逆転
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こんなものでしょう。
この後、弁護士と相談するのか?それとも幹部会議でも開くのか?私には関係のない事です。
後日の報告とやらが楽しみなだけなのです。
仕事を早めに切り上げ、帰路に着きました。
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妻は どんな顔をして帰って来るのでしょうか?もしかしたら、帰って来ないのかも知れません。
妻が出て行く事が、私の最終的希望と思い込んでおりますが、今はいけません。もっと懲らしめてから放り出したいのですから。
家のドアを開けると、妻のパンプスが有ります。もう帰って来ているようです。
居間の方が何やら賑やかですが、決していい雰囲気ではないようです。
「ただいま」
私が帰ったのも気付かない程に、娘達の激しい言葉が聞こえます。
妻は娘達に かなり遣り込められていたのでしょう。
流石に勝ち気な妻も、今回の事は子供達に言い訳も出来ないのか、神妙な面持ちでうな垂れています。
私の帰宅に気付いた子供達がニッコリと出迎えてくれました。女は恐ろしい生き物なんですね。こんな状況で微笑む娘に女の凄ささえ感じます。
「お父さん、お帰りなさい。私達2人でご飯の用意をしたのよ。お母さんたっらボーとしちゃって何にもしないんだもの」
妻は俯いたまま顔を上げようとはしません。そりゃあそうでしょう。
ここで娘達と和やかにされていたら、堪ったものではありません。
私が何気なくテーブルの上に目をやると、3人分の用意だけです。
「お父さん、先にお風呂にする?それとも食べちゃう?」
子供達の手料理とあっては、まず食事でしょう。手際よく用意された物を見ても妻の分がありません。
私のそんな思いを察したのか、長女が言います。
「お母さんは勝手に食べるんだって。先に頂きましょうよ」
その言葉に、俯いたままの妻の肩が震えます。
この子達も妻に反乱を起こしたようです。
それにしても、よく帰って来たものです。私なら敵前逃亡間違いなし。
娘達は、妻を完全に無視して今日の状況を楽しげに私に話しながら食事をしていました。
そんな状況に居た堪れなくなくなった妻は居間を出て行きました。
それを横目で見ていた次女が、私に声を落とし話しかけます。
「お父さん、これからどうするの?やっぱ許せないよね?」
そう問い掛ける表情が長女同様、若い時の妻によく似ているのです。妻の遺伝子は私よりも強いのでしょうね。
大学生と言っても、まだ幼さの残るこの子には、大人の世界を理解するのは無理な事だと思います。
この場で『こんな事が起きる前から、お母さんの性格が好きじゃなくて別れたかった』等とは当然に言えません。
子供の何か寂しそうな表情に、静かに微笑む事しか出来ませんでした。
娘達の本心は、出来れば離婚等して欲しくはないのだと思います。
どんな間違いを犯したにしろ、妻は この子達にとって母親である事に変わりはないのですから。
家庭とは、色々な問題が次から次に襲って来て、それらを必死で乗り切って来た者達に与えられるオアシスなのかもしれません。
だからこそ、何ものにも掛け替えのない所なのだと思うのです。
私は何不自由の無い生活を子どもの時から送って来ました。そればかりに一から創り上げる努力をして来なかったのかもしれません。いや、創り方を知らなかったのです。
子供達の気持ち・・・私に重くのしかかって来ました。せっかく子供達が作ってくれた夕食も、砂を噛むように味気のない物になってしまいました。
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夕食後、私は風呂に入って これからの事を考えましたが、どうしても、子供の顔が浮かんでしまいます。
妻と別れる事に何の抵抗もないと言ったら嘘になりますが、痛みを伴うものではありません。
しかし、どうであれ、形を成して来た家庭を壊してしまう事には抵抗感がない訳でもありません。
あく迄も、何処迄、も平凡な男なのです。
それでも、妻のやって来た事が許せないでいます。
浮気をした事を言っているのではありません。
一緒になってからずっと今迄、私の男としてのプライドをないがしろにして来た事が許せません。
自分の我を通し過ぎた事が許せません。
共に創り上げて行く家庭と言うものを、独裁者の如く牛耳って来た事に憤りを感じるのです。
私に責任がなかったとは思っていません。
そう言う点では、妻に申し訳がなかったと思いもします。
それでも一体感を感じる事が出来ません。
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風呂から上がり、髪を乾かして寝室に向かいましたが、妻の気配が感じられません。
居場所がなく、客間で息を殺しているのでしょう。
自分がやった事を深く反省しているのでしょうか?きっと違うでしょう。反省する位なら、こんなに私達を欺くなんて出来ないはずです。
私が妻の会社を出てから、どんな事があったのでしょうか?あの馬鹿男と、どんな相談をしたのでしょうか?
私はベットに入りました。ほどなくして、寝室のドアがノックされます。
「貴方、お話があります。鍵を開けてくれないかしら」
妙に声を落としています。子供達に聞かれたくないのでしょう。
「俺は話したくない」
思い切り冷たく言い返します。
「そんな事言わないで開けて」
妻は何の話をしたいのか?
どんなに言い訳をしても、私の心に届くはずもないのに。小娘ではない妻が、その位の事は分かるでしょう。
それでも何故、私に話しがあるのと言うのでしょうか?妻の口から別れを言い出すのであれば楽なのですが・・・・・
私は妻との離婚を望んでいたのですから、今回の出来事は引き金でしかありません。
それは、彼女との生活が苦痛を伴うものだったからに他ありません。
じゃあ、何故そんなに苦痛だったのか?
何処の家庭にも不満はあるでしょう。
その不満が苦痛と思えるのは真正面から問題に対峙して来なかったからです。どんな時も事なかれ主義を通し過ぎたのでした。
そうさせたのは妻の性格の厳しさにあったと思うのですが、それは言い訳なのでしょう。
ただ、日常的にそんな不満が蓄積して行ったのは確かなのですが、そこを反省しないで、妻の事を拒絶していては駄目なのですよね。
だって、これからも同じ間違いを犯しかねないでしょう?
私は寝室の鍵を開けました。
今日は妻と本音で対峙します。
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「いまさら何の話がある?まあいい。聞いてやるから勝手に話してろ」
私はぶっきらぼうな言い方ではありましたが、妻の目を真正面から見ながら話しかけました。
「貴方・・・・貴方・・・
私何から話せばいいのか・・・・
貴方に話さなければならないけど・・・・
私、何処から話したらいいのか分からなくて・・・・」
長い結婚生活で これほど憔悴した妻を見るのは初めてかもしれません。
タカピーを通し続けて来た妻が、何でこの位の事でそんなに弱るのか?
『いつもの様に開き直ってくれよ!そんな神妙な顔をしてくれるな!面倒臭い事は止めようや』
それが私の本音です。
何か企んでいるんじゃないのかと、余計な事まで考えてしまいます。
しかし、向かい合いましょう。それが私の最後の誠意です。
それと不思議な感情も芽生えて来ています。
今までは さして興味もなかったのですが、妻があんな男と何故に身体の関係を持つようになったのかを知りたくなったのです。
「時間がかかってもいい。言いたい事だけは言ったらいい。
ただ駆け引きはするなよ。俺は、お前から何を聞いても、やる事に変わりはない。俺に情けを請おうと思うな。
今日の事で それは分かっただろう?」
「・・・・もう、何を言っても信じて貰えないと思うけど、私は貴方を愛しているの・・・
昔も今も その気持ちに変わりはない・・・
でも、今更そんな事を言っても遅いわね・・・・」
何を言ってるのでしょうか。
妻は あの男と何年浮気をしていたのでしょう?
この期に及んで『愛してる』なんて言葉を聞こうとは思ってもいませんでした。
私は馬鹿にされているようで、心の中に怒りが大きく湧き上がって来ます。
「はぁぁ!?お前のやった事は、愛している者にする事か?どうしたら そんな事が出来るのか聞きたいものだ。
そんな取って付けた事を言っても、誰が信じるんだ!隣の親父に聞いてみろよ。変な話だって言われるから」
私は呆れた言わんばかりの言葉を返します。
「・・・・それは貴方が・・・・だって貴方が私の事を愛してくれなかったから・・・」
妻は小さな声ではありますが、私の目をしっかりと見ながら はっきりした言葉で言いきりました。
確かに言いえているところですが、それは私ばかりに責任がある訳ではないでしょうに。
私が妻との距離を取ったのは、彼女の性格にあると思っていました。
しかし、夫婦の出来事に、片一方だけが悪いなんてあり得ないのではないでしょうか?
お互いが築き上げて来た家庭に歪が入ったのは、私にも妻にも責任があるのは事実でしょう。
ですから、一方的に妻を責めるつもりはないのですが、妻から言われたくはない。
本当に今が別れるチャンスです。
その為には、今回の出来事をフルに使わせて貰うのが最善の方法だと思っています。
その前に、妻の浮気が原因で離婚では格好が付きません。私も男を見せなければならない。少しばかり色を付けてね!
ただ浮気の原因を知る事は、これからの私の取るべき方法に必要不可欠なものと自分に言い聞かせています。
長年連れ添った妻が、私よりも あんな男に魅力を感じた等とは思いたくないと言うのも正直な気持ちですが、そんな事は私から口が曲がっても言えません。
なんとも複雑な心理状況です。
もう興味をなくし、別れを本心では望んでいる私が、今さら妻がどうして浮気をしたのかを知る等、何の意味もありません。
それが自分に言い訳しながらも、知りたいと思うのは何なんでしょうか?気持ちの何処かに魅力を感じているのでしょうかね?
「俺も愛していたよ。結婚してから一度もお前を裏切った覚えはない。それが証だな。
まあ、そんな前の事はどうでもいいさ。
さあ、話したいなら話せや。
その代わり、初めからちゃんと話せよ」
『俺は愛していたよ』私も嘘つきです。もうずっと前から愛なんて感じていません。
それにちゃっかり、妻から全てを聞き出そうともしています。したたかな所もあるんだなと我ながら感心してしまいます。
こんな私を敵に回した妻とあの馬鹿男は苦労するだろうな。
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妻は なかなか話し出しませんが、そりゃあ話し辛いでしょう。
しかし、話があると言ったのは妻の方ですから、覚悟は決めて来たはずです。
私が求めるような話かどうかは分かりませんが、こうなったら全てを語ってもらいましょう。
ただ神妙な顔で謝れば、私が許すとでも思っているのなら、それは自分で墓穴を掘ったのです。
あの馬鹿男に浅知恵を教え込まれ、私の機嫌でも取ろうとするならば、私は それほど甘くないつもりです。
「話が無いのなら部屋から出て行ってくれないか。俺は明日仕事だよ」
私は感情を抑えて言いました。
「・・・貴方が私の立場だったら、そんなに簡単に話せる?私は何から話せばいいのか考えて・・・」
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