ドッペルゲンガーと人生を交換した話
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90 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:31:19.09 ID:EjVEnkhT.net
「……バカ」
七瀬のその言葉に、棘はなかった。
「そんのことしなくたったって……私は……」
その声はとても優しくて、俺を包み込んでくれるような暖かいものだった。
91 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:31:55.97 ID:EjVEnkhT.net
「あのー、甘い雰囲気出すのやめてもらっていいですか?」
椿の言葉で、俺は現実に戻った。
「そろそろ、話を戻しましょうか。何故、貴方と僕が似ているか」
「ああ、教えろ。偶然じゃないのか?」
「何度も言わせないでくださいよ。本当に馬鹿なんですか?」
「いい加減にしろよ。早く話せ」
もう俺の椿に対する感情は、嫌悪感しかなくなっていた。
92 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:32:32.49 ID:EjVEnkhT.net
「そうですね、まぁ、その前に貴方さっき、僕が命を狙われていると言いましたね」
「あぁ、俺は、だから俺を身代わりにするために、入れ替わりを持ちかけたと思っていた」
「それですね、まず、それ、さっきも言いましたが、完全に的外れ、見当違いもいいところだ。むしろ命を狙われているのは貴方の方ですよ」
「俺? なんで俺が?」
「昨日のその看板、落とした人は僕ではなく、貴方が柊 京介だと認識した上で、貴方を殺そうとした」
「だからどうして?」
この前も言ったが、俺に命を狙われる心当たりなんて一つも……
「それじゃあ話しましょうか。僕と貴方が似ている理由」
93 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:33:06.04 ID:EjVEnkhT.net
こいつは何がしたいんだ?どんどん疑問を増やされる。それでも、俺はただ聞くしかないこいつの話を。
そしてそれは七瀬も同じのようだった。
二つの視線が椿に集まる。
94 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:34:06.54 ID:EjVEnkhT.net
「僕は一週目の貴方です」
「は?」
こいつは何を言っているんだ。どういう意味だ。ふざけてるのか?
「はは、冗談ですよ」
「と言うとでも思いました? 冗談じゃないですよ、何度でも言いましょうか? 僕は一週目の貴方です、柊 京介」
95 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:35:21.08 ID:EjVEnkhT.net
意味がわからない。話が見えてこない。
「最初に会った時も言ったでしょ、僕は貴方ですって。僕、あんまり嘘つかない方なんですよ」
駄目だやっぱりわからない。何を聞いたらいいかもわからない。一週目ってなんだ。
俺の頭の中は、疑問符で埋め尽くされていた。
それをおかまいなしに椿は話し始めた。
一週目とやらのことを。
96 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:38:28.25 ID:EjVEnkhT.net
僕は独りだった。
小学生の頃はまだよかった。たまに、友達と遊んだりした記憶もあるし、少しは社交的だったと思う。
けど中学生になってからは全然駄目だった。
人との喋り方がわからなくなっちゃたんだ。
97 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:39:31.96 ID:EjVEnkhT.net
中学生の頃の僕は本当、酷かったと思うよ。
学校では毎日、ずっと時計を見て、早く時間が過ぎないかなと思ってた。
学校っていうのはさ、友達がいない人のためにできてないんだ。
友達がいない人はどうやったって、不幸になる仕組みなんだよ。
98 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:39:51.89 ID:EjVEnkhT.net
そしてそれは、高校生になっても一緒だった。
中学の時点で、僕の性格はほぼ固まってしまったからね。人と話すのが苦手になってたんだ。
それが高校生になった途端、急になおるなんてことはありえなかった。
僕はずっと独りだったよ。
そう、いつでも。
99 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:40:38.18 ID:EjVEnkhT.net
さぁ、ここで、一人の女の子の話をしておこうかな。
その子は僕が小学生の時、転校してきたんだけどさ、一目見た瞬間に、僕はその子のことしか考えられなくなるくらい、彼女に惹かれていた。
一目惚れってああいうことを言うんだろうね。
100 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:41:04.34 ID:EjVEnkhT.net
その子は、いつまでもクラスに馴染めなかった。
彼女は少しは異質だったからね、小学生の僕達はその異質な少女を、受け入れることができなかったんだ。
それは、僕も例外ではなかった。僕は彼女に話しかけることができなかった。何回かチャンスはあったと思う。でも話せなかった。
小学生の仲間意識って怖いんだよ。僕が彼女に話しかけてたら、僕も異質として扱われてただろうね。
僕はそれを恐れた。彼女と話して、自分も異質になる勇気がなかったんだ。
101 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:42:26.95 ID:EjVEnkhT.net
そのまま僕は彼女と一度も話せないまま、僕は小学校を卒業した。
中学校も別々だったから、それから彼女に会うこともなかった。
102 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:42:48.60 ID:EjVEnkhT.net
そろそろ話を戻そうか。
えーと、そう高校の話だ。
高校生の僕は相変わらず独りだった。
それで、その高校で僕は運命の再会を果たしたんだ。
103 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:43:25.82 ID:EjVEnkhT.net
入学式でその子に再会したんだ。そして驚くことに、彼女は僕のことを覚えててくれたんだ。
それからはたまに彼女に会うと、少し話をするようになった。クラスは違かったから、あんまり会う機会はなかったけどね。
でも、僕にはそれだけで十分だった。クラスでは相変わらず独りだったけど、たまに彼女と話せるのが本当に楽しかったんだ。
104 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:44:55.63 ID:EjVEnkhT.net
それなのに僕は、やってはいけないことをやってしまったんだ。
彼女と再会してから一ヶ月たったころかな、下校中同じ制服を着た奴が他校の生徒に絡まれてるなと思ったら、その子だった。
かっこいいヒーローだったら、ここで彼女の手を引いて駆け出すんだろうね、きっと。
105 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:46:01.68 ID:EjVEnkhT.net
でも、僕はヒーロにはなれなかった。
逃げたんだ、僕は。走って、独りで逃げた。
去り際彼女と目があったんだ。その目はすごく悲しそうだった。
106 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:46:21.04 ID:EjVEnkhT.net
次の日から僕は学校に行かなくなった。
ずっと部屋に引きこもってたんだ。
それで、一ヶ月くらい過ぎたころかな、なんかもう全部がどうでもよくなっちゃってさ、僕は久しぶりに学校に行った。
親は喜んでたよ、笑っちゃうよね、僕が何のために学校に行くかも知らないでさ。
109 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:48:34.92 ID:EjVEnkhT.net
学校に着いたら僕はすぐ屋上に行った。なんかさ、決着をつけるならここだ、って思ったんだよね。
ずっと僕を苦しめてきた空間。ここしかないなって思ったんだ。
人生に決着をつけるならさ。
僕は屋上から飛び降りた。
そして死んだ……
110 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:49:51.57 ID:EjVEnkhT.net
はずだった。
気付いたら僕は体が縮んでーー
いや、ごめん冗談だよ。うん、でもあながち冗談でもないんだ。
気付いたら赤ちゃんになってた
111 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:16.48 ID:EjVEnkhT.net
本当に驚いたよ、だって赤ちゃんだよ、さっきまで高校生だったのに。
それで親なんだけどさ、変わってたんだ。高校生の時の僕の親じゃなかった。
それに、その後知ることになるんだけど、僕の名前も変わってた。いったい何が起こったのかと思ったよ。
夢かとも思った。でも夢じゃなかった。
いや、もしかしたら夢かもしれないよ。
だけどもうこれだけ時間が経ってるんだ、たとえ夢だとしても僕にとってはこれが現実だ。
112 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:42.00 ID:EjVEnkhT.net
まぁ、いいや。
それで、最初は驚いたんだけどさ、段々、これはチャンスだと思うようになったんだ。
一から人生をやり直すね。
ほら、よくあるだろ、子供のころに戻って人生をやり直すとかさ。
まぁ、僕の場合は全くの別人になったわけだけど。
113 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:59.77 ID:EjVEnkhT.net
とにかく僕は人生をやり直すことにした。
それは苦痛を伴うものでもあったけどね、考えても見てよ、高校生が幼稚園とかにかようんだよ。
あんまり突出した天才になるわけにもいかないからね、周りより少しできる程度に抑えなくちゃいけなかった。
114 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:51:52.05 ID:EjVEnkhT.net
でも、中学生くらいになるとわりと楽しかったよ。一週目とは違う、とても楽しい学校生活だったからね。
それに一週目の記憶のおかげで、周りよりも優位に立てた。
勉強とかは忘れてしまったものも多かったけど、それでも周りよりはハンデがあった。
加えて、僕は真剣に生きたんだ。
前の記憶があるからってそれに胡座をかいたりせず、真面目に授業も受けたし、真面目にみんなに馴染もうとした。
115 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:52:13.22 ID:EjVEnkhT.net
そのおかげで僕は、一週目とは似ても似つかない、絵に描いたような人気者になれた。
まぁ、成長していくうちにわかったことだけど、顔は一週目と同じだったんだけどね。
なんでだろうね、名前も親も住んでる場所も全く違う別人になったのにさ、顔だけは一緒だった。
まぁ、別にそれで困ることもなかったけどね。上京して、高校に入ってからも、それは変わらなかった。
117 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:53:25.85 ID:EjVEnkhT.net
そんな感じで楽しく生きてたんだけどさ、一つだけ嫌なことがあった。
たまになんだけどさ、一週目の夢を見るんだ。
あの時、絡まれてる彼女を見捨てた時の夢を。
僕がヒーローになれなかった時の夢を。
あの時の彼女の悲しそうな顔が、脳裏に焼き付いて離れないんだ。
でも、それを除けば本当に楽しく生きてたよ、あの日までは。
118 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:54:33.97 ID:EjVEnkhT.net
高校に入って半月くらいしたころかな、僕をみたんだ。正確には僕と同じ顔をした何か。
本当に驚いたよ。やっぱりこの世界は夢なのかなとも思った。
でも、とりあえずこの世界で生きている以上、夢とか夢じゃないとかはどうでもよかった。
それで、そいつを尾行してみた。そしたらまた驚くことにさ、そいつはおぼろげながら残っている、僕の記憶の中の、僕が一週目に住んでいたであろう家に、入っていった
「……バカ」
七瀬のその言葉に、棘はなかった。
「そんのことしなくたったって……私は……」
その声はとても優しくて、俺を包み込んでくれるような暖かいものだった。
91 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:31:55.97 ID:EjVEnkhT.net
「あのー、甘い雰囲気出すのやめてもらっていいですか?」
椿の言葉で、俺は現実に戻った。
「そろそろ、話を戻しましょうか。何故、貴方と僕が似ているか」
「ああ、教えろ。偶然じゃないのか?」
「何度も言わせないでくださいよ。本当に馬鹿なんですか?」
「いい加減にしろよ。早く話せ」
もう俺の椿に対する感情は、嫌悪感しかなくなっていた。
92 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:32:32.49 ID:EjVEnkhT.net
「そうですね、まぁ、その前に貴方さっき、僕が命を狙われていると言いましたね」
「あぁ、俺は、だから俺を身代わりにするために、入れ替わりを持ちかけたと思っていた」
「それですね、まず、それ、さっきも言いましたが、完全に的外れ、見当違いもいいところだ。むしろ命を狙われているのは貴方の方ですよ」
「俺? なんで俺が?」
「昨日のその看板、落とした人は僕ではなく、貴方が柊 京介だと認識した上で、貴方を殺そうとした」
「だからどうして?」
この前も言ったが、俺に命を狙われる心当たりなんて一つも……
「それじゃあ話しましょうか。僕と貴方が似ている理由」
93 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:33:06.04 ID:EjVEnkhT.net
こいつは何がしたいんだ?どんどん疑問を増やされる。それでも、俺はただ聞くしかないこいつの話を。
そしてそれは七瀬も同じのようだった。
二つの視線が椿に集まる。
94 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:34:06.54 ID:EjVEnkhT.net
「僕は一週目の貴方です」
「は?」
こいつは何を言っているんだ。どういう意味だ。ふざけてるのか?
「はは、冗談ですよ」
「と言うとでも思いました? 冗談じゃないですよ、何度でも言いましょうか? 僕は一週目の貴方です、柊 京介」
95 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:35:21.08 ID:EjVEnkhT.net
意味がわからない。話が見えてこない。
「最初に会った時も言ったでしょ、僕は貴方ですって。僕、あんまり嘘つかない方なんですよ」
駄目だやっぱりわからない。何を聞いたらいいかもわからない。一週目ってなんだ。
俺の頭の中は、疑問符で埋め尽くされていた。
それをおかまいなしに椿は話し始めた。
一週目とやらのことを。
96 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:38:28.25 ID:EjVEnkhT.net
僕は独りだった。
小学生の頃はまだよかった。たまに、友達と遊んだりした記憶もあるし、少しは社交的だったと思う。
けど中学生になってからは全然駄目だった。
人との喋り方がわからなくなっちゃたんだ。
97 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:39:31.96 ID:EjVEnkhT.net
中学生の頃の僕は本当、酷かったと思うよ。
学校では毎日、ずっと時計を見て、早く時間が過ぎないかなと思ってた。
学校っていうのはさ、友達がいない人のためにできてないんだ。
友達がいない人はどうやったって、不幸になる仕組みなんだよ。
98 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:39:51.89 ID:EjVEnkhT.net
そしてそれは、高校生になっても一緒だった。
中学の時点で、僕の性格はほぼ固まってしまったからね。人と話すのが苦手になってたんだ。
それが高校生になった途端、急になおるなんてことはありえなかった。
僕はずっと独りだったよ。
そう、いつでも。
99 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:40:38.18 ID:EjVEnkhT.net
さぁ、ここで、一人の女の子の話をしておこうかな。
その子は僕が小学生の時、転校してきたんだけどさ、一目見た瞬間に、僕はその子のことしか考えられなくなるくらい、彼女に惹かれていた。
一目惚れってああいうことを言うんだろうね。
100 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:41:04.34 ID:EjVEnkhT.net
その子は、いつまでもクラスに馴染めなかった。
彼女は少しは異質だったからね、小学生の僕達はその異質な少女を、受け入れることができなかったんだ。
それは、僕も例外ではなかった。僕は彼女に話しかけることができなかった。何回かチャンスはあったと思う。でも話せなかった。
小学生の仲間意識って怖いんだよ。僕が彼女に話しかけてたら、僕も異質として扱われてただろうね。
僕はそれを恐れた。彼女と話して、自分も異質になる勇気がなかったんだ。
101 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:42:26.95 ID:EjVEnkhT.net
そのまま僕は彼女と一度も話せないまま、僕は小学校を卒業した。
中学校も別々だったから、それから彼女に会うこともなかった。
102 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:42:48.60 ID:EjVEnkhT.net
そろそろ話を戻そうか。
えーと、そう高校の話だ。
高校生の僕は相変わらず独りだった。
それで、その高校で僕は運命の再会を果たしたんだ。
103 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:43:25.82 ID:EjVEnkhT.net
入学式でその子に再会したんだ。そして驚くことに、彼女は僕のことを覚えててくれたんだ。
それからはたまに彼女に会うと、少し話をするようになった。クラスは違かったから、あんまり会う機会はなかったけどね。
でも、僕にはそれだけで十分だった。クラスでは相変わらず独りだったけど、たまに彼女と話せるのが本当に楽しかったんだ。
104 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:44:55.63 ID:EjVEnkhT.net
それなのに僕は、やってはいけないことをやってしまったんだ。
彼女と再会してから一ヶ月たったころかな、下校中同じ制服を着た奴が他校の生徒に絡まれてるなと思ったら、その子だった。
かっこいいヒーローだったら、ここで彼女の手を引いて駆け出すんだろうね、きっと。
105 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:46:01.68 ID:EjVEnkhT.net
でも、僕はヒーロにはなれなかった。
逃げたんだ、僕は。走って、独りで逃げた。
去り際彼女と目があったんだ。その目はすごく悲しそうだった。
106 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:46:21.04 ID:EjVEnkhT.net
次の日から僕は学校に行かなくなった。
ずっと部屋に引きこもってたんだ。
それで、一ヶ月くらい過ぎたころかな、なんかもう全部がどうでもよくなっちゃってさ、僕は久しぶりに学校に行った。
親は喜んでたよ、笑っちゃうよね、僕が何のために学校に行くかも知らないでさ。
109 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:48:34.92 ID:EjVEnkhT.net
学校に着いたら僕はすぐ屋上に行った。なんかさ、決着をつけるならここだ、って思ったんだよね。
ずっと僕を苦しめてきた空間。ここしかないなって思ったんだ。
人生に決着をつけるならさ。
僕は屋上から飛び降りた。
そして死んだ……
110 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:49:51.57 ID:EjVEnkhT.net
はずだった。
気付いたら僕は体が縮んでーー
いや、ごめん冗談だよ。うん、でもあながち冗談でもないんだ。
気付いたら赤ちゃんになってた
111 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:16.48 ID:EjVEnkhT.net
本当に驚いたよ、だって赤ちゃんだよ、さっきまで高校生だったのに。
それで親なんだけどさ、変わってたんだ。高校生の時の僕の親じゃなかった。
それに、その後知ることになるんだけど、僕の名前も変わってた。いったい何が起こったのかと思ったよ。
夢かとも思った。でも夢じゃなかった。
いや、もしかしたら夢かもしれないよ。
だけどもうこれだけ時間が経ってるんだ、たとえ夢だとしても僕にとってはこれが現実だ。
112 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:42.00 ID:EjVEnkhT.net
まぁ、いいや。
それで、最初は驚いたんだけどさ、段々、これはチャンスだと思うようになったんだ。
一から人生をやり直すね。
ほら、よくあるだろ、子供のころに戻って人生をやり直すとかさ。
まぁ、僕の場合は全くの別人になったわけだけど。
113 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:50:59.77 ID:EjVEnkhT.net
とにかく僕は人生をやり直すことにした。
それは苦痛を伴うものでもあったけどね、考えても見てよ、高校生が幼稚園とかにかようんだよ。
あんまり突出した天才になるわけにもいかないからね、周りより少しできる程度に抑えなくちゃいけなかった。
114 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:51:52.05 ID:EjVEnkhT.net
でも、中学生くらいになるとわりと楽しかったよ。一週目とは違う、とても楽しい学校生活だったからね。
それに一週目の記憶のおかげで、周りよりも優位に立てた。
勉強とかは忘れてしまったものも多かったけど、それでも周りよりはハンデがあった。
加えて、僕は真剣に生きたんだ。
前の記憶があるからってそれに胡座をかいたりせず、真面目に授業も受けたし、真面目にみんなに馴染もうとした。
115 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:52:13.22 ID:EjVEnkhT.net
そのおかげで僕は、一週目とは似ても似つかない、絵に描いたような人気者になれた。
まぁ、成長していくうちにわかったことだけど、顔は一週目と同じだったんだけどね。
なんでだろうね、名前も親も住んでる場所も全く違う別人になったのにさ、顔だけは一緒だった。
まぁ、別にそれで困ることもなかったけどね。上京して、高校に入ってからも、それは変わらなかった。
117 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:53:25.85 ID:EjVEnkhT.net
そんな感じで楽しく生きてたんだけどさ、一つだけ嫌なことがあった。
たまになんだけどさ、一週目の夢を見るんだ。
あの時、絡まれてる彼女を見捨てた時の夢を。
僕がヒーローになれなかった時の夢を。
あの時の彼女の悲しそうな顔が、脳裏に焼き付いて離れないんだ。
でも、それを除けば本当に楽しく生きてたよ、あの日までは。
118 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/02/27(土) 21:54:33.97 ID:EjVEnkhT.net
高校に入って半月くらいしたころかな、僕をみたんだ。正確には僕と同じ顔をした何か。
本当に驚いたよ。やっぱりこの世界は夢なのかなとも思った。
でも、とりあえずこの世界で生きている以上、夢とか夢じゃないとかはどうでもよかった。
それで、そいつを尾行してみた。そしたらまた驚くことにさ、そいつはおぼろげながら残っている、僕の記憶の中の、僕が一週目に住んでいたであろう家に、入っていった
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