逆転
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なあ雅子。たまには夫婦の会話も必要だな。
正直に白状するとな、俺はお前が浮気しているんじゃないかと少しだけ疑っていたんだよ」
妻の顔が その瞬間険しくなりました。人間は本心を突かれると怒り始めるものです。
「貴方、私をそんな目で見ていたの。
確かに仕事はしたかったわ。専業主婦は社会から遠ざかるのよ。
近所の奥さん達だって、話しと言えば子供のことばかり。嫌になるわ。
でも、少しでも家計の足しになれば、貴方にいい服だって買ってあげれるし、子供達にだって・・・・・そんな事を思われてたなんて・・・・私悔しいわ。
私、貴方を信頼出来なくなっちゃう・・・・」
終いの方は涙声にさえなっています。役者です。私の思っていた以上の役者です。
妻は何時から こんな事が出来る女になったのでしょう。私に言い寄って来た、あの若い雅子が もうこんなに役者だったのかも知れません。
内心自分の浮気が発覚したかもと思っていたのかも知れませんが、今はその恐怖から開放されているのでしょう。
女は本当にしたたかな生き物なのでしょうか。私は女の本性が今でも分かりません。
「それは悪い事をした。申し訳ない。
本当は反省してないよ」
私も腹の中で舌を出しました。
「・・・・分かってくれて・・・えっ?何ですって?」
妻が一瞬呆気に取られた表情を見せました。
「うん。反省してない。俺は今の生活に嫌気がさした。仕事を取るか家庭を取るかどっちかにしろ。二つに一つだ。それ以上の選択技はない」
私は、今の男と子供を含めた私達の生活のどちらを取るのだと聞いたのです。
その真意が妻に伝わったかは分かりませんが。切り札はまだ使いません。
まあ、私的には妻の選択は一つしかないのです。
家庭を選んだとしても この家に妻の居場所等ないのです。
気分は良く有りませんが、男と今の仕事を選んだ方が幸せなのかも知れません。しかし、男が誠実な人間ならと言う条件が付きますが。
私は、相手の人間性を この時は何も分かっていません。そんな事はどうでもいい事で、今はじっくりと御話しさせて頂きましょうか。
女房の尻に敷かれていた人生を、ここらで逆転と行きましょう。
「どっちかにしろと言われても・・・・・私には今の仕事も大切だし・・・・」
妻は言葉を詰まらせています。
当然でしょう。部長とやらと こんな関係になって何年経つのか?男と女がこれ程長く関係を持って、そう簡単に切れるものではないでしょう。
愛が有るのかどうなのかは別として、それなりの情はあるものだと思います。常識的に愛情がない男と、こんなに長く続くなんて考えられない事です。
「俺は昨日のお前の言った言葉が忘れられない。
仕事を捨てられないなら別れるしかないんじゃないか。だって、今の俺は独身と何ら変わりがないじゃないか。
確かに、お前の収入分だけ生活が楽なのかも知れないが、その分、俺達の生活はどうなんだろうか?
子供達に手が掛からなくなって、二人だけの時間がたっぷり持てるものだと思っていた。
しかし、今の状況は全く逆だ」
私も興信所の報告書を叩きつければいいものを、ぐたぐたと何を言ってるのでしょう。
自覚はなかったのですが、きっとサディストなのかも知れません。じわじわと妻をいたぶりたいのか?
それとも、『愛しているのは貴方だけ』なんて言葉を期待しているのでしょうか?
「・・・別れるしかないって・・・そんな事言われても・・・・」
妻は何を焦っているのでしょう?今だって、男と逢いたくてしょうがない気持ちを抑えているだけなのかもし知れないのに。
「お前が言い出した事じゃないか」
「・・・・それはそうだけど・・・・本気で言った訳じゃないの。貴方だって私の性格位分かっているじゃない。かっとすると思ってもない事が口から出ちゃうのよ。だから今日こうして謝っているんじゃないの」
何を言いやがる。心にもない謝罪なんて意味がありません。自分勝手もいい加減にしてもらいたい。
「別れるつもりはないと言う事か?」
「えぇ、そんな気持ちはありません」
「それなら仕事は辞めるんだな?俺は仕事か、家庭かと言ったはずだ」
「・・・・・・・・・」
「俺とは別れないけど、仕事は続けたいと?」
「・・・えぇ、そうしたい・・・」
全てを知っている私には、妻の言い分が勝手過ぎて腹が立って来ました。
我慢の限界が来てしまいます。
「俺とも別れたく無いし、男とも別れたくないと?
随分勝手な言い分だ。
二兎追う兎は一兎も得ずと言うぞ。
お前は大丈夫か?
さようならだな。話しはこれまでだ」
私は妻が用意した食事にも手を付けず、一人寝室に向かいました。
「貴方!貴方!何を言ってるの!」
背中に妻の声が聞こえましたが無視です。
--------------------
ベッドの上に身体を横たえ、これから どうなるのかと考えます。
このまま、すんなり事が進むとは思えません。
『面倒臭いな』
それにしても妻が後を追って来ません。
普通こんな場面では私の後を追って来て、真意は何かを問いただすのではないでしょうか。
その時の為に、興信所から持って帰った報告書を用意しておこう。
しかし、それをカバンごと居間に忘れて来てしまっています。
しょうがなく私は居間に戻りました。
音を立てずに引き返したつもりはなかったのですが、ドアの向うで妻が誰かとの話し声が聞こえて来ます。
話しに夢中なのか、私がドアを一枚挟んで そこに居るのも気付かないのか小声で話してます。
相手は不倫相手の部長でしょうか?
私は聞き耳を立てました。
「・・・・だから何か感ずいているようで・・・・
そんな事言ったて・・・・・言ったじゃないですか。こんなに遅く帰る日が多いと幾ら家の人でも疑い出すって・・・・
それはそうですけど・・・・えぇ・・・何とか誤魔化しますけど・・・・」
やはり電話の相手は部長のようです。
私の言葉に不安になって相談の電話を掛けたのだろうと思います。
『馬鹿共が。何が幾ら家の人でもだ』
腹も立ちますが、いい展開でも有るのです。
私はそっとドアを開けました。
妻は私に背を向ける体勢で携帯を握って、すぐには入って来た事に気付きません。
余程話しに夢中なのでしょう。
私はカバンを取りに進みます。
やっと、私の存在に気付いた妻は慌てて口調を変えます。
「あっ!そっそれでは また連絡いたします」
「仕事の電話か?忙しいんだな」
「そっそうなの。嫌になっちゃうわ。家にまで電話なんかして欲しくないのに」
「仕事をしてると しょうがないよ。だけどお前から電話する事もないだろうに。本当に仕事が出来る人間のする事じゃないと思うぞ」
「私から電話なんてしてないわよ。貴方何を言ってるの?」
私は妻に近づきます。
履歴を消してしまう時間を与えたくありません。もう、先送りはよしましょう。
妻が持っているピンクの物体に手を伸ばします。
「ちょっと何なのよ!」
素早い私の行動に妻は付いてこれません。
妻の携帯は私の色違いです。表示の仕方は分かっています。
思った通り、履歴は妻から男に掛けたものです。
私は妻の目をじっと注視し送信ボタンを押しました。
「あっ!」
妻が素っ頓狂な声を上げますが、そんなのは無視です。
妻の携帯を使ったのですから、当然相手は無用心です。
「どうした?細かい話しは明日にしてくれないか」
「明日はないよ」
思わぬ声の主に相手は返事も出来ないようです。
私も こんな時には勇気が要るのです。足に震えを感じました。
「明日はないよ」
相手も声が出ないが、私も次の言葉が出せません。
ちょっと勢いに任せて張り切り過ぎましたが、しかし俺も男だ、後戻りは出来ないのです。
慌てた妻が私から携帯を奪い取ろうとしましたが、私に突き飛ばされ尻もちをつき、見上げるその表情は流石に蒼白で唇がわなわなと震わせています。
「そうだな。今日はもう遅い。あんたの言う通り明日話し合おうか。
俺があんたらの会社に御邪魔するよ。
逃げずに待ってなよ。あっ、そうだ。俺が誰かは分かるよな」
「・・・はっ、はい・・・御主人でいらしゃいますね・・・・」
--------------------
男は会社に来られては困ると言いたかったのでしょうが、そんな相手の気持ち等お構いなしで、一方的に電話を切っていました。
その後の私の心臓の高鳴りはドクドクと妻に迄聞こえそうな勢いです。私も気の小さな男で、全く情けない。
そんな事を妻に覚られるのが嫌で、カバンを持って寝室に引き返しました。
ただ居間を出る時に一言だけ妻に声を掛けます。
「そう言う事だ。もう俺達駄目かもしれないな」
妻がどんな表情で その言葉を聞いたのかは、背を向けた私には分かりません。しかし、身動き一つ出来ない妻の気配は伝わります。
寝室に入り、興信所で渡された報告書を開いてみると、そこには男の名前、住所、家族構成等が記載されています。
『子供が1人か。家の子達より年下なんだ。これから金が掛かるのに、女にうつつを抜かしている場合じゃないだろう』
妻と男との写真、報告書、私の武器は揃っています。
これから、この2人をどう料理するかですが、こんな経験のない私には、今一つ自信がありません。
ベッドに疲れた身体を横たえた時、妻がドアノブに手を掛けたようですが、私は鍵を掛けていました。
「貴方、開けてくれないかしら。何か誤解してると思うの。話を聞いてちょうだい」
どんな悪知恵を思いついたのか?まさか男に教えられた通りに話そうなんて思っているのじゃないだろうな。興味の有るところではありますね。
私は書類を簡単に片付けて鍵を解放しました。
「貴方、何か勘違いしてないかしら。私から電話したのに嘘ついて悪かったわ」
寝室に入ってくるなり、そんな事を言い出します。
子供を育てた女は怖い物知らずです。あの初々しかった若き頃の妻は そこには居ません。
気性の荒い女ではありましたが、こんなには図々しくはなかった・・・
「残業を減らして欲しいと部長に頼んでいたの。
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