絶対に読んではいけない本を小学生の頃に読んでしまった話
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79 :本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 22:26:01.07 ID:5bIaa9ZrT
本屋は今で言う大手古本チェーン店並みの規模を誇る新刊しか置いてない店だった。
この店に置いて無い筈が無い。
早速俺達は配置してそうなコーナーへ向かうと、何とも簡単に見つけた。
流行りの自殺マニュアルを筆頭に、それに類似する本が10種類位あった。
俺達は他の本に目もくれず目的の自殺マニュアルを手に取ると適当なページを開いた。
が、それは まさに本当の自殺マニュアルだった。
俺達はここにきて始めて自殺マニュアルの題名間違いと思っていた完全犯罪マニュアルが別の物と気づいた。
その本は それはそれで何と無く子供心をくすぐる内容だったが、時間が無かったのでAに自殺マニュアルは今度見ようと伝えると今度は別々に類似品を漁った。
結果は、無かった。
どういう事かさっぱり分からなかった。
Aにどうすると聞くと時間がヤバイから明日にしようと意見が一致したので、その日はモヤモヤしながら家に帰った。
80 :本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 23:03:51.31 ID:5bIaa9ZrT
今日はここまでにしときます。
不可解な体験の方で少し情報が入っていたので俺も思ったんだけど、当時 凄い類似本でてたんだよね。
んで探しまくったんだけど一つも出てこなかったのよ。
でも通販には載ってたのよね、だから絶対買ってる人がいてる筈
そこのあなた、持ってるんじゃないですか?
ちなみにワニブックの方はどうも違ったみたいです、ありがとうございました。
こう言う風にクールダウンしないと何故か喉がカラカラになって指が震えるよね。
実話オカルト書いてる人って凄いなと思う。
そんなわけで明日も規制されてると思うんで、また出来るだけ書き溜めていきたいと思ってます。
最後にもう一度書きますが、あなた、持ってるんじゃないですか?
81 :本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 23:05:17.38 ID:ZEKBVAFr0
持ってねえよ
でも話の続きを聞かないと絶対とは言えないな
82 :本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 23:06:06.14 ID:ZEKBVAFr0
データハウスの「悪のマニュアル」なら持ってたけど中身がどうも違うし
83 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:45:31.02 ID:FROXnkr4T
>>82
あー、なんか いっきにに分かったような気がする。
悪のマニュアルをググったら悪の手引き書ってのが出てきた、両方とも完全犯罪マニュアルとは違うんだけど少しづつ違うんだよね。
思い返せば自殺マニュアの模造品も少しづつ違う。
完全犯罪マニュアルは存在したけど、存在してなかったと考えるのが正しいのか。。。
取り敢えず書いてきたんで続き投下します。
84 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:47:00.45 ID:FROXnkr4T
次の日、学校で弟に あの後どうなったか話を聞いた。
兄貴は物凄く怒っていたが、最後まで読んでないなら別にいいみたいな事を言い
俺ら2人には、絶対本を探すなと伝える様に言われたらしい。
弟に悪い事をしたので申し訳なさそうに2人で謝ったが、Aも俺も兄貴の話に従うつもりは全く無かった。
その日から俺とAは弟を抜きにして2人で本屋巡りをした。
自転車で行ける範囲や、時には電車で遠くの本屋まで行ったが、なんの成果も無かった。
本屋巡りの帰り道に、久しぶりに弟も誘ってちょっと公園で遊ぼうかって話しになって駅から弟の家に向かった。
インターホンを鳴らすと直ぐに出てきてバットとボールを持って公園に向かった。
公園で適当に遊んで話しをしてたら、最近兄貴の様子がおかしいと弟が言ってきた。
話の内容は、兄貴は学校に行ってるフリをしていたが、学校からの電話で登校してない事がバレて、親に散々怒られたが、逆に暴れるくらい叫んで親も対応に困ってるらしい。
Aは ふぅーんと感心なさそうだったけど、俺は弟の兄貴をよく知ってたから、兄貴が親に反抗する姿が想像つかなかったので、どうしたんだろうと思った。
弟は兄ちゃんは学校サボって何処に行ってるんだろうと不思議そうに言ったが、見当はつかないようだった。
その後は、妄想の話をダラダラと話して解散した。
85 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:48:33.74 ID:FROXnkr4T
次の日、Aと弟に遊ぶ約束をして学校が終わると一目散に家に帰った。
俺は、いつもの通り引き戸をガラッと開けて一歩足を踏み入れた
しかし、その時なんとも言えない違和感を感じた。
引き戸を開けるまで忘れていたが今日は かーちゃんのパートの日。
俺は いつも、そう、いつも取り敢えず勢いで引き戸を開けようとするが、かーちゃんのパートの日はガチャンと音をたてて扉が開く事はなかった。
俺が鍵を閉め忘れた時は散々怒るかーちゃんが鍵を閉め忘れる事なんて まずありえない。
もしかしてパートが休み?そんな事を思って電気のついてない家の中を見た。
俺の家は2部屋とキッチンからなるアパートだったんだけど、押入れが普通のアパートと違い壁際になく前の部屋と奥の部屋を分けるように何故か真ん中に押入れがあり、その横に奥の部屋に続く廊下が1m位ある、奥まで目が通しにくい作りになっていた。
一階なので裏の物干し場からの光もあまりなく、一般のアパートより更に暗さが増していた。
いつもの家?いつもの暗さ?いつもの空気?何かが違う
俺は耳に神経を集中して、見えにくい奥の方まで凝視した。
1秒、2秒、3秒、動く物、動く音を逃すまいと俺は集中した。
そして、目線は部屋から外さず、ゆっくりと玄関にカバンを置いて、肺いっぱいに息を吸うと、俺は自分の中で1番と思える程の声を張り上げた!
ヤバイ!
脱兎の如く玄関から飛び出して、俺はAの家に向かった。
絶対何か居た、幽霊とか化け物の類じゃない、人だ!
間違い無く人の気配がした、それは端から見える目とかそんなんじゃなく、本当に微妙な影の様な揺らぎ。
逃げているのか助けを求めて走っているのか分からないまま、Aの家に走った。
Aの家が見えて失速する、それと同時にAが居てるか確認するように目線がAの自転車に向いた。
自転車はある、自転車はあったけど、キーの挿さっていない鍵のロックが外れていた。
86 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:58:13.11 ID:GL6uK0fQ0
ゴクリ…
87 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 22:02:21.64 ID:FROXnkr4T
いつもの調子でAの名前を呼んでドアを開けた。
すぐさま飛び込むと、来るの早いなと暖気に出迎えてくれた。
俺は おばちゃんが近くに居てない事を確認してAに鍵の事を伝えた。
Aは少し驚いてドアを少し開けて周りを見回した。
誰も居てないみたいだぞと俺に伝えると、自分の自転車を確認しに出た。
確かに誰かにやられてる、当然俺に疑いの目を向けたが、絶対に違うと言うと信じてくれた。
思い当たるのは俺とAと弟と兄貴だ。
Aは直ぐに2人に聞きに行こうと言ったが俺は先ず、弟と兄貴に話を聞きに行く前に俺の家を確認する方が早いかも知れないと言った。
俺の中では弟の線は消えていた、何故なら同時に下校した事を考えると時間的に無理だからだ。
もし兄貴が鍵を開けたなら、まだ家に居てるかも知れない。
何の理由か分からないが もしかしたら驚かそうとしたのかもしれない。
そんな事を言いながらAと俺は家まで走った。
Aが着いて来てくれてるので、少し不安は和らいだと思ったが、アパートの前まで来ると俺は更に怖くなった。
引き戸が閉まっている。
恥ずかしながら、いちいち引き戸を閉めて逃げる程の余裕を持ち合わせて無かった俺は絶対そのままAの家まで走って行った筈。
多分 今自分の顔を見たら能面のように喜怒哀楽が無いような顔をしてるんだろう。
俺は勇気を出して、引き戸の取っ手に指をかけると横にスライドさせるよう、右に力を入れた。
ガチャンと音がして、引き戸は鍵が掛かっている事を示した。
90 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:34:58.06 ID:aFKLnE6IT
引き戸の磨りガラスの向こう側に俺のカバンが透けて見える。
怖かった、本当に怖かった。
俺は心の葛藤をAに伝えず呑み込んで、首から下げている紐を手繰り寄せ、その先に縛ってある家の鍵を取り出し鍵穴に差し込んだ。
金属の擦れる音も解錠した感触も全て指先から伝わってきた。
加減を忘れたのか、中の誰かに伝えたかったのか、俺は取っ手にかけた指を力一杯右にスライドさせた。
大きな音とともに開かれた引き戸、少し身構えたAと俺は見える場所全てに目を通した。
とても穏やかだった。
先程の入る事を拒む様な空気は無く、いつもの安全な家族を守ってくれる、ただの家に戻っていた。
それは、Aが隣に居てるから心に余裕が出来たせいか、それとも攻める側にまわったからなのか分からないが。
電気は変わらず点いてなかったけど、怖い暗さでは無くなっていた。
俺はAを玄関に待たせると、小走りで部屋の中や押入れ、物干し場も一応目を通してAに居ない事を伝えた。
91 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:36:40.07 ID:aFKLnE6IT
こうなると、やはり弟の家に行くしかない。
今度は鍵をしっかり閉めて弟の家に向かった。
インターホンを押して間も無く弟が出てきた。
俺達は小声で鍵の話を伝えようとしたけど、どうも様子がおかしい。
何か奥から弟の婆ちゃんの泣き声も聞こえる。
弟は言いにくそうな態度で口を開くと「兄ちゃんが捕まった」と小さな声で呟いた。
その言葉に2人して呆気にとられていると、弟が もしかしたら あの本のせいかなぁと消えそうな声で呟いた。
確かに兄貴が変わったのは本が届いてからだ。
俺達が勝手に読んだ時のキレっぷりも今まで見た事がない態度だったし。
話が途切れて、一応鍵の話も軽くしておいたが根本はやっぱりあの完全犯罪マニュアルにあると思った俺は、今のうちに何が書いてあったか見た方がいいんじゃないか?と弟に言うと、同意して部屋に案内してくれた。
92 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:37:20.40 ID:aFKLnE6IT
階段を上がる途中、お婆ちゃんのすすり泣く声が廊下に響いた。
弟が学校から帰って来た時、母親が不在でお婆さん1人で泣いていたらしい。
お婆さんに泣いてる理由を聞いたところ、兄貴を迎えに警察に行ったと弟に伝え。
「後は ずっと泣いてて理由は わからなかった」
弟はボソボソと話した。
兄貴の部屋の前に着くと何も考えずに弟が扉を開けた。
俺は心の中で拍子抜けした。
前のように鍵がかかっているものと思ったからだ。
2人とも何事も無く部屋に入って行くので俺も黙ってそれに続いた。
部屋の中に入ると1番最初に目がいったのは窓だった。
厳重にテープで貼られた窓は何かの侵入を防ぐ為にしか見えなかった。
Aは口に出して気持ち悪いと言ったが、俺は黙って本探しに取りかかった。
先ずは机からと、半分ある筈無いと心の何処かで思いつつ引き出しを引いた。
一体全体何がなんなのか。
グシャグシャになった完全犯罪マニュアルがそこにポツンと入っていた。
93 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:39:20.21 ID:aFKLnE6IT
2人も流石にそれには面食らったのか驚きの声をあげた。
本を手に取ると表紙の部分に水が流れた様な跡が付いていた。
ボンヤリ眺めていると、2人に急かされ急いでページをめくった。
真ん中辺りを開くと道具の項目が開いた。
あまり時間も無いと思い、そこからページを弾くように淡々とめくっていった。
武器から通信、盗聴、そして薬とある程度目を通して、先を急いだ。
残りのページも少なくなった時に目に飛び込んで来たのは、人だった。
年齢も性別も書けないが、俺達はただ今すぐ本を捨てたかった。
壊れていく写真を無言で眺めてページをめくる。
最期の数ページになった時、俺は泣いていたのかもしれない、目の前が歪んだまま最後のページをめくった。
右1ページ全面に拡大された顔
左のページに文書が2行、たった、2行の文で俺達は完全に壊された。
本屋は今で言う大手古本チェーン店並みの規模を誇る新刊しか置いてない店だった。
この店に置いて無い筈が無い。
早速俺達は配置してそうなコーナーへ向かうと、何とも簡単に見つけた。
流行りの自殺マニュアルを筆頭に、それに類似する本が10種類位あった。
俺達は他の本に目もくれず目的の自殺マニュアルを手に取ると適当なページを開いた。
が、それは まさに本当の自殺マニュアルだった。
俺達はここにきて始めて自殺マニュアルの題名間違いと思っていた完全犯罪マニュアルが別の物と気づいた。
その本は それはそれで何と無く子供心をくすぐる内容だったが、時間が無かったのでAに自殺マニュアルは今度見ようと伝えると今度は別々に類似品を漁った。
結果は、無かった。
どういう事かさっぱり分からなかった。
Aにどうすると聞くと時間がヤバイから明日にしようと意見が一致したので、その日はモヤモヤしながら家に帰った。
80 :本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 23:03:51.31 ID:5bIaa9ZrT
今日はここまでにしときます。
不可解な体験の方で少し情報が入っていたので俺も思ったんだけど、当時 凄い類似本でてたんだよね。
んで探しまくったんだけど一つも出てこなかったのよ。
でも通販には載ってたのよね、だから絶対買ってる人がいてる筈
そこのあなた、持ってるんじゃないですか?
ちなみにワニブックの方はどうも違ったみたいです、ありがとうございました。
こう言う風にクールダウンしないと何故か喉がカラカラになって指が震えるよね。
実話オカルト書いてる人って凄いなと思う。
そんなわけで明日も規制されてると思うんで、また出来るだけ書き溜めていきたいと思ってます。
最後にもう一度書きますが、あなた、持ってるんじゃないですか?
81 :本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 23:05:17.38 ID:ZEKBVAFr0
持ってねえよ
でも話の続きを聞かないと絶対とは言えないな
82 :本当にあった怖い名無し:2013/06/28(金) 23:06:06.14 ID:ZEKBVAFr0
データハウスの「悪のマニュアル」なら持ってたけど中身がどうも違うし
83 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:45:31.02 ID:FROXnkr4T
>>82
あー、なんか いっきにに分かったような気がする。
悪のマニュアルをググったら悪の手引き書ってのが出てきた、両方とも完全犯罪マニュアルとは違うんだけど少しづつ違うんだよね。
思い返せば自殺マニュアの模造品も少しづつ違う。
完全犯罪マニュアルは存在したけど、存在してなかったと考えるのが正しいのか。。。
取り敢えず書いてきたんで続き投下します。
84 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:47:00.45 ID:FROXnkr4T
次の日、学校で弟に あの後どうなったか話を聞いた。
兄貴は物凄く怒っていたが、最後まで読んでないなら別にいいみたいな事を言い
俺ら2人には、絶対本を探すなと伝える様に言われたらしい。
弟に悪い事をしたので申し訳なさそうに2人で謝ったが、Aも俺も兄貴の話に従うつもりは全く無かった。
その日から俺とAは弟を抜きにして2人で本屋巡りをした。
自転車で行ける範囲や、時には電車で遠くの本屋まで行ったが、なんの成果も無かった。
本屋巡りの帰り道に、久しぶりに弟も誘ってちょっと公園で遊ぼうかって話しになって駅から弟の家に向かった。
インターホンを鳴らすと直ぐに出てきてバットとボールを持って公園に向かった。
公園で適当に遊んで話しをしてたら、最近兄貴の様子がおかしいと弟が言ってきた。
話の内容は、兄貴は学校に行ってるフリをしていたが、学校からの電話で登校してない事がバレて、親に散々怒られたが、逆に暴れるくらい叫んで親も対応に困ってるらしい。
Aは ふぅーんと感心なさそうだったけど、俺は弟の兄貴をよく知ってたから、兄貴が親に反抗する姿が想像つかなかったので、どうしたんだろうと思った。
弟は兄ちゃんは学校サボって何処に行ってるんだろうと不思議そうに言ったが、見当はつかないようだった。
その後は、妄想の話をダラダラと話して解散した。
85 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:48:33.74 ID:FROXnkr4T
次の日、Aと弟に遊ぶ約束をして学校が終わると一目散に家に帰った。
俺は、いつもの通り引き戸をガラッと開けて一歩足を踏み入れた
しかし、その時なんとも言えない違和感を感じた。
引き戸を開けるまで忘れていたが今日は かーちゃんのパートの日。
俺は いつも、そう、いつも取り敢えず勢いで引き戸を開けようとするが、かーちゃんのパートの日はガチャンと音をたてて扉が開く事はなかった。
俺が鍵を閉め忘れた時は散々怒るかーちゃんが鍵を閉め忘れる事なんて まずありえない。
もしかしてパートが休み?そんな事を思って電気のついてない家の中を見た。
俺の家は2部屋とキッチンからなるアパートだったんだけど、押入れが普通のアパートと違い壁際になく前の部屋と奥の部屋を分けるように何故か真ん中に押入れがあり、その横に奥の部屋に続く廊下が1m位ある、奥まで目が通しにくい作りになっていた。
一階なので裏の物干し場からの光もあまりなく、一般のアパートより更に暗さが増していた。
いつもの家?いつもの暗さ?いつもの空気?何かが違う
俺は耳に神経を集中して、見えにくい奥の方まで凝視した。
1秒、2秒、3秒、動く物、動く音を逃すまいと俺は集中した。
そして、目線は部屋から外さず、ゆっくりと玄関にカバンを置いて、肺いっぱいに息を吸うと、俺は自分の中で1番と思える程の声を張り上げた!
ヤバイ!
脱兎の如く玄関から飛び出して、俺はAの家に向かった。
絶対何か居た、幽霊とか化け物の類じゃない、人だ!
間違い無く人の気配がした、それは端から見える目とかそんなんじゃなく、本当に微妙な影の様な揺らぎ。
逃げているのか助けを求めて走っているのか分からないまま、Aの家に走った。
Aの家が見えて失速する、それと同時にAが居てるか確認するように目線がAの自転車に向いた。
自転車はある、自転車はあったけど、キーの挿さっていない鍵のロックが外れていた。
86 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 21:58:13.11 ID:GL6uK0fQ0
ゴクリ…
87 :本当にあった怖い名無し:2013/06/29(土) 22:02:21.64 ID:FROXnkr4T
いつもの調子でAの名前を呼んでドアを開けた。
すぐさま飛び込むと、来るの早いなと暖気に出迎えてくれた。
俺は おばちゃんが近くに居てない事を確認してAに鍵の事を伝えた。
Aは少し驚いてドアを少し開けて周りを見回した。
誰も居てないみたいだぞと俺に伝えると、自分の自転車を確認しに出た。
確かに誰かにやられてる、当然俺に疑いの目を向けたが、絶対に違うと言うと信じてくれた。
思い当たるのは俺とAと弟と兄貴だ。
Aは直ぐに2人に聞きに行こうと言ったが俺は先ず、弟と兄貴に話を聞きに行く前に俺の家を確認する方が早いかも知れないと言った。
俺の中では弟の線は消えていた、何故なら同時に下校した事を考えると時間的に無理だからだ。
もし兄貴が鍵を開けたなら、まだ家に居てるかも知れない。
何の理由か分からないが もしかしたら驚かそうとしたのかもしれない。
そんな事を言いながらAと俺は家まで走った。
Aが着いて来てくれてるので、少し不安は和らいだと思ったが、アパートの前まで来ると俺は更に怖くなった。
引き戸が閉まっている。
恥ずかしながら、いちいち引き戸を閉めて逃げる程の余裕を持ち合わせて無かった俺は絶対そのままAの家まで走って行った筈。
多分 今自分の顔を見たら能面のように喜怒哀楽が無いような顔をしてるんだろう。
俺は勇気を出して、引き戸の取っ手に指をかけると横にスライドさせるよう、右に力を入れた。
ガチャンと音がして、引き戸は鍵が掛かっている事を示した。
90 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:34:58.06 ID:aFKLnE6IT
引き戸の磨りガラスの向こう側に俺のカバンが透けて見える。
怖かった、本当に怖かった。
俺は心の葛藤をAに伝えず呑み込んで、首から下げている紐を手繰り寄せ、その先に縛ってある家の鍵を取り出し鍵穴に差し込んだ。
金属の擦れる音も解錠した感触も全て指先から伝わってきた。
加減を忘れたのか、中の誰かに伝えたかったのか、俺は取っ手にかけた指を力一杯右にスライドさせた。
大きな音とともに開かれた引き戸、少し身構えたAと俺は見える場所全てに目を通した。
とても穏やかだった。
先程の入る事を拒む様な空気は無く、いつもの安全な家族を守ってくれる、ただの家に戻っていた。
それは、Aが隣に居てるから心に余裕が出来たせいか、それとも攻める側にまわったからなのか分からないが。
電気は変わらず点いてなかったけど、怖い暗さでは無くなっていた。
俺はAを玄関に待たせると、小走りで部屋の中や押入れ、物干し場も一応目を通してAに居ない事を伝えた。
91 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:36:40.07 ID:aFKLnE6IT
こうなると、やはり弟の家に行くしかない。
今度は鍵をしっかり閉めて弟の家に向かった。
インターホンを押して間も無く弟が出てきた。
俺達は小声で鍵の話を伝えようとしたけど、どうも様子がおかしい。
何か奥から弟の婆ちゃんの泣き声も聞こえる。
弟は言いにくそうな態度で口を開くと「兄ちゃんが捕まった」と小さな声で呟いた。
その言葉に2人して呆気にとられていると、弟が もしかしたら あの本のせいかなぁと消えそうな声で呟いた。
確かに兄貴が変わったのは本が届いてからだ。
俺達が勝手に読んだ時のキレっぷりも今まで見た事がない態度だったし。
話が途切れて、一応鍵の話も軽くしておいたが根本はやっぱりあの完全犯罪マニュアルにあると思った俺は、今のうちに何が書いてあったか見た方がいいんじゃないか?と弟に言うと、同意して部屋に案内してくれた。
92 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:37:20.40 ID:aFKLnE6IT
階段を上がる途中、お婆ちゃんのすすり泣く声が廊下に響いた。
弟が学校から帰って来た時、母親が不在でお婆さん1人で泣いていたらしい。
お婆さんに泣いてる理由を聞いたところ、兄貴を迎えに警察に行ったと弟に伝え。
「後は ずっと泣いてて理由は わからなかった」
弟はボソボソと話した。
兄貴の部屋の前に着くと何も考えずに弟が扉を開けた。
俺は心の中で拍子抜けした。
前のように鍵がかかっているものと思ったからだ。
2人とも何事も無く部屋に入って行くので俺も黙ってそれに続いた。
部屋の中に入ると1番最初に目がいったのは窓だった。
厳重にテープで貼られた窓は何かの侵入を防ぐ為にしか見えなかった。
Aは口に出して気持ち悪いと言ったが、俺は黙って本探しに取りかかった。
先ずは机からと、半分ある筈無いと心の何処かで思いつつ引き出しを引いた。
一体全体何がなんなのか。
グシャグシャになった完全犯罪マニュアルがそこにポツンと入っていた。
93 :本当にあった怖い名無し:2013/06/30(日) 20:39:20.21 ID:aFKLnE6IT
2人も流石にそれには面食らったのか驚きの声をあげた。
本を手に取ると表紙の部分に水が流れた様な跡が付いていた。
ボンヤリ眺めていると、2人に急かされ急いでページをめくった。
真ん中辺りを開くと道具の項目が開いた。
あまり時間も無いと思い、そこからページを弾くように淡々とめくっていった。
武器から通信、盗聴、そして薬とある程度目を通して、先を急いだ。
残りのページも少なくなった時に目に飛び込んで来たのは、人だった。
年齢も性別も書けないが、俺達はただ今すぐ本を捨てたかった。
壊れていく写真を無言で眺めてページをめくる。
最期の数ページになった時、俺は泣いていたのかもしれない、目の前が歪んだまま最後のページをめくった。
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左のページに文書が2行、たった、2行の文で俺達は完全に壊された。
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