ぼくはエスプレッソ
彼女は飲み続け、デザートに手をつけないで そこからワインを もう1本空けた。
彼女がテーブルに だらっと、でも心地よさげに投げ出した手を握った。
閉じていた目をさっと開いて「どうしたの?」と小声で言う。
「綺麗だな。と思ってさ」
彼女の唇が左右へ引っ張られて、柔らかな笑顔、形のいいハイフンが作られると彼女は突然テーブル越しにヘッドバッドしてきた。
彼女は美味しい食事を心の底から楽しんでて こういう店で みょうに かしこまったり、ぎくしゃく上品に振舞ったりしないで気後れすることもなく、ぼくといることを 仕事と割り切ってないように見え しかもリラックスしていた。
やばいな。ほんとうに やばい。
好きになってしまいそうだ。心底。
彼女は、はたと自分の前に置かれたケーキに気づいたかのように それを しげしげと眺め、それから つつっとぼくの方へ押し出した。
「どうした?」
「ケーキ嫌い」
と彼女。
「甘いの嫌いなの?」
「甘いの好きだけど、ケーキは嫌い」
しめたとばかりに2つめのケーキを頬張るぼく。
2杯目のエスプレッソを飲み出したあたりで ぼくは だしぬけに気づいた。
彼女の首筋とか衣類にかすかに残った あの香り。
バニラエッセンス。
すると彼女の実家は菓子屋なんだろうか。いや、それにしてもバニラエッセンスの匂いって そんな強いのか?
バニラエッセンスの匂いだけ付着するものなのか?
彼女は菓子屋を経営する両親と上手く折り合ってない?だからケーキが嫌い?
「さきっちょだけ かじらせて」
そう言って手を伸ばした彼女の一言で、ぼくの推理は跡形もなく消し飛んだ。
235 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 07:45
気分よく店を出て、それからタクを拾おうとすると彼女が制した。
次は わたしが案内すると言い、まだ飲み足りないと付け加えた。
彼女の手を握り、ゆるやかに蛇行しながら繁華街からは逸れた方へと向かう。
夜風が気持ちよくて、珍しく彼女は身の上話をした。
「ヒロには優しいお母さんがいていいね」と。
「わたしね、お父さんには もうずっと会ってないんだ」と。
向かった店は青白く光る模造真鍮の路上行灯が出ていて、いかにも今っぽい安普請な、でも かっこいい造りで中は雑誌の中でしか見たことのないようなおねえさんが沢山いた。
これじゃ場違いだ。ぼくがいていいような場所じゃない。
カウンタの一番奥のさらに その奥のテーブル席に座ると すぐにホールのおねえさんがやって来て注文を急かされた。
肌がプラスチックみたいな、均一の茶色。染みひとつない。
頭も小さくて髪を後ろにひっ詰めてるせいで黒人女性のように見える。
白いストライプの入った黒の光沢のあるジャージ。
お腹は むきだしで、美しい筋肉で覆われている。
ジンジャエルとカルアミルクを注文して、それからやけに恥ずかしくなった。
「ここね、変なやつがあんまりいないし、朝までやってるし、店員がちゃんとしてるから ひとりで酔っても平気」
変なやつに何かされるんだろうな。彼女が酔ってると。
それから10分もしないで彼女は すやすやと寝息を立て始めた。
ワイン2本のうち1本と半分は彼女の胃袋の中。
そりゃ寝ちまうか。
テーブルで勘定を済ませて、彼女を連れ出そうと抱えあげると店内の客から、おおっ、と声が上がった。
内心ぼくは、彼女がダウンしてしまったせいで、心細かった。
こんな場違いな場所に ひとり残された心境で臆病になり、早く退散したかった。
別に気取って お姫様だっこしたわけじゃないんだけど、妙な焦りで思わず やってしまったんだと思う。完全にキョドってしまってた。
ホールの女の子が気を利かせて、彼女のコート、ウサギ毛の手首がふくらんだ灰色のプードルみたいな毛の塊とバッグを運んでくれ おまけにドアまで開けてくれた。
「お気をつけて」と言ってくれたホールの女の子の口調は機械的で見透かされたような気分が和らいで、それが せめてもの救いだった。
236 名前:70 ◆DyYEhjFjFU 投稿日:04/09/02(木) 07:53
店を出ても彼女は いっこうに起きる気配がなく タクが通るまで彼女を抱え上げたまま待つことなった。
ちっとも苦痛じゃなかった。
彼女は軽かったし、感触は心地よかったし、彼女の髪に顔を近づけたりもできた。
背後で さっきいた店の音楽と ざわめきが大きく聞こえたので振り返るとドアが内側にやや開いたようだった。音が漏れたんだ。
次に、ドアが大きく開かれ、あの女の子が走ってやってくると
「これ、りかに渡して上げてください」と言って一枚のフロッピィを彼女のバッグに押し込んだ。
タク呼びます?と言ってくれたけど、丁寧に辞退して、大きい通りまで歩くことにした。
タクはすぐに捕まり、彼女を乗せるとき
「りか。タクシー来たよ。これから帰るよ」
とわざと彼女の名を入れて話しかけた。
彼女は一瞬 目を開いてぼくの顔を確認したけど、すぐに興味を無くて また深く眠った。
りかっていうのか。どういう字なんだろう。
いや、それすら偽名なのかもな。
道路は渋滞ぎみで、ホテルに到着するまで けっこうな時間がかかった。
ぼくも いつの間にか眠ったようで、運転手にホテルの近くで起こされた。
場所をそう指定したので、ホテルのロビーに横付けな間抜けは避けることができたわけだ。
部屋に戻って2時間ほど眠った。
寝苦しくて目が覚めたんだけど、彼女が しがみついてきてたせいで寝汗をかいてた。
そういえば、着替えとか用意してなかったんだよな。
シャワーを浴びてクロゼットからバスローブを取り出して着た。
鏡に映すと笑えるくらい似合ってなかった。
服だけでも取替えに朝早くにでも家にもどるか。
そんなことを考えながら、寝てる彼女を ひっくり返し、服を脱がせブラだけ取ってシーツで くるんだ。
彼女の下着は真珠貝の殻のような曲線が刻まれていて白で その下着に包まれて横たわる彼女は おそろしく魅力的だった。
でも酔って寝てるし、まぁ仕方ないか。
煙草を吸ってから、彼女のバッグからフロッピィを取り出した。
ぼくは誰か他人の持ち物をひっかき回したりなんて普段しない。けど、不思議と罪悪感は なかった。
フロッピィの中には、10kの画像ファイルが3つ。
拡張子はgifでブラウザでロードすると真っ黒な画面。
またまたオタに登場願うか。
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