破局か再構築か
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「俺も着いた、いつもの車だ」
妻の歩いて行く方向には一台の車が停まっていた。
その車は、自家用車ではなく社用の車だった。
その会社名は予想していた通り妻がパートとして働いている会社の名前だった。
妻が車に乗り込み発進したのを確認し、私も後を追う。
数十分も走っただろうか、気付くとあたりはホテル街になっていた。
車は一軒のホテルに入って行った。
このままだとしっかりと確認が取れないため 私も中に入った。
気付かれてしまう恐れがあったが、すぐに空きスペースに車を停め、妻と尾田を探した。
出入り口付近に停まった車から、二人が降りホテルに入っていく。
その様をビデオで撮る事に成功した。
待っている間の時間は、永遠にも似たような長く そして悲しいものだった。
しかし、人間とは不思議なもので自分のすべき事はしっかりと行っていた。
2時間後妻と尾田がホテルから出て来た所をビデオに収める。
「やっと終わった」
仕事でも感じたことの無い疲労感が残っていた。
早速ビデオに全て収まっているかを確認する。
妻が車に乗り込む所から、ホテルに入る所。そして出てくる所をしっかりと撮れているのを確認し、私もホテルを出て、まずレンタカーを返却に行った。
しかし、それからの事はあまり覚えていない気が付くと家の前に立っていたのだ。
私「ただいま」
妻「お帰りなさい」
やはり妻は少し疲れた顔をしている。
しかし今は、ビデオを見せなければならない深く空気を吸い妻に声をかけた。
私「なぁ、ちょっと見て欲しいものがあるんだけど」
妻「何を見るの?」
私「まぁ、いいからここに座って」
妻をソファーに座らせ、ビデオカメラとテレビをケーブルで繋ぎビデオを再生させた。
次第に妻の表情が変わって行くのがわかったが、しかし私は、無言でビデオが終わるのを待った。
ビデオが終わる頃には、妻は泣いていた。
そして「ゴメンなさい」と繰り返し謝っている。
私「どうしたい?」
妻「・・・」
私「コイツの事が好きなのか?」
妻「・・・」
私「俺と別れたいのか?」
妻「・・・いいえ」
私「何がいいえなんだ?」
妻「貴方と・・・別れたくない」
私「ならどうしてこんな事をしたんだ?」
妻「ゴメンなさい、本当にゴメンなさい」
私「それじゃわからないだろ、なぜこんな事になったかを説明するんだ」
そこから妻が少しずつ話し始めた。
まず尾田との関係は妻がパートに出ている会社で営業を担当しているのが尾田であった。
最初に尾田と関係を持ったのは、半年前にあった会社の飲み会の日だそうだ。
妻は、散々酒を飲まされ気が付いた時には既にホテルの部屋のベットの上だったらしい。
私「酒の過ちは仕方がないにしても、何故関係を続けたんだ?」
妻「・・・携帯カメラで撮られて、もし言う事を聞かないなら貴方にバラすと」
私「じゃ脅されていたのか?」
妻「・・・はい」
私「なら俺とは離婚する気はないんだな」
妻「はい、でも貴方は私がした事を許せるの?」
私「今はよくわからない、それよりも尾田の事を詳しく聞かせてくれ、奴は結婚してるのか?」
妻の話によると、
本名「尾田正明」年齢「28」で未婚、妻には私と別れ結婚してくれと言い続けていたみたいだ。
私は、尾田と話をするために明日妻のパート先に向かう事にした。
それまでは妻の携帯を没収し、私が預かる事にした。
--------------------
水曜日
夕方、妻のパート先の会社に向かい、尾田が退社してくるのを待った。
妻から聞いた退社時刻を少し過ぎてから尾田が現れた。
尾田は中肉中背で背は私よりも低く170cm前後だろうか、近づく私に尾田はまったく気付いていなかった。
私「アナタが尾田さんですか?」
私を不審そうに見ながら尾田がボソッと答える。
尾田「そうだけど、アンタは?」
私「理香の旦那です、なぜ私が来たかわかりますか?」
尾田「・・・」
私「ここでは話もし辛いので、移動しましょうか」
会社近くの喫茶店に入る。
私「先程も伺いましたが なぜ私が来たかおわかりですね?」
尾田「・・・」
私「黙っていても終わりませんよ、単刀直入に聞きます、アナタは理香と関係を持っていましたね」
尾田「・・・」
私「黙るしかないですよね、脅してたんですから」
尾田「おっ脅してなんかいない、同意の元に関係を持ったんだ」
私「なら関係があった事は認めるんですね?」
尾田「・・・あぁ認めるさ、俺達は結婚するんだからな」
私はどうしても確認したい事があった。
それは妻が本当に脅されていたのかどうか。
そこで一つの賭けに出ることにした。
私は少し驚いた口調で喋った。
私「理香もそう言っていたのですか?もしそうならなぜアナタと結婚したいと?」
尾田の表情が一瞬緩んだ。
尾田「あぁそうさ、理香も俺と結婚したいと言っていたよ。
アンタと一緒に居てもアンタは種無しだから子供が産めないからってな。
だから俺達はいつも中出しでやってたんだよ。
子供をつくれば嫌でもアンタとは別れられると思ってな」
しかし、この男は よくもここまで強気に出れるものだと、なぜか冷静に思う私がいた。
私「なぜ私が種無しだと?理香がそう言っていたのですか?」
尾田「いや聞いたのは理香の知り合いの真理子からだよ」
「真理子」という人物は、妻に今のパート先を紹介した妻の友達で真理子自身も社員として働いています。
私の知る限り妻の良い友達ですが、少し口が軽いのがたまに傷と妻も笑いながら以前言っていました。
しかし今回は、この真理子のお陰で妻が本当に尾田に脅されていたと確信を持つ事が出来ました。
私「そうですか、わかりました今度、妻を連れて3人で話し合いたいのですが、時間を作ってもらえますか」
尾田「あぁいいだろ、今週の日曜はどうだ」
私「では今日はこれでお引取り下さって結構です」
なぜ私がこんな低姿勢なんだろうか。いや、今はそんな事はどうでもいい 妻が本当に脅されていたと確信を持てたのだから。
尾田が店を出た事を確認し、隠し持っていたICレコーダーを取り出すと、しっかり録音出来たかを確かめ、私も店を出た。
なぜ私が「妻は脅されていて関係を持った」と確信を持てたのかと言うと、それは私が「種無しではない」からです。
ではなぜ私が種無し扱いなのか、その理由は妻にあります。
実は、私達夫婦は子供を望んでいました。
しかし、なかなか子宝に恵まれず、二人で病院に行った結果、妻が不妊であると判明したのです。
本来ならば、隠す必要はあまりないのかもしれませんが妻は自分の体が子供を産めないと知って精神的に相当参っていました。
そこへ私達両親の「子供はまだか?」という声が聞こえ出し、このままでは、本当に妻が精神的におかしくなると判断し「私が種無しだから子供が出来ない」という事にしました。
両親も当初は驚いていましたが、私達夫婦にはそれぞれ兄弟がいて既に子供もいます。
つまり、私達の両親にとっては孫がいるので、それ以上はあまり言ってこなくなり、なんとか乗り切り事が出来ました。
そして、この話をした人物がもう一人います。それが真理子でした。
何故、真理子にこんな話をしたかと言うとそれは両親の時と同じ理由です。
今思えば この頃から私達夫婦は少しずつすれ違いだしたのかもしれません。
いえ私の方が勝手に妻と距離を取り 妻を避けていたのです。
そんな結果今回のような問題が起きたのでしょう。
そんな事を考えながら私は帰路に着きました。
--------------------
家に入る、しかし電気は点いていなかった。
私「電気も点けないでどうした?」
妻「・・・」
妻は少し泣いてるようだ、私は部屋の明かりを点け録音した尾田との会話を妻に聞かせた。
妻は俯きながら聞いている。
しかし、尾田が私を「種無し」と罵倒した所で妻は顔を上げ泣きながら「ゴメンなさい」と何度も私に謝ってきた。
妻「・・・本当にゴメンなさい、私のせいでこんな・・・」
私「いや、それは別にいいんだ、それより理香は本当に私と別れたくないのか?」
妻「はい、アナタと一緒にいたい、自分の犯した罪の重さもわかっています。都合の良い事を言ってるのもわかっています。でも本当にアナタと一緒にいたい」
よく女の涙は武器と聞きます。
しかし、私には妻が嘘を言ってるとは到底思えませんでした。
いえ、正確には この言葉が嘘でも騙されてもいいと、そう思いました。
そんな事を考えながら、私は喋り出しました。
私「・・・私は仕事を理由に ずっと君を一人にしてきた。
今回の問題も、最初はそのせいで君が不倫をしたんだと思っていた。それに不倫をされても仕方がないとも思っていた。
でも、この問題を探る間に、私は理香の事を愛してるんだと気付いた。
私こそ都合の良い男だよ。でも もしこんな私でもいいと思うのなら もう一度やり直さないか?」
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