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結婚することになった俺に過去を懺悔させて欲しい
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96 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:05:46 ID:TNYut6qL3
「月君、本当に頑張ってくれたよね。無理ばっかりして」

「無理なんて一度もしたことなんてない…。」

必死に必死に抗った。

「俺を名前で呼んでよ。俺は月じゃない、月君なんて、突き放されたような呼び方は嫌だ…」

「ううん、もう月君で良いの。私、もう良いから」

何が、良いのだろうか。問いかけようとしたその時、羽優は、りなは最後の言葉を口にした。

「今まで本当にありがとう。さようなら」

「嫌だ!!!!!」

その叫びは彼女に、りなに届いたのだろうか。突然、電話口の風の音が ものすごく大きな音に変わった。まるで、突風にでも煽られたような。渦巻く風の音。

俺は叫ぼうとした。何があったのか知りたかった。いや、知ろうとする必要はなかったのかもしれない。

残酷な神様は、俺に、終焉を、伝えた。

がしゃ

言葉で表現できないような、ものすごい音が電話口から響き、そして…。

「うわああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

おそろいのストラップが、悲しく、哀しく微笑んでいた。



97 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:06:53 ID:xo5xTYWyH
神様は、残酷だった。

あの日、何があったのか。

彼女は自ら死を選んだ。

マンションの階段から身を投げた。

最後の通話者となった俺は、失意の底で新幹線に乗り込んだ。俺は、彼女のお葬式に呼ばれることになっていた。


二度目の、土地。

あの時は、彼女が待っていてくれた。

駅を出た広場の、駅から向かって三番目のベンチ。

つい、昨日の事のように思える。

だが、広場で俺を待っていてくれたのは、彼女ではなかった。

彼女の母親だった。

見覚えのある道、見覚えのある、家。

悲しく揺れる花、線香の匂い。

俺は彼女と再会を果たした。

嘘だと思っていた。

性質の悪い冗談だと思っていた。

信じてなんかいなかった。



99 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:07:49 ID:TNYut6qL3
白い布をはがすと、そこには彼女がいた。

綺麗な顔だった。死んでいるなんて、信じられないくらい綺麗な彼女がそこにいた。

初めて涙が出た。

声は出なかったけど、涙だけは とめどなく流れた。彼女の妹は、泣き疲れた表情をしていた。母親は、気丈に振舞っていた。

「最後の最後まで、あなたには迷惑をかけてしまったね」

何か言わなければ、そんなことないと、謝らなければ、すみませんと。俺が言葉を発する前に、彼女の母親が言った。

「苦しまずに、逝ってくれたことだけが、唯一の救いかもしれないです」

その言葉を聞いた瞬間、俺は その場にうずくまり、大声で泣いた。

俺を責めてくれたなら、どれだけ楽だったのだろう。冷たくなった手を、必死で握りしめ、泣き続けるしかなかった。



100 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:08:40 ID:TNYut6qL3
葬儀は近親者だけで行われた。

俺は、そもそもが部外者なのだが、彼女の母親の計らいで同席させてもらった。

夢の中にいるようだった。

悪い夢なら、早く終わってしまえ。

願った。

でも、現実はそこにあるもので、現実は、夢になんてならない。

ずっとずっと、、、現実のまま。

悲しみの葬儀は、終わった。


その間の事は、良く覚えていない。

虚無だった。

だが、額には大きなこぶと、傷があった。

聞いた話では、俺は彼女の母親にずっと土下座をしていたようだ。

頭を何度も床に打ちつけながら、泣きながら。

大声で、泣きながら。

「ごめんなさい」

と。





101 :フライ・ド・かぼちゃ◆FryYNdEELg :2014/09/27(土)23:10:21 ID:3Iry6AOv4
(´;ω;`)


102 :名無しさん@おーぷん :2014/09/27(土)23:11:25 ID:PAxDDV99S
うわああああ…

なんか…


103 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:12:08 ID:TNYut6qL3
彼女の生まれ育った土地。

そこを後にする前に、俺は彼女と一緒に行った海に行った。

電車で15分ほど。

静かな海だった。

まるで、あの時を思い出すような。

そんな、静かな海だった。

彼女と二人、海を眺めた場所で、一人腰を落とす。

日は沈みかけ、あたりは夕焼けに染まった。

帰り際に、彼女の母親が手渡してくれた包みを手に取った。

中身は教えてはくれなかったのだが。

包みを開くと、中には一通の封筒が入っていた。

中には5枚のノートの切れ端が入っていた。



104 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:13:15 ID:TNYut6qL3
震える手で開いてみた。

中身を読んで俺は、再び涙が止まらなくなった。

彼女の日記帳の数枚のページだった。

そこには、俺と一緒に大学に行くことへの希望や、夢。

そして、一緒に撮ったプリクラが貼ってある日記には「大好きな、お月さまと」と書いてあった。

笑顔の写真の横に。

「将来、お月さまと一緒になれますように」



105 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:13:48 ID:TNYut6qL3
そして最後の一枚には。

羽優って、可愛い名前。

お月さまに付けてもらいました。

私の娘の名前は羽優!

もう、決めちゃったんだ!

俺は もう、抑えがきかなくなってしまった。

罪悪感と、失意にさいなまれながら。

俺が、りなを殺した。りなに、無理をさせたから。俺の勝手なエゴで。

救ってあげたいなんて。俺は結局、誰も救えずに。

愛する人を一人、殺した。


でも、不思議なんだ。

俺が彼女を殺したのに、誰も俺を責めやしないんだから。例え、彼女の母親であろうとも。



106 :名無しさん@おーぷん :2014/09/27(土)23:16:44 ID:c0jtsdehY
なんか読んでて辛い…




107 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:19:48 ID:xo5xTYWyH
俺は ずっとずっと、自分を責め続けた。

許されることは、永遠にないだろう。

罪の意識は、俺の心に深い根を張った。

俺はチャットで、羽優が亡くなったことを報告した。

そして、チャットルームからはお月さまと、羽優が消えた。

今でも消えない罪の意識。

俺は、どこで間違ってしまったのだろう。

彼女をなぜ、救えなかったのだろう。

いや、違う。

彼女を救おうと言う不純な動機こそが、そもそも間違っていたのだ。

そこに本当の愛は存在していたのだろうか。

俺は、本当に、彼女を愛して…。



109 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:21:44 ID:TNYut6qL3
いくら自分を責めようとも、俺は許されることはない。

そして、去る者のストーリーはそこで終わってしまうのだから。

残された者には、傷跡だけが残る。その傷と共に、これからも生きていかなければいけないのだ。


毎年、命日にはりなの墓に出向くようにしていた。お墓と言っても、彼女の家はあまり裕福ではなかったから、共同墓地のような場所だけれども。

俺は大学無事合格したけど、りなのいない大学は ただただ広い。

君のいない大学、でも寂しくはないよ。

だって君の分まで今、精いっぱい生きているんだから。

罪を背負いながら、生きているんだから。



110 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:25:22 ID:TNYut6qL3
そして時は経ち、社会人になって ずっとずっと彼女はいなかった。いや、作れなかった。

君を差し置いて俺が幸せになっていいのかと、そう思っていたから。

でも違った。

俺は、俺の過去もすべて受け止めてくれる人と出会いその人と結婚します。


りな、今度こそ、本当にさようならだね。

俺は、君の分まで幸せに生きていく。

おしまい



111 :名無しさん@おーぷん :2014/09/27(土)23:26:00 ID:qyw38KmLj
乙。面白かった

>>白い布をはがすと、そこには彼女がいた。

綺麗な顔だった。

飛び下りの最中に気を失うのは都市伝説なのであり得ないとしても 頭部に損傷が少ないという事は飛び下りによる全身打撲が死因なので 地面に衝突してから2〜10分程度は意識があり激痛や絶望感が死ぬ瞬間まで襲い掛かる。


114 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:27:07 ID:TNYut6qL3
>>111
ありがとう

ここは脚色ある部分で、本当は

顔は拝めませんでした



112 :◆D1IdoXvPnU :2014/09/27(土)23:26:13 ID:TNYut6qL3
なんか、書くのはものすごい時間かかったのに載せるのは あっという間だね







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カテゴリー:泣ける話  |  タグ:純愛,
 

 
 
 
 

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