風俗嬢だった過去を持つ彼女が語った衝撃的な体験談
(7ページ目) 最初から読む >>
\ シェアする /
158 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:18:49.48 ID:Q9KBD7kY0
そこには
『話しかけても無言 ×』
『クサい…ワキガ? ×』
『痛い ×』
などと書いてあった。
時にはいきなり『×』のみ書いてあったり、デカい字で『ヘタクソっ!!! ×』とか辛辣だった。
「ヘタクソってw」
「笑いごとじゃないよ、それは私が痛かったって意味だぞ」
「あ、ごめん、ごめんな」
「うん。それに本当に我慢できないときは、痛いです、ってちゃんと言うし」
やっぱり楽な仕事ではない。俺は理解不足であった自分を戒めた。
「ヒロシはさ、たぶんこういうとこばかり見てたでしょ」
マドカがそう言って指差したところには『フェ1』って記入してあった。
「特に回数とか、そんなとこばっか見ちゃってさ。バーカ」
図星である。マドカがどうやってイカせたのか、何回イカせたのか、それは何分コースだったのか。俺は そういうところを主に見ていた。悶々としながら。
159 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:22:03.06 ID:Q9KBD7kY0
「そのうち『NG』ってのが出てくると思うんだけど」
「うん」
マドカが最後の方までページをめくって、ようやくその単語が記入してあるページがあった。
『とにかく無理 NG』
「生理的に受け付けないって意味かなコレ?」
「俺に聞かれてもwww」
「あはwww まぁ何かしらの理由で次回からNGに登録してもらってたんだよ」
「登録?」
「受付する店の電話番号あるでしょ?まぁほとんど店が携帯で受けるんだけど」
「うん」
「一度利用したお客さんの番号は全部登録されるの」
「ふーん」
「で、私がNGでお願いしたお客さんは、電話帳の登録名を『○○さん(マドカNG)』にしておく」
「ソイツから電話が来て、またマドカを指名するような場合は予約で一杯ですってなるわけだ」
「そうそう。または、本日急遽お休みです、とか。理由はどうあれ、とにかく私は行かなくて済む」
「お客さんによっては複数の女の子がNGにしてたり、店自体がNGにして、着信拒否したりするわけ」
なるほど理解。
160 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:23:15.73 ID:Q9KBD7kY0
「ああ、ここにもあるね」
最後のページにもその単語はあった。
『ヘタクソ、痛い NG』
痛いっていう文字は、なんだかすごく俺も心が痛かった。
でもそれと同時に、ちょっと別な疑問を俺に投げかけてくる。
「あの…もしかして、ヘタクソじゃないお客さん…ってのもメモってたりする?」
遠まわしな表現をしたつもりだったけど、すぐにピンとくるものがあったらしい。
マドカは俺のほうは一切見ることなく、ノートに目を落としたまま静かにこう言った。
「それは、2冊目のノートを見る覚悟があるなら、そのときにちゃんと正直に教える」
俺達はフリダシに戻ってきた。
もちろん「見る」と答えたし、ノートを全部見ないまま燃やして処分してしまうなどという選択肢は、俺には最初からなかった。
161 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:24:52.28 ID:Q9KBD7kY0
「じゃ、2人で一緒に見ようね」
別に喧嘩したつもりはなかったけど、マドカのその言葉に、仲直りしたかのような安堵を覚えた。
その安堵は決して長続きしなかったけども。
「ちょっと飲み物持ってくる」
いつの間にか2人ともコップが空っぽになってた。
きっと緊張のために、喉が乾いてしかたなかったのかもしれない。
「1冊目のノートなら、もう俺が勝手に見てもいい?」
冷蔵庫に向かってたマドカが振り返って、一瞬の間を置いてから、「いいよ」と答えた。
パラパラとページをめくりながら特定の項目をチェックする。
すると、60分コースの客と、90分コースの客が、ほぼ1回しかイってない。
120分以上のコースになるとさすがに2回って客がいたけど、それでも平均1.5回にも届いてない気がした。
162 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:26:27.73 ID:Q9KBD7kY0
マドカが言っていた通り、発射ゼロのお客さんも確かにチラホラいた。
どうやら、まだ1冊目のノートの時点では、掲示板で絶賛されるほどの高水準な仕事は出来ていなかったらしい。
それは俺を すごーく安心させたけど、マドカのコメントが『もうちょっと頑張れた気がする』『なんか申し訳なかった』とか書いてある日もあって、それが俺をムシャクシャさせた。
マドカの話だと、短いコースを選ぶ客の方がエロく、ロングのお客さんは逆に回数が少ないようなニュアンスのことを言っていた。
俺はこのあたりも2冊目以降は注目しようと虎視眈々だった。
お茶のペットボトルを片手に戻ってきたマドカが「ちんちんは?」って聞いてくる。
「ギンギン」って俺は答えて、マドカが割と真面目な表情で、
「2冊目のノートでちんちん縮んじゃったらどうしよう…そんなのやだなぁ…」って不安そうに笑った。
163 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:28:35.73 ID:Q9KBD7kY0
「パイズリしてもらうから大丈夫」
「ずいぶん それにこだわるねw」
「あたりめーだよ、オマエなぁ…」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
マドカが本当に怯えるようにして謝ってたので、俺はグッとこらえた。
「あ、忘れてた。ノートが少ないんじゃないかっていう、その理由」
「あ、そうだ」
「でも、薄々気付いてはいるよね?ヒロシ鋭かったし」
「いやまったく」
何となく気付き始めてはいたが、マドカの言葉で言ってもらうことに意義がある。
「だからさ、NGのお客さんが増えるわけだよ」
「だよね」
「それと、最初の方の私は、出来るだけ早くお金稼いでやめたいって思ってたから」
「うん」
「ある意味張り切り過ぎて、働きすぎていたのだ」
「どのくらい?」
「生理のとき以外毎日…オープン〜ラストみたいな」
「まじか…」
「でもそれじゃ、体がもたないし、NGの客を増やしつつ」
「うん」
「時間も夕方まで、とか、夕方から、とか、そういう出勤時間にしたら自然とちょうどよい感じになった」
164 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:32:04.96 ID:Q9KBD7kY0
「そういうわけで、1冊目のペースでノートの冊数が増えたわけではない」
「なるほど」
ちょっと意地悪したくなって、俺は1冊目のノートをパラパラめくりながら言った。
「でもそれじゃ、収入が減るんじゃ? まぁ、別な収入が増えるってことだろうけど」
俺のその質問、というよりは自問自答に、マドカの表情がちょっとだけ歪んだ。
さっきまだ触れないでおこうと思った「本番」に関して、俺は我慢できずに言及した。
マドカはコップをお茶で満たしたあとに、「ごめんね」って言った。
俺は罪悪感でいっぱいだった。ワザと意地悪な言い方をしたんだって正直に言って、俺も謝った。
「でもね、本当に これだけは信じて欲しいんだけど、ソレだけで稼いでたわけじゃないの」
「わかってるよ、マドカの魅力は俺が一番わかってる」
「ありがと…」
「ま、デリ嬢としても魅力的だったってのは、俺としては嬉しくないんだけどな」
「うん…わかってる」
167 :ヒロシ:2013/05/12(日) 07:13:57.90 ID:Q9KBD7kY0
「あのね、私すごく色々なこと覚えて帰ってきてたじゃん?」
「うん」
ノートの『お客さんの特徴』って項目には、小さい字ですごく事細かく色々書いてあった。
その日何を話したのか その話題はもちろん、一緒に食べたもの、一緒に見たテレビ、時には、お客さんの家族構成まで書いてあることも。
『奥さんと子供在り』、『バツイチ』とか。
マドカが言うには、稼ぐための一番の近道は、安心安全なお客さんにいかにリピートしてもらうかが勝負だったらしく、前回呼ばれた時に どんな話をしたかを覚えていたりすると、客はその「自分のことを覚えていてくれた、忘れないでいてくれた」ってところをメチャクチャ喜ぶらしい。
確かにそれって、嬉しいかもしれない。
自分は数多くいるであろう客の男達の中でも、もしかすると印象深い特別な存在だったのかも、っていう優越感をくすぐられる仕様だ。まぁ勘違いなわけだが。
俺としては勘違いだと断言してやりたいし。
169 :ヒロシ:2013/05/12(日) 09:13:34.41 ID:Q9KBD7kY0
「だから、私はこのノートを使って、どんなお客さんなのかを徹底的に管理したの」
「うん」
前もって予約が入った場合は、それがリピーターなら前回いつ呼ばれたのかをスタッフに聞けばわかる。
それがわかれば、ノートと照合して、どんな客だったかがわかる。
もちろん、あまり気乗りのしない客だったら、その時点でNG登録もできただろうし、「金を稼ぐために我慢だ!」って気合を入れ直すことも出来たと、マドカは言う。
そして、前述した金にも心にも余裕があるっていう客層を優先的にチョイスしていったと。
「これを根気よく繰り返してたら、店にとっても私にとっても「優良客」と呼べる客が残る」
「うん」
「私のお客さんは絶対に まともなお客さんが多かった自信があるっていうのは そう言う意味」
「なるほど」
「理解してもらえた?」
「すげーよくわかった。努力したってことね」
「努力ではないかもしれない。なんか努力って言葉を使っちゃいけないジャンルの気もする」
マドカが必死だったってのは伝わってきてた。
170 :ヒロシ:2013/05/12(日) 09:14:09.94 ID:Q9KBD7kY0
「でもね、私と店にとって優良客だったとすれば」
「うん」
「それはヒロシにとってはイヤな客な場合の方が多いと思う」
「だろうなぁ」
「3冊目、4冊目ってなればなるほど、そういうお客さんばかりだよ?リピーターばかりだし」
「・・・。」
それには、今言われてみて初めて気付いた。
1冊目のノートなんて まだまだほんの序の口だってことはわかってたつもり。
でも俺を本当に苦しめる敵は、1冊目、2冊目あたりのノートでマドカにNG登録されずに生き残り、リピーターとして、3冊目〜のノートに登場する奴らなのだ。
だがしかしソイツらは、俺の知らないデリ嬢としてのマドカの姿を、ノートを通す形で俺に赤裸々に語ってくれる貴重な存在でもあるのだ。
なんだか微妙にやっかいな奴ら。心の底から憎たらしくもあり、逆に羨ましくもある。
171 :ヒロシ:2013/05/12(日) 09:15:19.00 ID:Q9KBD7kY0
「さっきヒロシが言ってた、ヘタクソじゃない、人もいるかもしれない」
「うん」
「本番する人もいるかもしれない…」
「それは確実にいるってわかってるけど…」
「なんかもう早く楽になりたい、そろそろ見ようか…」
「うん…」
マドカが言ってた「楽になる」ってどう言う意味だったのかなって時々思い出す。
俺がマドカと別れるっていう選択肢を選んだのならば、それがある意味、「マドカを一番楽にしてあげられた」のではないかと、俺はそう思うこともあったりする。
2冊目のノートが開かれた。
その1ページ目には、目標金額の残高などは記入されていなくて、いきなり顧客管理データがズラズラと並べられていた。
最初の客が、いきなり240分コースで『フェ1』だった。
『歌が上手』『薬指に指輪の跡があった、たぶん既婚者?』『超ハゲ』
2冊目のスタートとしては、なんだかすごく安心した気がする。
そこには
『話しかけても無言 ×』
『クサい…ワキガ? ×』
『痛い ×』
などと書いてあった。
時にはいきなり『×』のみ書いてあったり、デカい字で『ヘタクソっ!!! ×』とか辛辣だった。
「ヘタクソってw」
「笑いごとじゃないよ、それは私が痛かったって意味だぞ」
「あ、ごめん、ごめんな」
「うん。それに本当に我慢できないときは、痛いです、ってちゃんと言うし」
やっぱり楽な仕事ではない。俺は理解不足であった自分を戒めた。
「ヒロシはさ、たぶんこういうとこばかり見てたでしょ」
マドカがそう言って指差したところには『フェ1』って記入してあった。
「特に回数とか、そんなとこばっか見ちゃってさ。バーカ」
図星である。マドカがどうやってイカせたのか、何回イカせたのか、それは何分コースだったのか。俺は そういうところを主に見ていた。悶々としながら。
159 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:22:03.06 ID:Q9KBD7kY0
「そのうち『NG』ってのが出てくると思うんだけど」
「うん」
マドカが最後の方までページをめくって、ようやくその単語が記入してあるページがあった。
『とにかく無理 NG』
「生理的に受け付けないって意味かなコレ?」
「俺に聞かれてもwww」
「あはwww まぁ何かしらの理由で次回からNGに登録してもらってたんだよ」
「登録?」
「受付する店の電話番号あるでしょ?まぁほとんど店が携帯で受けるんだけど」
「うん」
「一度利用したお客さんの番号は全部登録されるの」
「ふーん」
「で、私がNGでお願いしたお客さんは、電話帳の登録名を『○○さん(マドカNG)』にしておく」
「ソイツから電話が来て、またマドカを指名するような場合は予約で一杯ですってなるわけだ」
「そうそう。または、本日急遽お休みです、とか。理由はどうあれ、とにかく私は行かなくて済む」
「お客さんによっては複数の女の子がNGにしてたり、店自体がNGにして、着信拒否したりするわけ」
なるほど理解。
160 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:23:15.73 ID:Q9KBD7kY0
「ああ、ここにもあるね」
最後のページにもその単語はあった。
『ヘタクソ、痛い NG』
痛いっていう文字は、なんだかすごく俺も心が痛かった。
でもそれと同時に、ちょっと別な疑問を俺に投げかけてくる。
「あの…もしかして、ヘタクソじゃないお客さん…ってのもメモってたりする?」
遠まわしな表現をしたつもりだったけど、すぐにピンとくるものがあったらしい。
マドカは俺のほうは一切見ることなく、ノートに目を落としたまま静かにこう言った。
「それは、2冊目のノートを見る覚悟があるなら、そのときにちゃんと正直に教える」
俺達はフリダシに戻ってきた。
もちろん「見る」と答えたし、ノートを全部見ないまま燃やして処分してしまうなどという選択肢は、俺には最初からなかった。
161 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:24:52.28 ID:Q9KBD7kY0
「じゃ、2人で一緒に見ようね」
別に喧嘩したつもりはなかったけど、マドカのその言葉に、仲直りしたかのような安堵を覚えた。
その安堵は決して長続きしなかったけども。
「ちょっと飲み物持ってくる」
いつの間にか2人ともコップが空っぽになってた。
きっと緊張のために、喉が乾いてしかたなかったのかもしれない。
「1冊目のノートなら、もう俺が勝手に見てもいい?」
冷蔵庫に向かってたマドカが振り返って、一瞬の間を置いてから、「いいよ」と答えた。
パラパラとページをめくりながら特定の項目をチェックする。
すると、60分コースの客と、90分コースの客が、ほぼ1回しかイってない。
120分以上のコースになるとさすがに2回って客がいたけど、それでも平均1.5回にも届いてない気がした。
162 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:26:27.73 ID:Q9KBD7kY0
マドカが言っていた通り、発射ゼロのお客さんも確かにチラホラいた。
どうやら、まだ1冊目のノートの時点では、掲示板で絶賛されるほどの高水準な仕事は出来ていなかったらしい。
それは俺を すごーく安心させたけど、マドカのコメントが『もうちょっと頑張れた気がする』『なんか申し訳なかった』とか書いてある日もあって、それが俺をムシャクシャさせた。
マドカの話だと、短いコースを選ぶ客の方がエロく、ロングのお客さんは逆に回数が少ないようなニュアンスのことを言っていた。
俺はこのあたりも2冊目以降は注目しようと虎視眈々だった。
お茶のペットボトルを片手に戻ってきたマドカが「ちんちんは?」って聞いてくる。
「ギンギン」って俺は答えて、マドカが割と真面目な表情で、
「2冊目のノートでちんちん縮んじゃったらどうしよう…そんなのやだなぁ…」って不安そうに笑った。
163 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:28:35.73 ID:Q9KBD7kY0
「パイズリしてもらうから大丈夫」
「ずいぶん それにこだわるねw」
「あたりめーだよ、オマエなぁ…」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
マドカが本当に怯えるようにして謝ってたので、俺はグッとこらえた。
「あ、忘れてた。ノートが少ないんじゃないかっていう、その理由」
「あ、そうだ」
「でも、薄々気付いてはいるよね?ヒロシ鋭かったし」
「いやまったく」
何となく気付き始めてはいたが、マドカの言葉で言ってもらうことに意義がある。
「だからさ、NGのお客さんが増えるわけだよ」
「だよね」
「それと、最初の方の私は、出来るだけ早くお金稼いでやめたいって思ってたから」
「うん」
「ある意味張り切り過ぎて、働きすぎていたのだ」
「どのくらい?」
「生理のとき以外毎日…オープン〜ラストみたいな」
「まじか…」
「でもそれじゃ、体がもたないし、NGの客を増やしつつ」
「うん」
「時間も夕方まで、とか、夕方から、とか、そういう出勤時間にしたら自然とちょうどよい感じになった」
164 :ヒロシ:2013/05/12(日) 02:32:04.96 ID:Q9KBD7kY0
「そういうわけで、1冊目のペースでノートの冊数が増えたわけではない」
「なるほど」
ちょっと意地悪したくなって、俺は1冊目のノートをパラパラめくりながら言った。
「でもそれじゃ、収入が減るんじゃ? まぁ、別な収入が増えるってことだろうけど」
俺のその質問、というよりは自問自答に、マドカの表情がちょっとだけ歪んだ。
さっきまだ触れないでおこうと思った「本番」に関して、俺は我慢できずに言及した。
マドカはコップをお茶で満たしたあとに、「ごめんね」って言った。
俺は罪悪感でいっぱいだった。ワザと意地悪な言い方をしたんだって正直に言って、俺も謝った。
「でもね、本当に これだけは信じて欲しいんだけど、ソレだけで稼いでたわけじゃないの」
「わかってるよ、マドカの魅力は俺が一番わかってる」
「ありがと…」
「ま、デリ嬢としても魅力的だったってのは、俺としては嬉しくないんだけどな」
「うん…わかってる」
167 :ヒロシ:2013/05/12(日) 07:13:57.90 ID:Q9KBD7kY0
「あのね、私すごく色々なこと覚えて帰ってきてたじゃん?」
「うん」
ノートの『お客さんの特徴』って項目には、小さい字ですごく事細かく色々書いてあった。
その日何を話したのか その話題はもちろん、一緒に食べたもの、一緒に見たテレビ、時には、お客さんの家族構成まで書いてあることも。
『奥さんと子供在り』、『バツイチ』とか。
マドカが言うには、稼ぐための一番の近道は、安心安全なお客さんにいかにリピートしてもらうかが勝負だったらしく、前回呼ばれた時に どんな話をしたかを覚えていたりすると、客はその「自分のことを覚えていてくれた、忘れないでいてくれた」ってところをメチャクチャ喜ぶらしい。
確かにそれって、嬉しいかもしれない。
自分は数多くいるであろう客の男達の中でも、もしかすると印象深い特別な存在だったのかも、っていう優越感をくすぐられる仕様だ。まぁ勘違いなわけだが。
俺としては勘違いだと断言してやりたいし。
169 :ヒロシ:2013/05/12(日) 09:13:34.41 ID:Q9KBD7kY0
「だから、私はこのノートを使って、どんなお客さんなのかを徹底的に管理したの」
「うん」
前もって予約が入った場合は、それがリピーターなら前回いつ呼ばれたのかをスタッフに聞けばわかる。
それがわかれば、ノートと照合して、どんな客だったかがわかる。
もちろん、あまり気乗りのしない客だったら、その時点でNG登録もできただろうし、「金を稼ぐために我慢だ!」って気合を入れ直すことも出来たと、マドカは言う。
そして、前述した金にも心にも余裕があるっていう客層を優先的にチョイスしていったと。
「これを根気よく繰り返してたら、店にとっても私にとっても「優良客」と呼べる客が残る」
「うん」
「私のお客さんは絶対に まともなお客さんが多かった自信があるっていうのは そう言う意味」
「なるほど」
「理解してもらえた?」
「すげーよくわかった。努力したってことね」
「努力ではないかもしれない。なんか努力って言葉を使っちゃいけないジャンルの気もする」
マドカが必死だったってのは伝わってきてた。
170 :ヒロシ:2013/05/12(日) 09:14:09.94 ID:Q9KBD7kY0
「でもね、私と店にとって優良客だったとすれば」
「うん」
「それはヒロシにとってはイヤな客な場合の方が多いと思う」
「だろうなぁ」
「3冊目、4冊目ってなればなるほど、そういうお客さんばかりだよ?リピーターばかりだし」
「・・・。」
それには、今言われてみて初めて気付いた。
1冊目のノートなんて まだまだほんの序の口だってことはわかってたつもり。
でも俺を本当に苦しめる敵は、1冊目、2冊目あたりのノートでマドカにNG登録されずに生き残り、リピーターとして、3冊目〜のノートに登場する奴らなのだ。
だがしかしソイツらは、俺の知らないデリ嬢としてのマドカの姿を、ノートを通す形で俺に赤裸々に語ってくれる貴重な存在でもあるのだ。
なんだか微妙にやっかいな奴ら。心の底から憎たらしくもあり、逆に羨ましくもある。
171 :ヒロシ:2013/05/12(日) 09:15:19.00 ID:Q9KBD7kY0
「さっきヒロシが言ってた、ヘタクソじゃない、人もいるかもしれない」
「うん」
「本番する人もいるかもしれない…」
「それは確実にいるってわかってるけど…」
「なんかもう早く楽になりたい、そろそろ見ようか…」
「うん…」
マドカが言ってた「楽になる」ってどう言う意味だったのかなって時々思い出す。
俺がマドカと別れるっていう選択肢を選んだのならば、それがある意味、「マドカを一番楽にしてあげられた」のではないかと、俺はそう思うこともあったりする。
2冊目のノートが開かれた。
その1ページ目には、目標金額の残高などは記入されていなくて、いきなり顧客管理データがズラズラと並べられていた。
最初の客が、いきなり240分コースで『フェ1』だった。
『歌が上手』『薬指に指輪の跡があった、たぶん既婚者?』『超ハゲ』
2冊目のスタートとしては、なんだかすごく安心した気がする。
\ シェアする /
関連記事
- バイト帰りに出会った女子高生との数年間の話
- 妹とSEXしてしまいました
- バイトに出逢いなんてある訳ない
- 風俗嬢だった過去を持つ彼女が語った衝撃的な体験談(デリ嬢時代のプレイ再現編)
- 風俗嬢だった過去を持つ彼女が語った衝撃的な体験談
- 「機械と少年」
- タコ部屋から逃亡
- 伝説の風俗島
- みんなの大好きな、みどりいろのあいつの話
- ドッペルゲンガーと人生を交換した話
- 机の上に予言が書いてあった。
- 涙の色は赤がいいだろ?
- なにかと縁のあるバレンタインデー
- 俺と犬と女の子の話
- 死の淵から
- コンビニによく来るJCから告られたんだけど
- 破局か再構築か
- 落書きの導き
- 十年前から電話がかかってきた
- 待っていてくれる紗代
- 寝れないから仕事先の楽しい出来事書いてく
- 私を抱いた風俗嬢たちの話をしよう
- アルミ缶の上に
- ソープへ行けと彼女は言った。
- トイレットペーパー抱えてた寮の女の子に声をかけた話
- 叶わない夢を見続ける少年の物語
- 私を抱いた風俗嬢たちの話をしよう3
- 女を極限まで調教していた友人の話
- 記憶を消せる女の子の話
- 童貞と共に人として大切な何かを亡くした話4(フリーディレクター編)
- 童貞と共に人として大切な何かを亡くした話5(ロケ編)
- 童貞と共に人として大切な何かを亡くした話6(事務所立ち上げ編)
- 童貞と共に人として大切な何かを亡くした話7(マネージャー編)
- 童貞と共に人として大切な何かを亡くした話8(結衣編)
- 童貞と共に人として大切な何かを亡くした話9【完結】
- 私を抱いた風俗嬢たちの話をしよう2
- 同じアパートに住んでいた病弱な女の子の話
- 今日、彼女の父親は死ぬ
-