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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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84 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:46:54.88 ID:LZSY7jKs.net
M君は、ちょっと立場忘れてイラっとくるぐらい、何かモゴモゴ言っていた。

それで、途中で口を挟んでしまった。もう、スッキリ逝かせてくれい!と思っちゃったんだよね。

それに、そんなに隠していることを なにもわざわざカミングアウトさせることもないしさ。


「あのさ!話したくないんだったら、話さなくても大丈夫だから!

イエスかノーかでいいの、それだけで納得できるから!

はっきり言って、フられるなら、なに言われても一緒!!」


「あっ、ごめん。イエスです」


………………はい?

はいいいいいいいいい!?


聞き間違えたわけじゃない。あれだけモゴモゴしていたM君が、そこだけ はっきりと言い切った。

だけど手放しに「やったー!」なんてなれるわけがない。

「カモフラージュのため」なんて言われたら、私も考えなくちゃならない。



85 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:47:49.70 ID:LZSY7jKs.net
「でも本当に付き合うかどうかは、これからの話で喪子が決めた方がいいと思う」

「あ、あんまり脅かさないでよねー…うん、わかった。ちゃんと話聞くよ」

「俺、人格にかなり問題がある」

……ん?人格?

性的嗜好じゃなくて、人格?


「こないだ、告白されたことないって言ったよね。

だけど、フられたこともないんだ。全部俺からフってるんだ、俺から告白してるのに。

一年くらいたつと、どうしても別れたくなってしまう」


「別れたくなるって…嫌いになっちゃうってこと?飽きるとか?」


「いや、そういうことじゃなくて………」


M君が言い淀む。かなり言葉を選んでるみたいだった。


「………あのですね、憎悪が湧いてくるんですよ」



86 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:48:21.09 ID:LZSY7jKs.net
引かれたかな?という感じで、M君は私の様子を伺っていた。

「憎悪…って、何かされてってこと???」


「いや、何もされなくても、なんの理由もなく。

相手は全然悪くないのに、急に別れたくなるんだ。

それで、別れるのは全部お前の責任だ、みたいな雰囲気にもっていく。

それまで気にしてなかった些細な欠点を責めたりして 直すから別れないで、みたいなこと散々言わせてから、おもいっきりフる。

…………あー、駄目だ…サイテーだ、反吐が出る…」


M君は頭を抱えながら、さらに続けた。


「しかも、そうやって別れた後、ものすごくスッキリするんだ。

むしろ、そのスッキリ感がほしくて別れるんだと思う。

だからたぶん、俺が女と付き合うのは、別れるためなんだ」


え〜っと………なんだろう、これ…? もしかして、カモフラージュより最悪なケース???





87 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:48:56.76 ID:LZSY7jKs.net
「俺は たぶん人と付き合っちゃいけないタイプなんだと思う。

人付き合いをゲーム感覚でしかとらえられない。

悪いとは思ってるのに、そんなのを何度も繰り返しててさ。

そういう自分が嫌で嫌でしょうがないんだ。だからこの二年くらいは、誰とも付き合わないでいた。

だけど気づいたら、また喪子にゲーム仕掛けるようなことをやっててさ。

こっちからわざわざ電話したり、食事に誘ったりとか…

ごめん、絶対やっちゃいけないと思ってたけど…

だけど喪子は、俺に恋愛感情もってなかっただろ?友達としてなら、そういう関係にはならないんだ。

だから、安心して付き合ってられたんだ」



88 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:49:27.57 ID:LZSY7jKs.net
ああ、そうだったのか。

最初のころの、誘われてるのに突き放されるような わけのわからない曖昧な態度は、それだったんだ。

ゲームを仕掛けたい気持ちと自制心とが、交互に出てきてたんだ。

「友達として付き合ってきて、喪子と話してると楽しいし、一緒にいたい。

だけど、これ以上の関係になると、俺は絶対に喪子にひどいことをする。

治したいとは思ってるけど、治せなかったら、そのとき傷つくのは喪子だ。

それだけは避けたい、なんとかして自分を変えたい。

だけど自分が変われる自信が全然ないんだ…」



89 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:50:04.31 ID:LZSY7jKs.net
今ならピンときたかもしれない。M君のやってることは、モラハラだって。

だけど当時は、そういうのは組織の中で起こるものって意識だった。

個人の関係に、そんなものが働くなんて思ってもいなかったんだ。

経験値の低い喪女の浅はかさと、笑ってください。

私にはM君が、ちょっとこじれた恋愛観をもっている人、というふうにしか見えてなかったんだ。

むしろ、屈折してるのは そこだったんだー!とM君の正体が見えた気にすらなってた。


本人にもモラハラの自覚はなかったけれど この時のM君、かなり勇気を出して、率直に話してくれてたと思う。

でもそのM君の勇気をまるっと無にしたのは惚れた弱みと、同情心フィルターで彼を見てしまった私だった。



90 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:50:33.95 ID:LZSY7jKs.net
「M君ってさー、な〜んかそういう臆病なところ、あるよね」

「うん、気は小さいね…」

「だけど、あのDQNの時みたいに、大胆なところもあってさ」

「いや、あれは緊急事態だったから…」

「だからさー、そんなふうに、人って一面的なもんじゃないじゃない?M君は、人付き合いが下手なのかもしれない。でも それをちゃんと自覚してて、客観的に分析できてるわけじゃん?」

「だけど治せてないし、俺は口ばっかりだよ」

「M君、M君は、自分を型にはめ過ぎてるよ。そうやって、自分は駄目だって強く卑下することで、悪い自分を囲っちゃってるように見えるよ」

「………」

「私は、それでもM君のこと好きだよ。だからさ、付き合ってみようよ。

自分を変えたいって思ってるM君を、私は信じるよ。

それにこれだけ正直に話してくれたんだから もしこの先、私が傷ついたとしても、それは私の選択だよ」



91 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:51:05.82 ID:LZSY7jKs.net
「はーーーーー」と、M君が手で顔を覆ったまま 体がしぼむくらいに大きな息をついた。

「え、なに?まだなんかあるの?」

「いや……今ので気が抜けた…」

「そんな緊張してたの?」

「うん、絶対引かれて嫌われると思ってたからさ…人に話すのも初めてだし、どんな反応されるかわからなかったから。

だけど喪子とは、ちゃんと付き合いたかったから なおさらちゃんと話さなきゃいけないと思ってたんだ。

…どうもありがとう。これからもよろしく」


喪女にとって、これほどの告白の言葉はありませんでした。

こうして私は、M君の言ったことについて深く考えることもなく彼とのお付き合いを始めたのでした。

後々、泣くことになるとも知らずに…。





92 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:52:24.60 ID:LZSY7jKs.net
ただの友達だったあいだ、私はM君の邪魔にならないお付き合いを心がけていた。

M君は かなりの仕事人間で、不規則で忙しい業界ではあるけど私の知る中でも、彼は一、二を争うハードワーカーだった。

年末繁忙期に休んでたあれは、彼にしてみれば相当なことだったようだ。

けれど付き合い始めてからは私のために彼の方から仕事を調整してくれるようになった。

私はそれが嬉しいと言うよりも、ほっとしていた。

知れば知るほど、M君の私生活のメチャクチャさに驚かされていたから。



93 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:52:46.52 ID:LZSY7jKs.net
一番驚いたのは、彼に「一日三食」という習慣がなかったことだ。

朝食を抜くとか、忙しくてお昼とるヒマもないとか、そういうんじゃない。

普通はお腹が減ったら何か食べるっていうのが当たり前だよね。

でも彼の中では、お腹が減ったら我慢するのが普通のことだったんだ。

少食なわけでも、好き嫌いが多いわけでもない。

私は料理が好きで、よく彼の部屋で ちょっとしたものを作ったりしたけど出されたものは、美味しそうに平らげてくれるんだ。

だけど、自分から進んで何か食べようとすることは、あまりなかった。食事って概念がない、とでもいう感じかな。

冷蔵庫はいつも空っぽで、部屋の中の食べ物の気配は、いつも生ゴミすらなかった。



94 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:53:28.47 ID:LZSY7jKs.net
その他にも、エアコンが壊れっぱなしなのにヒーターや扇風機がないとかテレビが地デジ化してなかったりとか。

彼の部屋で、現代的で文化的で平均的な、つまり常識的生活をしようとすると、いつも何かが足りない。

仕事に夢中な独身男性の部屋なんて、きっとこんなもんだろうな〜。………て思おうとしたけど、日が経つにつれて、段々と違うことに気づいた。

一言で言えば、彼は自分を大事にできない人だった。


私と一緒だと、私が快適にすごせるように、いろいろと気を使ってくれる。だけど一人になると、たちまち自分が快適になることを放棄してしまう。

バリバリと仕事をこなし、ゲラゲラ笑いながら おしゃべりしてくれる、その裏でM君は、嘘のように無気力な生活を送っていた。

暖房のない部屋で、冷たい体のまんま空腹をやり過ごすような、そんな生活。



95 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:53:53.45 ID:LZSY7jKs.net
心配というより、気がかりでしょうがなかった。

だって彼は、ものすごいナチュラルに、さも当たり前というふうに そんな修業中の僧侶みたいな生活をしていたんだ。

私は、なんだか彼がいつの間にか消えてしまうような、漠然とした不安を感じていた。

すごく身近にいるのに、掴み所のない距離の遠さみたいのを感じていた。


一体何が、彼をそんな生活に駆り立てるんだろう?……きっとM君は、ちょっと変わった人なんだ。

彼のおかしい部分は、私が陰でフォローしてあげよう。もしかしたら、それが私の役目なのかもしれない。

せっかくこうして付き合えるようになったんだ。そういう部分で私が世話を焼いても、もうおかしくはないはずだ。

心配してるくらいなら、そうやって少しずつ生活を改善してあげればいいんだ。

そう考えることで、私はその漠然とした不安を拭おうとしていた。



96 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:55:42.91 ID:LZSY7jKs.net
ある日のこと。

私はM君の部屋で、ホットケーキを作っていた。するとM君が、私が買ってきたメープルシロップを片手に呟いた。

「子どものころ、これ一ビン舐めて気持ち悪くなったことがあったなあ…」

「一ビンも!?プーさんかwww」

「いやー。なんだか、甘けりゃなんでもよくってさ」

「挑んだねえwほかに何かおやつがなかったんかいw」

「うん、なかった」

「あー。甘いもの禁止だったんだー」

「いや、おやつの習慣自体がなかったから」

「へえ、変わってるね。でもそれじゃ、お腹空いちゃわなかった?」







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