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戦い
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その内、座敷机に肘を乗せて、前屈みの格好になって話を聞き出したので、私からはブラジャーと白く柔らかそうな胸の膨らみが見え、気になって仕方が有りません。


「この様な質問はし難いのですが、妻との事が分からなくなっていて、出来れば教えて欲しいと思いまして。思い切って聞きます。

興味半分で聞くのではないので、嫌な奴だと思わないで下さい。

前回お会いした時に、野田さんだけを思って生きて行くと言ってみえましたが、気持ちはそうでも、身体が、何と言うか、寂しくて、そのー。」


この様な質問が出来たのも、やはり美代子さんの事を軽く思っていたからでしょう。


「私にも責任が有るので、何でも聞いて下さい。お聞きになりたい事は分かります。

主人に知られて先生と別れてから、身体が寂しくて誰かに抱かれたいと思った事は、何度も有ります。

正直、先生との事を思い出した事も有ります。特に離婚してからは、誰でも良いから抱いて欲しいと思う夜もしばしばです。

ふしだらな女だと思われたでしょ?」


話を聞いている間、どうしても胸に目が行ってしまい、それに気付いて顔を上げると、美代子さんと目が合ってしまいましたが、彼女は少し微笑んだ気がしました。

私は慌てて質問を続け。


「野田さんに抱かれたいと思った事は無いのですか?」


「勿論あります。発覚してから1番抱かれたいのはあの人でした。

でも無理だと思っていたので、愛しているのは、あの人でも、先生との事を思い出してしまう事も有りました。」


美代子さんが淫乱に見えて、普通ではとても聞けない事も聞いてしまいます。


「野田さんより、先生とのセックスの方が良かったのですか?」


「あの人との関係は、ほとんど私が受身でした。年下で経験も無かった先生には、イヤらしい事も積極的に出来たし、イヤらしい言葉も平気で言えました。あの人はノーマルだったので・・・・・。」


『野田がノーマル?』思わず口から出そうになりましたが、その言葉を飲み込みました。

野田は、美代子さんには、妻にしていた様な行為をしていなかったのでしょうか?

美代子さんに裏切られた事で、最初、妻を美代子さんの代わりだと思って、虐めて喜びを得るようになったのでしょうか?そうかも知れません。

現に私も、妻を言葉で虐める事は出来ても、その様な事はする気になれません。実際には出来ませんが、美代子さんになら してみたい願望は有ります。

美代子さんが大きく足を開いた格好に縛られて、色んな道具を使われているのを想像しただけで、言い表せない興奮が有ります。

野田も同じだったのではないかと想像出来ます。


そんな事を考えながら、また美代子さんの胸に目が行っていたので、立ち上がれば、興奮が分かってしまう状態になっていた為に帰れず、



美代子さんを押し倒して、あの白い胸にむしゃぶり付きたい感情を抑え、どうにか違う話題に持っていって、必死に私の物を鎮めました。


家に戻り、寝室でベッドに寝転んで、今日の事を考えていました。

美代子さんの服装。ボタンを外していた事。話の内容。

私に覗かれていると気付いていたはずなのに、前屈みの姿勢だった事など、冷静に考えると、どれを取っても私を誘っていたのかも知れません。

いいえ、冷静に考えなくても、美代子さんと会っている間、ずっとそう思っていたはずです。

後の事を考えると、野田たちの離婚に至った経緯を考えると、私に勇気が無かっただけです。今誘えば、美代子さんと関係を持てると考えていたはずです。

見送りに出てくれた、美代子さんの落胆したような表情から考えても、誘われていた様に思います。

美代子さんに恥を掻かせてしまったのでしょうか?いいえ、据え膳食わぬは男の恥で、私が恥を掻いてしまったのでしょうか?

そのような事を考えている内に美代子さんの白い胸が、はっきりと脳裏に浮かび、

まだ午後4時だというのに、妻に鍵を閉めて寝室に来るように言い、引き千切る様に服を脱がせて荒々しく欲望を妻にぶつけました。

乱れていた妻の呼吸が収まると。

「あなた、どうしたの?何か有ったのですか?」


「いや、別に。美鈴は、いやだったのか?気持ち良くなかったか?」


「いいえ。凄く良かったです。嬉しかったです。」


興奮の冷めない私は、夜も関係を持ちました。

興奮している妻は私の上で、自分では気付かない内に野田に仕込まれた腰の使い方をしていましたが、美代子さんの事で頭がいっぱいの私は、野田の事を思い出す事は有りませんでした。


しかし、後からしていた時に、膝と顔で身体を支える格好になり、縛られてもいないのに自分から、両腕を背中で交差させたのを見た時は、流石に野田の事を思い出しましたが、

今日見た美代子さんの刺激の方が強く、萎える事は無く、何度か妻の最後の言葉を聞いてから、背中に欲望を吐き出しました。


興奮が冷めた後、旅行の時と同じで虚しさが残りました。これではまるで、美代子さんを思って自分でしているのと同じです。私の右手の代わりを妻がしているのと同じです。

前回会った時には、野田だけを思っている様な事を言っていた美代子さんが、私を誘っていたのだとしたら、妻も私に隠れて、その様な事をする可能性が有ると言う事でしょうか?

また不安が大きくなって来ました。

今まで強がって生きて来ましたが、ここまで心配性で気が小さい男だとは、自分でも気付きませんでした。

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9月18日(木)

今日は、午前中に仕上げるはずの書類が出来ずに昼食が遅れ、部下と2人で遅い食事に行って会社に戻る途中、

横断歩道で信号が変わるのを待っていると、助手席に妻を乗せた商用車が前を通り過ぎて行き、妻は運転している男の方を向いて、笑いながら仕切りに何か話していたので、私に気が付きませんでした。

妻に気を取られていてはっきりは分かりませんでしたが、運転していたのは野田だった様な気がします。

それからの私は、落着かず、仕事を定時で切り上げて家に帰ると、私よりも勤め先が近いので、普段なら夕食の準備をしているはずの妻は、まだ帰っていませんでした。

それから30分ほどして帰って来た妻は。

「今日は早いのですね。どこか身体の具合でも悪いのですか?いつもより帰りが遅くなってしまって、ごめんなさい。」


「どこかで道草でもしていたのか?」


「今日は、企画した商品の見本が出来上がって来たのですが、思っていた物と少し違うので、修正してもらっていて遅くなってしまいました。

すみませんでした。お腹が空いたでしょ?今すぐに作りますから、先にお風呂にして下さい。今仕度します。」


お風呂でお湯に浸かりながら、今日見た事をどの様に切り出そうかと考えていた時、

ふと、この様な思いをしてまで、なぜ仕事を辞めさせないのかと自問自答していました。

今までは、経済的な事と、仕事を辞めさせても会おうと思えば会う事は出来るので、妻自身が断ち切らなければ同じ事だからという理由でしたが、よく考えてみると それだけでは無い様な気がします。

私は、対外的には割りと威張っていました。妻も良く尽くしてくれて、私を立ててくれました。他人から見ると亭主関白に見えたかもしれません。

しかし 妻もある程度の収入が有り、その上 家事までこなしていたので、私の中にどこか妻には頭が上がらない所が有りました。

それが今回の事で、夫婦の間では気持ち的に私が優位な立場になり、不安が有るくせに、この状態を続けたい気持ちも、少しは有ったように思います。

今までは妻にも働いてもらっているという思いが有りました。しかし今は、好きな仕事を続けさせてやっているという思いに変わっています。

こんな危険を冒してまで、こんなに嫌な思いをしてまでその様な小さな事に拘っている、本当に器の小さい男です。


お風呂を出ると妻は、夕食の仕度をしていました。私は、冷蔵庫から缶ビールを出して飲みながら。

「企画課にいると、自分達が企画した物を商品化する時、メーカーに出向く事も多いのか?」

何でもストレートに聞くのが1番良いと分かっていても、今の私には出来ません。


「いいえ。時には行く事も有りますが、ほとんどはこちらに来てくれます。私が行くのは、月に1度有るか無いかです。」


「1人で行くのか?」


「いいえ。必ず2人で行きます。」


「そうか。俺も昔、女子社員と外回りをした事が有ったが、あれは傍目で見るより嫌な物だな。」


「そうですか?私は仕事と割り切っていますから、さほど感じませんが。」


「慣れればそうでも無いだろうが、最初は妙に意識してしまって何か落着かなかった。

普通でもそうなのに、以前 体の関係が有った者同士だと、尚更気まずいだろうな。

いや、逆か。話題が色々有って、楽しい時間かもしれないな。

昔の話題で盛り上がり、気が付けばいつの間にかホテルにに入っていたりして。



特に相手が課長クラスだと、どの様な言い訳も出来る。

仕事の話を早く切り上げて帰りにホテルで楽しんでも、話が長引いたと言えば文句の言える奴は誰もいない。

まあ、そんな不真面目な奴はいないか。」



妻の夕食を作る手が止まりました。

「美鈴、俺の会社から1本南の大きな通り沿いに、美味い定食屋が出来てな。そこは昼飯を3時までやっている。

お前もあの通りを通る事が有るようだから、一度寄ってみろ。値段も安くて美味いぞ。

もう準備してくれているのに悪いが、昼飯が遅かったから夕飯はいい。

もう1缶ビールを貰っていく。」


ビールを持って寝室に行き、何を見る訳でも無いのですがテレビを点け、余裕が有る振りをしてビールを飲んでいましたが、内心は妻が言い訳に来るのを、今か今かと待っていました。


本当に何も無かったのか気が気では有りませんでした。

私は、この様な人間では無かったはずです。

まだ怒りを素直に表していた頃は良かったのですが、こんな嫌味な事をする様になってしまいました。妻を虐める事が上手くなってしまいました。

しばらくして、エプロンを外した妻が入って来ましたが、私は、妻の方を見ずに、テレビを見ている振りを続けていると。


「あなた、お話が。今日私は課長と2人でメーカーへ行きました。でも本当に仕事だけで、他には何も有りません。疚しい事は何もしていません。本当です。」


「そうか。それならいいじゃないか。仕事なら仕方が無い。」


「嫌です。あなたはそう思っていない。」


「それなら聞くが、車の中ではどの様な話をした?」


「ほとんど仕事の話ばかりです。」


「そうか。お前の会社は楽しそうでいいな。笑いながら仕事の話が出来るんだ。俺に気付かないほど楽しそうに話せる仕事が有るんだ。

羨ましい。俺の所では喧嘩腰になる事は有っても、笑いながら出来る仕事は無いからな。」


「ごめんなさい。全て仕事の話だけでは無いです。でも本当に企画した商品の話がほとんどです。」


「分かった。それでいい。

仕事以外の話はしませんと、2人とも約束した様に思っていたが、あの時の事を未だに思っているのは、俺だけという事か。

他の約束も どうなっているのか分かった物じゃ無いな。」


「ごめんなさい。本当にメーカーへ行っただけです。信じて下さい。」


「だから、もういいと言っているだろ。

普通あんな事が有ったら、2人で出た時は、疚しく無くて俺の気持ちを理解していれば自分から話すだろ?

ところが、俺が話してようやく話し出した。俺が知らなければ、話す事は無かっただろ?

会社によって違うだろうが、俺の所では課長が部下と2人で出向く事はまず無い。

仕事の話と言いながら、以前関係の有った2人が楽しそうに話していた。

女は、身を乗り出すように運転席の方を向いたまま、夢中になっていて周囲には何も気が付かない。

そんな日に限って帰りが遅い。

“課長、こんな所を通ったらあの人に見つかります。”

“もう昼休みは終わった。こんな所にいるはずが無い。それに少しスリルが有るだろ。”

“それもそうですね。あの人は もうすっかり信用しているから、前を通っても、まさかと思って気が付かないかも。それよりも何処へ連れて行ってくれるの?”

“美鈴の1番好きな所”

“いやだー”

あの時、何かお前達の会話が聞こえたような気がした。

全て俺の被害妄想だ。もう分かった。もう信じるから、向こうに行ってくれ。テレビが聞こえん。」


こんな事なら仕事を辞めさせればいいのです。

本当に何も無かったのか知りたいのに素直に聞かず、妻を虐め、苦しめたくなります。

未だに裏切られた事を根に持ち、許し切れずにいます。もう許して仲良くしたいと思っていても出来ません。自分で自分の感情が抑え切れないのです。

テレビを見ている振りをしながら、神経は妻の方に行っていました。

妻は泣きながら部屋を出て行ったので、追いかけて問い詰めたかったのですが、それも出来ませんでした。

泣き止んで戻って来た妻は、私の方を怖い顔で睨みながら、服を脱ぎだしました。


「あなた、今日私が何かしてきたか、あなたを裏切ったか調べて下さい。」


妻のこの様な険しい顔を見た事は無い様な気がします。

妻は全て脱ぎ終わると、ベッドの上に寝て足を開きました。

私は、大きく開かれた足の間に座ると両手で摘んで妻を開き、またテレビの前に戻って。


「悪いな。俺はあいつと違って結婚してからお前しか知らない。

そういう事に詳しくないので、何をどうやって調べたら良いのかも分からない。





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