バイクで日本一周してる女の子と仲良くなった話
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160 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:51:19.53 ID:DK1TNxo90
会う奴会う奴善人ばかりって訳じゃねーし、セコくてずるくて鬱陶しいライハのヌシみてえな連中だっている。
それにお前は若くて見栄えのいい女だから、俺には縁のねえトラブルや危険がいっぱいあっただろ?
でも お前は それに懲りて家に逃げ帰ったりしないで、こんな所で俺と酒飲んでケラケラ笑ってるwww
月並みな言い方だけどな、お仕着せの旅行じゃない旅って人を鍛えると思うんだよ。
しかも ただ鍛えられただけじゃなく色んな奴に出会って、ああ、特に俺みたいな変な男とかになwww
まあそれでだ、カネは掛かるけど、カネじゃあ買えねえモノ、思い出とか言う奴がたっぷりと脳みそに残る。
ちょっと話がずれるけどな、ナースログって言葉がアメリカだかカナダだかにあるんだと。
ちょっと有名な釣り好きの作家が書いた、アラスカでサケ釣る話しの中にあったクダリなんだけどな。
えっとたしか、まず寿命が来た大木が風でドカンと倒れるとだな、倒れた木を細菌とかバクテリアみてえなもんが分解し始めるわけだ。
腐り始めた木の栄養を目当てにアリやなんかの虫が集まって、その虫を食いに小鳥やねずみなんかが来て。その鳥やねずみを食いにタカやワシやクマーとかが来て、食物連鎖って奴がそこに起こって。
161 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:52:49.62 ID:DK1TNxo90
倒れた木は ただ腐っていくように見えて、実は森の生態系を守る役割を果たしてる、って言う考え方らしい。
森を守る、看護する木、だからナースログ、って事らしい。
んで これを人間に当て嵌めるとだな、とにかく端から見ると無駄としか思えねー事ってあるだろ?
旅に出るにでもサケ釣りでも何でもいい、日々の仕事じゃない、ただ自分が楽しむ為だけの面倒事な。
でも それって無駄じゃないんだよな、仕事でちょっと余裕が出た時とか、どっかに出かけてるときとか、夜寝る前とか。
ふと思い出して楽しかった事を反芻するよな、それを思い出しただけで何だか楽しい気分になって。
死ぬまでに何回も、何十回も、何千回も、何万回も、何十万回も、思い出すんだよ、そのときの事を。
きつい時とか疲れたときとか、ムカつく時とか寂しい時とかにな、それを思うと少し気が楽になるんだよ。
そーいうマイナスの感情を抑えられる思い出があるって事はだ、これすなわち心の強さ、って事にならないか?
162 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:54:42.79 ID:DK1TNxo90
まあそれでだ、このまま旅を続けて強くなって、実家に無事帰ってきたお前ならな。
旅の前は尻尾巻いて逃げてちまった事にも、落ち着いて対処出来るんじゃないか?
会社を継ぐも継がないも、結婚するもしないも、はっきりと意思表示できるんじゃないか?・・・・・・
・・・・・ああ、ついに言っちまった、あーやっぱり押し倒して中出し・・・・・もう遅いか・・・・・・。
これじゃあ冬美に帰って家を継げって、クドクド説教してるようなモンじゃねえか・・・・・。
冬美の手に握られたグラスも とうの昔に空になっていたが、ここまで注ぎ足そうとする素振りも見せなかった。
俺が真剣に話したから、真剣に聞いてくれたのだろう、・・・・・・・・・・何ていい女なんだ!!!!!!!
会話が切れて一分ほど経ってから、促して冬美の手からグラスを受け取り、ホットウィスキーを作って手渡した。
自分のグラスにもドボドボとバーボンを注ぎ、喉を通りやすいようにロックにする。
その後は打って変わって下らない事ばかり話しながら、ゲラゲラ笑って気が付いたら午前三時だった。
この夜は2人でバーボンを1本半消費し、朝五時近くになってから2人で仲良く居間で潰れた。
かろうじて持ってきた毛布を一枚ずつ被って雑魚寝し、俺はこの月曜、入社以来始めて会社をずる休みした。
165 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:07:41.10 ID:DK1TNxo90
バーボン1本分の二日酔いにかろうじて打ち勝ち、朝八時半前に会社に休む旨の電話を入れることが出来た。
どうしても体調が悪くてすいませんと上司に平謝りし、電話を切った瞬間 再び落ちてしまった・・・。
次に目が覚めたのは昼十二時過ぎだった、ソファの上では冬美が まだうつ伏せになって寝ている。
まあ2人で安バーボン2本近く空けたからな・・・、このくらいは仕方ないだろう。
少しすると冬美も もぞもぞと起きだして来たが、流石にしんどそうだ。
結局ズル休みしてしまった格好なので、大っぴらに外に出歩くのもはばかられる。
この辺は妙に小心なんだよなあ俺って、多分厳しく鍛えられた柔道時代の影響だと思うんだけど。
同じく根が体育会系の冬美も その辺は心得ているのか、どこに行きたいとか何を食べたいとかは何も言わなかった。
んー、昼間は何をしていたんだったかなあ、前の晩の会話のインパクトが強すぎて あんまり憶えてないや。
夕方近くになってやっと物を食いたいような気分になって来たので、あっさりしたソバかなんかで夕食を済ませた。
流石にこの晩は2人ともノンアルコール、じっくり、ゆっくり、のんびりと時間を過ごした。
166 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:09:24.51 ID:DK1TNxo90
十一時くらいまで とりとめない会話を交わし、2人で俺の部屋の同じベッドに寝た。
一応お休みのキスくらいはしたが、それ以上の事はしなかった。
どちらかが求めれば、どちらかが そんな素振りを見せれば、多分すぐにセックスが始まっていただろう。
でも2人とも もう、その週末の別れの日まで、お互いの体を求めるような事はしなかった。
もちろん健康な成人男子の俺にとって正直苦しくはあった、若くて健康な冬美だって同じようなモノだったかもしれない。
でも もう2人の間には暗黙の了解と言うか、お互いの心身ともに別れの準備をし始めている空気が流れていた。
間近に迫った別れ、恐らくは今生の別れに備え、お互いに心を強くしなければならない。
男と女が求め合って体を重ねれば、そこには情という至極厄介な奴が生まれる。生まれた情は ただでさえ辛い別れを、更に苦しく悲しいものにしてしまうだろう。
ろくに眠れずに悶々としながら朝を迎えてしまい、朝方になってようやくウトウトすることができた。
気が付くと隣に冬美は居らず、いつの間にか台所で朝飯を準備をしてくれていた。
その朝飯をぺろりと平らげて俺の好みの濃さに淹れてくれたコーヒーを飲んで会社に行った。
会社に向かう1BOXの中で いつものメロコアを流しながら、幸せってこんなもんなんだろうなとか。
167 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:11:21.84 ID:DK1TNxo90
昨日 突然休んでしまった事を上司と同僚に平謝りし、その日は現場で一日汗をかいて働いた。
定時の五時は あっという間に過ぎたが、現場は片付いても事務所に残ってやるべき事が色々あった。
五時半くらいに休憩所でコーヒーを飲みながら冬美に電話し、遅くなる旨を伝えた。
俺『・・・・ってな訳でな、ちょっと遅くなりそうなんだわ、晩飯は適当に済ませといてくれ』
冬美『いやー、ちょっと位遅くても大丈夫ですよ、待ってますから。』
俺『いや、早くても九時くらいだぞ、多分、いいから先に食っててくれ』
冬美『わかりました、じゃあ無理しないで食べて待ってますね、・・・・譲二さん?』
俺『ん?どうした?』
冬美『残業、頑張って下さいね!』
俺『おう!ありがとな!じゃあ頑張ってくるわ!』
電話を切って周りを見ると同僚達がニヤニヤしている、あちゃー、顔に出てたかorz
照れ隠しに紙コップに残ったコーヒーを一息に飲み干し、勢い良くゴミ箱に叩き込んで事務所に戻った。
その勢いもあってか 普段より随分と早く仕事が進み、予想よりずっと早く八時半くらいには会社を出ることが出来た。
うーん、女の力って偉大だなあ、出来た女の励ましって、本当に力になるんだなあ。
これが話に聞く内助の功って奴なのかなあ、冬美がこのままうちに居てくれたらなあ・・・・
と、妄想のような繰言の様な、未練がましくみっともない事を考えずには、吉岡秀隆のナレーションを流さなければ居られない訳で。
九時前には うちに着き、玄関を開けると いきなり鼻にカレーの匂いが充満した。
ドアの音で気付いた冬美が玄関に現れ、満面の笑みでお帰りなさいと言って出迎えてくれた。
168 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:12:47.15 ID:DK1TNxo90
冬美『お帰りなさい譲二さん、九時くらいに帰ってくるって踏んで、それに合わせてカレー作ってましたw』
俺『早くても九時って言ってたろーよ、じゃあ食わないで待ってたのか?』
冬美『はい、もうお腹ペコペコッす!、早く食べましょうよ!』
俺『おうwww、じゃあ今着替えてくるから、五分だけ待ってれ』
冬美『はーい、じゃあすぐ食べられるようにしておきますね!』
仕事着から普段着のジャージ上下に着替え、洗面所で手と顔を洗ってからテーブルに向かった。
テーブル上には すでに2人分のカレーとサラダが並べられ、後はグラスに好みの飲み物を注ぐだけだ。
俺は冷蔵庫から黒ラベルの大瓶を取り出し、目で聞いてから冬美のグラスにビールを注いだ。
ビンを受け取りたいような素振りをした冬実を軽い手振りで制して、自分のグラスにもビールを満たした。
それは俺が初めて知る、2人の力で作り上げる、自分の家庭の味だったのかもしれない。
子供が出来る前の夫婦2人だけの家庭って、こんなんなのかなあって、新鮮な感じだった。
もちろんこれは期間限定、もう数日だけの、夫婦ごっこのようなものだったのだが。
だからこそ あの秋二人で過ごした二週間は、強烈な記憶となっているのだろう。
169 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:14:33.46 ID:DK1TNxo90
その次の日の晩、軽く残業して帰ってきて、晩飯を食って、2人で床に着いた後の事だった。
電気を消して もうお休みと言ってから、五分くらいだっただろうか。冬美がもぞもぞと動いき、小さな声で話しかけてきた。
冬美『・・・・ねえ、譲二さん、まだ起きてる?』
俺『ん、ああ、まだ起きてるぞ、・・・・どうした?』
冬美『・・・・あのね、私ここに来て、今週末で半月になるんです。』
俺『ああ、そうだな、そう言えばそうだな・・・・』
冬美『それでね、譲二さんは楽しいし、お姉さんは優しいし、旦那さんも甥っ子君もみんな・・・・』
俺『・・・・・みんな・・・・それで?』
冬美『・・・・・みんな、いい人たちで・・・・あたし・・・・一生忘れないと思います。』
俺『・・・・・・そうか、ありがとな』
冬美『・・・・今週末の日曜の朝、出発しようと思います、バハも調子よくなって戻ってきたし・・・』
俺『・・・・そうか、あっという間だったな・・・・』
冬美『あたしね、ここにこれ以上居るとね、もうウチに帰れなくなっちゃうと思うの』
俺『・・・・・・・・・』
冬美『この先あたしがどうするか、まだわからないけど、それでも一度はウチに帰らなきゃ・・・・』
俺『そうだな・・・・お母さんも心配して待ってるだろうしな・・・、・・・・・。』
その時 俺はお母さんの後に『お兄ちゃんも』と、付け加える事が出来なかった。
全く未熟モンだったなとは思うが、それまでの夏の北海道での出会いと、秋の再会って経緯。まだまだ若造であった二十代半ばの当時を考えると、ま、仕方なかったかなとも思う。
冬美『ねえ譲二さん、あたし、最後に譲二さんと一緒に走りたいな、途中まで見送ってくれます?』
俺『ああ、もちろん、とっておきのいい道を案内してやるよ、楽しみにしてな・・・・』
そして次の日曜には間違いなく冬美との別れがやってくる、うつ伏せで寝ながら声で笑って顔と心で泣いて。
その割にはあっさりと眠って朝までぐっすりだった、ある意味で安心してしまったって事だったのかなあ。
170 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:16:39.96 ID:DK1TNxo90
・・・・そして もうあっという間にお別れの朝になる、お互いの身支度はもう出来ていて、後はもう出発するだけだ。
日本一周分の荷物は頑丈なバハの頑丈なキャリアにがっちり固定され、元の過積載旅人仕様に戻っていた。
もう十月も半ばを過ぎて、ここは東北の地方都市、2人の服装はすっかり冬仕様だ。
見送りは姉一家全員とぬこ一匹、姉はアレをもっていけ、これを食べなさいと色々と持ってきていた。
でも大量のジャガイモとか一升瓶の地酒とかよwwww、バイクなんだから無理だってwww
冬美は苦笑しながらも何度も礼を言って、お昼ゴハンにと作ってきたオムスビだけを受け取ってサイドバッグに入れた。
姉ちゃんは冬美の手を握って何度も何度も、気をつけて気を付けてと繰り返していた。
甥っ子は姉旦那に抱っこされて今にも泣きそうな顔だ、毎日のように冬美に遊んでもらっていたからな・・・。
・・この場面を詳しく書いてると大菩薩グイン峠サーガになるので この辺で、俺はドジェベルに跨り、九時きっかりに冬美を促して出発した。
171 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:17:49.24 ID:DK1TNxo90
俺が目で合図すると冬美が軽く頷く、俺から一呼吸遅らせて淡々と着いてくる冬美。
お互いを知り尽くして息が合った長年の連れのように、片時もミラーの中から離れず離さず。
一旦 国道に出てからバイパスに入り、交通量が少なく走りやすい広域農道にバイクを進める。
みんなが大好きなツーリングマップルには、まあ、載らないでしょって、しょぼい道だけど。
それでも長年走りまくって知り尽くした地元だ、カーブの向こうの田園風景とか、真っ盛りの紅葉とか。
後ろを走る冬美の為に心を込めて、前を走る俺の姿と一緒に思い出になってくれと願いながら。
道路の真ん中に突然現れる図々しいカモシカに興奮したり、道端の湧き水の綺麗さに感動したり。
そんな風にして少しずつバイクは俺の家を離れて行き、その代りに冬美の故郷に近づいていった。
特に観光なんかはしなかったし、名物の美味い物も食わなかった、そんな事より少しでも一緒に走って居たかった。
172 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:19:03.65 ID:DK1TNxo90
山の中を縫うように走り日本海が見えてきた、時間は昼の一時過ぎくらいだった。
昼食のお握りを食べる為に、季節外れの海水浴場に入り込む。
もちろん海水浴客は居ないが、波が有ったので数人のサーファー達が海に出ている。
連中のハイエースやピックアップから暫らく離した位置にバイクを止め、護岸のコンクリの上に並んで腰掛けた。
ここに来る前に寄ったコンビニで買った熱いお茶を取り出し、姉ちゃんのおにぎりを2人で分けて食べた。
大き目のおにぎりが6個もあったので、2人で2個ずつ食べて、残り2個は冬美がバッグに仕舞い込んだ。
俺はバッグから愛用のテルモスを取り出し、今まで何度もそうしたように冬美とコーヒーを飲んだ。
俺はテルモスの蓋で、冬美はコールマンのステンレスマグで、並んで海を見ながらコーヒーを啜った。
会う奴会う奴善人ばかりって訳じゃねーし、セコくてずるくて鬱陶しいライハのヌシみてえな連中だっている。
それにお前は若くて見栄えのいい女だから、俺には縁のねえトラブルや危険がいっぱいあっただろ?
でも お前は それに懲りて家に逃げ帰ったりしないで、こんな所で俺と酒飲んでケラケラ笑ってるwww
月並みな言い方だけどな、お仕着せの旅行じゃない旅って人を鍛えると思うんだよ。
しかも ただ鍛えられただけじゃなく色んな奴に出会って、ああ、特に俺みたいな変な男とかになwww
まあそれでだ、カネは掛かるけど、カネじゃあ買えねえモノ、思い出とか言う奴がたっぷりと脳みそに残る。
ちょっと話がずれるけどな、ナースログって言葉がアメリカだかカナダだかにあるんだと。
ちょっと有名な釣り好きの作家が書いた、アラスカでサケ釣る話しの中にあったクダリなんだけどな。
えっとたしか、まず寿命が来た大木が風でドカンと倒れるとだな、倒れた木を細菌とかバクテリアみてえなもんが分解し始めるわけだ。
腐り始めた木の栄養を目当てにアリやなんかの虫が集まって、その虫を食いに小鳥やねずみなんかが来て。その鳥やねずみを食いにタカやワシやクマーとかが来て、食物連鎖って奴がそこに起こって。
161 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:52:49.62 ID:DK1TNxo90
倒れた木は ただ腐っていくように見えて、実は森の生態系を守る役割を果たしてる、って言う考え方らしい。
森を守る、看護する木、だからナースログ、って事らしい。
んで これを人間に当て嵌めるとだな、とにかく端から見ると無駄としか思えねー事ってあるだろ?
旅に出るにでもサケ釣りでも何でもいい、日々の仕事じゃない、ただ自分が楽しむ為だけの面倒事な。
でも それって無駄じゃないんだよな、仕事でちょっと余裕が出た時とか、どっかに出かけてるときとか、夜寝る前とか。
ふと思い出して楽しかった事を反芻するよな、それを思い出しただけで何だか楽しい気分になって。
死ぬまでに何回も、何十回も、何千回も、何万回も、何十万回も、思い出すんだよ、そのときの事を。
きつい時とか疲れたときとか、ムカつく時とか寂しい時とかにな、それを思うと少し気が楽になるんだよ。
そーいうマイナスの感情を抑えられる思い出があるって事はだ、これすなわち心の強さ、って事にならないか?
162 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:54:42.79 ID:DK1TNxo90
まあそれでだ、このまま旅を続けて強くなって、実家に無事帰ってきたお前ならな。
旅の前は尻尾巻いて逃げてちまった事にも、落ち着いて対処出来るんじゃないか?
会社を継ぐも継がないも、結婚するもしないも、はっきりと意思表示できるんじゃないか?・・・・・・
・・・・・ああ、ついに言っちまった、あーやっぱり押し倒して中出し・・・・・もう遅いか・・・・・・。
これじゃあ冬美に帰って家を継げって、クドクド説教してるようなモンじゃねえか・・・・・。
冬美の手に握られたグラスも とうの昔に空になっていたが、ここまで注ぎ足そうとする素振りも見せなかった。
俺が真剣に話したから、真剣に聞いてくれたのだろう、・・・・・・・・・・何ていい女なんだ!!!!!!!
会話が切れて一分ほど経ってから、促して冬美の手からグラスを受け取り、ホットウィスキーを作って手渡した。
自分のグラスにもドボドボとバーボンを注ぎ、喉を通りやすいようにロックにする。
その後は打って変わって下らない事ばかり話しながら、ゲラゲラ笑って気が付いたら午前三時だった。
この夜は2人でバーボンを1本半消費し、朝五時近くになってから2人で仲良く居間で潰れた。
かろうじて持ってきた毛布を一枚ずつ被って雑魚寝し、俺はこの月曜、入社以来始めて会社をずる休みした。
165 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:07:41.10 ID:DK1TNxo90
バーボン1本分の二日酔いにかろうじて打ち勝ち、朝八時半前に会社に休む旨の電話を入れることが出来た。
どうしても体調が悪くてすいませんと上司に平謝りし、電話を切った瞬間 再び落ちてしまった・・・。
次に目が覚めたのは昼十二時過ぎだった、ソファの上では冬美が まだうつ伏せになって寝ている。
まあ2人で安バーボン2本近く空けたからな・・・、このくらいは仕方ないだろう。
少しすると冬美も もぞもぞと起きだして来たが、流石にしんどそうだ。
結局ズル休みしてしまった格好なので、大っぴらに外に出歩くのもはばかられる。
この辺は妙に小心なんだよなあ俺って、多分厳しく鍛えられた柔道時代の影響だと思うんだけど。
同じく根が体育会系の冬美も その辺は心得ているのか、どこに行きたいとか何を食べたいとかは何も言わなかった。
んー、昼間は何をしていたんだったかなあ、前の晩の会話のインパクトが強すぎて あんまり憶えてないや。
夕方近くになってやっと物を食いたいような気分になって来たので、あっさりしたソバかなんかで夕食を済ませた。
流石にこの晩は2人ともノンアルコール、じっくり、ゆっくり、のんびりと時間を過ごした。
166 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:09:24.51 ID:DK1TNxo90
十一時くらいまで とりとめない会話を交わし、2人で俺の部屋の同じベッドに寝た。
一応お休みのキスくらいはしたが、それ以上の事はしなかった。
どちらかが求めれば、どちらかが そんな素振りを見せれば、多分すぐにセックスが始まっていただろう。
でも2人とも もう、その週末の別れの日まで、お互いの体を求めるような事はしなかった。
もちろん健康な成人男子の俺にとって正直苦しくはあった、若くて健康な冬美だって同じようなモノだったかもしれない。
でも もう2人の間には暗黙の了解と言うか、お互いの心身ともに別れの準備をし始めている空気が流れていた。
間近に迫った別れ、恐らくは今生の別れに備え、お互いに心を強くしなければならない。
男と女が求め合って体を重ねれば、そこには情という至極厄介な奴が生まれる。生まれた情は ただでさえ辛い別れを、更に苦しく悲しいものにしてしまうだろう。
ろくに眠れずに悶々としながら朝を迎えてしまい、朝方になってようやくウトウトすることができた。
気が付くと隣に冬美は居らず、いつの間にか台所で朝飯を準備をしてくれていた。
その朝飯をぺろりと平らげて俺の好みの濃さに淹れてくれたコーヒーを飲んで会社に行った。
会社に向かう1BOXの中で いつものメロコアを流しながら、幸せってこんなもんなんだろうなとか。
167 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:11:21.84 ID:DK1TNxo90
昨日 突然休んでしまった事を上司と同僚に平謝りし、その日は現場で一日汗をかいて働いた。
定時の五時は あっという間に過ぎたが、現場は片付いても事務所に残ってやるべき事が色々あった。
五時半くらいに休憩所でコーヒーを飲みながら冬美に電話し、遅くなる旨を伝えた。
俺『・・・・ってな訳でな、ちょっと遅くなりそうなんだわ、晩飯は適当に済ませといてくれ』
冬美『いやー、ちょっと位遅くても大丈夫ですよ、待ってますから。』
俺『いや、早くても九時くらいだぞ、多分、いいから先に食っててくれ』
冬美『わかりました、じゃあ無理しないで食べて待ってますね、・・・・譲二さん?』
俺『ん?どうした?』
冬美『残業、頑張って下さいね!』
俺『おう!ありがとな!じゃあ頑張ってくるわ!』
電話を切って周りを見ると同僚達がニヤニヤしている、あちゃー、顔に出てたかorz
照れ隠しに紙コップに残ったコーヒーを一息に飲み干し、勢い良くゴミ箱に叩き込んで事務所に戻った。
その勢いもあってか 普段より随分と早く仕事が進み、予想よりずっと早く八時半くらいには会社を出ることが出来た。
うーん、女の力って偉大だなあ、出来た女の励ましって、本当に力になるんだなあ。
これが話に聞く内助の功って奴なのかなあ、冬美がこのままうちに居てくれたらなあ・・・・
と、妄想のような繰言の様な、未練がましくみっともない事を考えずには、吉岡秀隆のナレーションを流さなければ居られない訳で。
九時前には うちに着き、玄関を開けると いきなり鼻にカレーの匂いが充満した。
ドアの音で気付いた冬美が玄関に現れ、満面の笑みでお帰りなさいと言って出迎えてくれた。
168 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:12:47.15 ID:DK1TNxo90
冬美『お帰りなさい譲二さん、九時くらいに帰ってくるって踏んで、それに合わせてカレー作ってましたw』
俺『早くても九時って言ってたろーよ、じゃあ食わないで待ってたのか?』
冬美『はい、もうお腹ペコペコッす!、早く食べましょうよ!』
俺『おうwww、じゃあ今着替えてくるから、五分だけ待ってれ』
冬美『はーい、じゃあすぐ食べられるようにしておきますね!』
仕事着から普段着のジャージ上下に着替え、洗面所で手と顔を洗ってからテーブルに向かった。
テーブル上には すでに2人分のカレーとサラダが並べられ、後はグラスに好みの飲み物を注ぐだけだ。
俺は冷蔵庫から黒ラベルの大瓶を取り出し、目で聞いてから冬美のグラスにビールを注いだ。
ビンを受け取りたいような素振りをした冬実を軽い手振りで制して、自分のグラスにもビールを満たした。
それは俺が初めて知る、2人の力で作り上げる、自分の家庭の味だったのかもしれない。
子供が出来る前の夫婦2人だけの家庭って、こんなんなのかなあって、新鮮な感じだった。
もちろんこれは期間限定、もう数日だけの、夫婦ごっこのようなものだったのだが。
だからこそ あの秋二人で過ごした二週間は、強烈な記憶となっているのだろう。
169 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:14:33.46 ID:DK1TNxo90
その次の日の晩、軽く残業して帰ってきて、晩飯を食って、2人で床に着いた後の事だった。
電気を消して もうお休みと言ってから、五分くらいだっただろうか。冬美がもぞもぞと動いき、小さな声で話しかけてきた。
冬美『・・・・ねえ、譲二さん、まだ起きてる?』
俺『ん、ああ、まだ起きてるぞ、・・・・どうした?』
冬美『・・・・あのね、私ここに来て、今週末で半月になるんです。』
俺『ああ、そうだな、そう言えばそうだな・・・・』
冬美『それでね、譲二さんは楽しいし、お姉さんは優しいし、旦那さんも甥っ子君もみんな・・・・』
俺『・・・・・みんな・・・・それで?』
冬美『・・・・・みんな、いい人たちで・・・・あたし・・・・一生忘れないと思います。』
俺『・・・・・・そうか、ありがとな』
冬美『・・・・今週末の日曜の朝、出発しようと思います、バハも調子よくなって戻ってきたし・・・』
俺『・・・・そうか、あっという間だったな・・・・』
冬美『あたしね、ここにこれ以上居るとね、もうウチに帰れなくなっちゃうと思うの』
俺『・・・・・・・・・』
冬美『この先あたしがどうするか、まだわからないけど、それでも一度はウチに帰らなきゃ・・・・』
俺『そうだな・・・・お母さんも心配して待ってるだろうしな・・・、・・・・・。』
その時 俺はお母さんの後に『お兄ちゃんも』と、付け加える事が出来なかった。
全く未熟モンだったなとは思うが、それまでの夏の北海道での出会いと、秋の再会って経緯。まだまだ若造であった二十代半ばの当時を考えると、ま、仕方なかったかなとも思う。
冬美『ねえ譲二さん、あたし、最後に譲二さんと一緒に走りたいな、途中まで見送ってくれます?』
俺『ああ、もちろん、とっておきのいい道を案内してやるよ、楽しみにしてな・・・・』
そして次の日曜には間違いなく冬美との別れがやってくる、うつ伏せで寝ながら声で笑って顔と心で泣いて。
その割にはあっさりと眠って朝までぐっすりだった、ある意味で安心してしまったって事だったのかなあ。
170 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:16:39.96 ID:DK1TNxo90
・・・・そして もうあっという間にお別れの朝になる、お互いの身支度はもう出来ていて、後はもう出発するだけだ。
日本一周分の荷物は頑丈なバハの頑丈なキャリアにがっちり固定され、元の過積載旅人仕様に戻っていた。
もう十月も半ばを過ぎて、ここは東北の地方都市、2人の服装はすっかり冬仕様だ。
見送りは姉一家全員とぬこ一匹、姉はアレをもっていけ、これを食べなさいと色々と持ってきていた。
でも大量のジャガイモとか一升瓶の地酒とかよwwww、バイクなんだから無理だってwww
冬美は苦笑しながらも何度も礼を言って、お昼ゴハンにと作ってきたオムスビだけを受け取ってサイドバッグに入れた。
姉ちゃんは冬美の手を握って何度も何度も、気をつけて気を付けてと繰り返していた。
甥っ子は姉旦那に抱っこされて今にも泣きそうな顔だ、毎日のように冬美に遊んでもらっていたからな・・・。
・・この場面を詳しく書いてると大菩薩グイン峠サーガになるので この辺で、俺はドジェベルに跨り、九時きっかりに冬美を促して出発した。
171 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:17:49.24 ID:DK1TNxo90
俺が目で合図すると冬美が軽く頷く、俺から一呼吸遅らせて淡々と着いてくる冬美。
お互いを知り尽くして息が合った長年の連れのように、片時もミラーの中から離れず離さず。
一旦 国道に出てからバイパスに入り、交通量が少なく走りやすい広域農道にバイクを進める。
みんなが大好きなツーリングマップルには、まあ、載らないでしょって、しょぼい道だけど。
それでも長年走りまくって知り尽くした地元だ、カーブの向こうの田園風景とか、真っ盛りの紅葉とか。
後ろを走る冬美の為に心を込めて、前を走る俺の姿と一緒に思い出になってくれと願いながら。
道路の真ん中に突然現れる図々しいカモシカに興奮したり、道端の湧き水の綺麗さに感動したり。
そんな風にして少しずつバイクは俺の家を離れて行き、その代りに冬美の故郷に近づいていった。
特に観光なんかはしなかったし、名物の美味い物も食わなかった、そんな事より少しでも一緒に走って居たかった。
172 :譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:19:03.65 ID:DK1TNxo90
山の中を縫うように走り日本海が見えてきた、時間は昼の一時過ぎくらいだった。
昼食のお握りを食べる為に、季節外れの海水浴場に入り込む。
もちろん海水浴客は居ないが、波が有ったので数人のサーファー達が海に出ている。
連中のハイエースやピックアップから暫らく離した位置にバイクを止め、護岸のコンクリの上に並んで腰掛けた。
ここに来る前に寄ったコンビニで買った熱いお茶を取り出し、姉ちゃんのおにぎりを2人で分けて食べた。
大き目のおにぎりが6個もあったので、2人で2個ずつ食べて、残り2個は冬美がバッグに仕舞い込んだ。
俺はバッグから愛用のテルモスを取り出し、今まで何度もそうしたように冬美とコーヒーを飲んだ。
俺はテルモスの蓋で、冬美はコールマンのステンレスマグで、並んで海を見ながらコーヒーを啜った。
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