記憶を消せる女の子の話
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95 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:20:01 ID:cBh(主)
そのときの私はどうなってしまうのだろう。
仲良くなっただけ辛いのは目に見えている。
忘れられるよりかは、忘れさせたほうが傷つかない。
だから、思い残すことがないと胸を張って言えるくらい幸せを噛みしめて、そのとき、イシハラくんの中の私を消そう。
97 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:28:26 ID:cBh(主)
イシハラくんのように、仰向けに寝転んで空を見上げた。
青空はどこまでも澄んでいる。なんだか懐かしい感じがした。
私は、昔もこんなふうに、大切な人と空を見上げていたんじゃなかったけ?
ハロ現象は未だに私の前に現れてはくれないが、私のハロ現象への思いの形がはっきりと掴めた。
98 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:33:58 ID:cBh(主)
この1週間、私はイシハラくんと屋上でお昼ご飯を食べた。
くだらない話もたくさんしたし、お互いのことを話したりもした。
イシハラくんは頭が良いらしい。暗記科目では90点以下はとったことがないらしいのだ。
「だからお前のこともそう簡単に忘れないと思う」
と彼は言ってくれた。
私は嬉しかったが、同時に悲しくもあった。
どれだけ私のことを気にかけてくれていても、それに関係することなく記憶は消せてしまうものだから。
99 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:44:32 ID:cBh(主)
私は相当に、イシハラくんに心を許してしまっていた。
まずい傾向だと思った。
このままだと、私はイシハラくんになにかもを話してしまいたくなる。
小学生の時のことや、息苦しい家のことなど、これまで辛かったことを全部、もちろん記憶を消せることも含めて彼に打ち明けたくなってしまった。
100 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:54:21 ID:cBh(主)
でも、打ち明けてしまったその時が、私とイシハラくんの思い出の終わりになることもわかっていた。
私はすべてを話し終えた瞬間に、イシハラくんが私の話を聞いて浮かべる表情が怖くて、記憶を消してしまうだろう。
そのとき、範囲を限定して記憶を消すことは不可能だ。どこの記憶も大切で、選び取ることができない。
おそらく、名前ごと忘れさせてしまう。
しかし、それはきっと、イシハラくんには良いことなんだろう。
101 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)23:06:21 ID:cBh(主)
ここでイシハラくんのことを引き合いに出して、申し訳ないというのは詭弁なのかもしれない。
私は わがままの責任をイシハラくんにかぶせてしまっている。
私は、私の責任で、私のことだけを考えて、私の思い通りにしなければならない。
私は何を求めているんだろう。
102 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)23:18:30 ID:cBh(主)
私は、好きな人にすべてを打ち明けて、名前だけではない私自身の存在を認めて欲しいんだ。
それが私の、わがままで自己中心的な何の遠慮もない願い。
105 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:06:45 ID:pIU(主)
今日、すべてを打ち明けよう。そしてその責任として、イシハラくんの記憶を消す。
それが最適解だ。
もし、イシハラくんに認めてもらえなくても、私はこれまでの思い出で生きていけるし、もし認めてくれたのであれば、人生でこれ以上ないくらいの幸福を味わったということを胸に抱えて、生きていける。
私はもう、充分幸せでしょう?
屋上の扉が鈍い音を立てて開いた。
イシハラくんはいつものように、やる気のなさそうな顔をして歩いてくる。
屋上の金網から手を放して、彼を見つめた。
目があっても表情を変えない懐かない猫のような彼に、私はできるかぎりの笑顔を向ける。
106 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:32:42 ID:pIU(主)
私が話している間、イシハラくんは変に相槌を打ったりせず、ただ黙って聞いてくれた。
「これが、私の昔話」
長い長い話が終わった。イシハラくんは静かに息を吐く。
「有体な言葉で悪いけれど、その、なんだ。随分辛かったんだな。でも、これからは俺が憶えていておいてやるよ」
私の話を嘘だと疑うこともせず、彼は芯の通った優しい声で言葉を紡いだ。
その最後の言葉を聞くと、どうしようもなく嬉しくなる。
私は、千家灯として、ようやく誰かに認められたんだ。
もう思い残すことはないと思ったけれど、最後にもう一つ。
「私のこと、好き?」
「なんで急にそうなるんだ」
「私は好きだよ」
107 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:41:19 ID:pIU(主)
もっと言葉を捻ろうと思っていたけれど、出てきたのはなんの飾りもない言葉だった。
イシハラくんは上気したように頬を赤らめている。
返事を聞くべきだろうか。
いや怖い。私は臆病だ。返事をされる前にイシハラくんの記憶を消そう。
私の願いはもう叶った。言いたいことも言えた。
あとは責任をとるだけだ。
私は指と指を絡み合わせて願った。
どうか私のことを忘れますように。
108 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:50:15 ID:pIU(主)
屋上の風に髪を弄ばれて、目を開ける。
隣にいる彼と私は、もう他人だ。
あの日思ったように、完璧な自己紹介をしよう。
そして屋上は立ち入り禁止だから出ていきなさいと、良識のある人を演じて、私とイシハラくんは無関係になる。
「はじめまして、私の名前は」
「千家灯、で間違いないか」
イシハラくんは私の言葉を遮った。
109 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:56:23 ID:pIU(主)
「なん……で」
また涙が溢れそうになる。声は震えてしまって今にも切れてしまいそうだ。
「さっきの告白の返事だが、俺も好きだ。ずっと。6年間くらい」
「どういうこと……?」
疑問符だけで精いっぱいだった。地に足のつかない嬉しさで頭の中がこんがらがる。
110 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:00:48 ID:pIU(主)
「だから言っただろ、俺は憶えてるって」
「でも私は、記憶を消せて…今までも、そうやって」
「わかってるわかってる。さっき話聞いたから全部わかってるよ。今は俺の話を聞いてくれ」
「うん……」
「俺とお前は一種の病気なんだよ。灯は、どうして自分が記憶を消すことができるか、考えたことあるか?」
111 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:07:20 ID:pIU(主)
「ない、」
「灯はそのきっかけを忘れてる。灯が消せるのは他人の記憶の中の灯だけじゃないんだ。灯の記憶の中の灯も消せるんだよ」
112 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:09:56 ID:pIU(主)
私はただ彼の言葉に耳を傾けることしかできなかった。
私が知らない私のことを、彼は知っている。
私は泣くのを堪えて、続きを促すように彼を見つめた。
113 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:19:27 ID:pIU(主)
「これは灯にとって辛い話かもしれない。たぶん、灯が忘れたいと願えば忘れてしまえる。
でも、俺はきちんと受け止めてほしいと思ってる。
6年かけてようやく会うことができたんだ。
それくらいの我儘は聞いてくれると嬉しい」
私は泣いて赤くなった顔を両手で覆った。泣いてはいけない。
最後に両目をごしごしとこすって、イシハラくんにぐちゃぐちゃの顔を向ける
114 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:27:33 ID:pIU(主)
「俺の家族と灯の家族は、6年前の初詣通り魔事件に遭っている。
それで、俺の父は知らない人の子供をかばって死んだ。
そして灯のお父さんもまた死んだんだ。俺とお前をかばって」
115 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:38:33 ID:pIU(主)
人が虫のように密集していた。
長蛇の列は俺にとって退屈そのもので、退屈しのぎに父さんに肩車をしてもらった。
高い視線からは列の先頭やその先の景色まで見通せた。
首を巡らせてみると、右の列だったかな、ぽっかりと穴があいていた。
こんなにも辺りは密集しているのに、そこだけ異様に人がいなかった。
俺はおかしいと思って父さんにそれを言おうとしたとき、女の人の叫び声が聞こえた。
人々は混乱し、我先に我先にと逃げる。
116 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:46:02 ID:pIU(主)
俺は意味がよくわからなかった。
その混乱の中で誰かが「通り魔だ、逃げろ」と叫んだ。
その言葉が一層の混乱を招く。
通り魔と言われても、俺はさっぱり意味が解らなかった。
だが父さんは違った。
逃げ惑う人々の流れに反して、叫び声がした場所のほうを向く。
俺を肩車から降ろして「お母さんには留守番してもらっててよかったな。お前は人の流れに従って走れ」
と言って、あの場所へ走って行った。
俺は嫌な予感がした。
117 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:56:00 ID:pIU(主)
このまま逃げたら後悔すると思った。
俺は父さんを追いかける。
大粒の砂利が敷き詰められているせいで転んでしまった。
「大丈夫?」
俺に声を掛けたのは、幼いころの灯だった。
白い肌と顔のパーツのそれぞれが、美しい脆さを感じさせた。
たぶん、泣き虫だな、と思った。
そのときの私はどうなってしまうのだろう。
仲良くなっただけ辛いのは目に見えている。
忘れられるよりかは、忘れさせたほうが傷つかない。
だから、思い残すことがないと胸を張って言えるくらい幸せを噛みしめて、そのとき、イシハラくんの中の私を消そう。
97 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:28:26 ID:cBh(主)
イシハラくんのように、仰向けに寝転んで空を見上げた。
青空はどこまでも澄んでいる。なんだか懐かしい感じがした。
私は、昔もこんなふうに、大切な人と空を見上げていたんじゃなかったけ?
ハロ現象は未だに私の前に現れてはくれないが、私のハロ現象への思いの形がはっきりと掴めた。
98 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:33:58 ID:cBh(主)
この1週間、私はイシハラくんと屋上でお昼ご飯を食べた。
くだらない話もたくさんしたし、お互いのことを話したりもした。
イシハラくんは頭が良いらしい。暗記科目では90点以下はとったことがないらしいのだ。
「だからお前のこともそう簡単に忘れないと思う」
と彼は言ってくれた。
私は嬉しかったが、同時に悲しくもあった。
どれだけ私のことを気にかけてくれていても、それに関係することなく記憶は消せてしまうものだから。
99 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:44:32 ID:cBh(主)
私は相当に、イシハラくんに心を許してしまっていた。
まずい傾向だと思った。
このままだと、私はイシハラくんになにかもを話してしまいたくなる。
小学生の時のことや、息苦しい家のことなど、これまで辛かったことを全部、もちろん記憶を消せることも含めて彼に打ち明けたくなってしまった。
100 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)22:54:21 ID:cBh(主)
でも、打ち明けてしまったその時が、私とイシハラくんの思い出の終わりになることもわかっていた。
私はすべてを話し終えた瞬間に、イシハラくんが私の話を聞いて浮かべる表情が怖くて、記憶を消してしまうだろう。
そのとき、範囲を限定して記憶を消すことは不可能だ。どこの記憶も大切で、選び取ることができない。
おそらく、名前ごと忘れさせてしまう。
しかし、それはきっと、イシハラくんには良いことなんだろう。
101 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)23:06:21 ID:cBh(主)
ここでイシハラくんのことを引き合いに出して、申し訳ないというのは詭弁なのかもしれない。
私は わがままの責任をイシハラくんにかぶせてしまっている。
私は、私の責任で、私のことだけを考えて、私の思い通りにしなければならない。
私は何を求めているんだろう。
102 :名無しさん@おーぷん :2017/02/25(土)23:18:30 ID:cBh(主)
私は、好きな人にすべてを打ち明けて、名前だけではない私自身の存在を認めて欲しいんだ。
それが私の、わがままで自己中心的な何の遠慮もない願い。
105 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:06:45 ID:pIU(主)
今日、すべてを打ち明けよう。そしてその責任として、イシハラくんの記憶を消す。
それが最適解だ。
もし、イシハラくんに認めてもらえなくても、私はこれまでの思い出で生きていけるし、もし認めてくれたのであれば、人生でこれ以上ないくらいの幸福を味わったということを胸に抱えて、生きていける。
私はもう、充分幸せでしょう?
屋上の扉が鈍い音を立てて開いた。
イシハラくんはいつものように、やる気のなさそうな顔をして歩いてくる。
屋上の金網から手を放して、彼を見つめた。
目があっても表情を変えない懐かない猫のような彼に、私はできるかぎりの笑顔を向ける。
106 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:32:42 ID:pIU(主)
私が話している間、イシハラくんは変に相槌を打ったりせず、ただ黙って聞いてくれた。
「これが、私の昔話」
長い長い話が終わった。イシハラくんは静かに息を吐く。
「有体な言葉で悪いけれど、その、なんだ。随分辛かったんだな。でも、これからは俺が憶えていておいてやるよ」
私の話を嘘だと疑うこともせず、彼は芯の通った優しい声で言葉を紡いだ。
その最後の言葉を聞くと、どうしようもなく嬉しくなる。
私は、千家灯として、ようやく誰かに認められたんだ。
もう思い残すことはないと思ったけれど、最後にもう一つ。
「私のこと、好き?」
「なんで急にそうなるんだ」
「私は好きだよ」
107 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:41:19 ID:pIU(主)
もっと言葉を捻ろうと思っていたけれど、出てきたのはなんの飾りもない言葉だった。
イシハラくんは上気したように頬を赤らめている。
返事を聞くべきだろうか。
いや怖い。私は臆病だ。返事をされる前にイシハラくんの記憶を消そう。
私の願いはもう叶った。言いたいことも言えた。
あとは責任をとるだけだ。
私は指と指を絡み合わせて願った。
どうか私のことを忘れますように。
108 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:50:15 ID:pIU(主)
屋上の風に髪を弄ばれて、目を開ける。
隣にいる彼と私は、もう他人だ。
あの日思ったように、完璧な自己紹介をしよう。
そして屋上は立ち入り禁止だから出ていきなさいと、良識のある人を演じて、私とイシハラくんは無関係になる。
「はじめまして、私の名前は」
「千家灯、で間違いないか」
イシハラくんは私の言葉を遮った。
109 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)00:56:23 ID:pIU(主)
「なん……で」
また涙が溢れそうになる。声は震えてしまって今にも切れてしまいそうだ。
「さっきの告白の返事だが、俺も好きだ。ずっと。6年間くらい」
「どういうこと……?」
疑問符だけで精いっぱいだった。地に足のつかない嬉しさで頭の中がこんがらがる。
110 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:00:48 ID:pIU(主)
「だから言っただろ、俺は憶えてるって」
「でも私は、記憶を消せて…今までも、そうやって」
「わかってるわかってる。さっき話聞いたから全部わかってるよ。今は俺の話を聞いてくれ」
「うん……」
「俺とお前は一種の病気なんだよ。灯は、どうして自分が記憶を消すことができるか、考えたことあるか?」
111 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:07:20 ID:pIU(主)
「ない、」
「灯はそのきっかけを忘れてる。灯が消せるのは他人の記憶の中の灯だけじゃないんだ。灯の記憶の中の灯も消せるんだよ」
112 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:09:56 ID:pIU(主)
私はただ彼の言葉に耳を傾けることしかできなかった。
私が知らない私のことを、彼は知っている。
私は泣くのを堪えて、続きを促すように彼を見つめた。
113 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:19:27 ID:pIU(主)
「これは灯にとって辛い話かもしれない。たぶん、灯が忘れたいと願えば忘れてしまえる。
でも、俺はきちんと受け止めてほしいと思ってる。
6年かけてようやく会うことができたんだ。
それくらいの我儘は聞いてくれると嬉しい」
私は泣いて赤くなった顔を両手で覆った。泣いてはいけない。
最後に両目をごしごしとこすって、イシハラくんにぐちゃぐちゃの顔を向ける
114 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:27:33 ID:pIU(主)
「俺の家族と灯の家族は、6年前の初詣通り魔事件に遭っている。
それで、俺の父は知らない人の子供をかばって死んだ。
そして灯のお父さんもまた死んだんだ。俺とお前をかばって」
115 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:38:33 ID:pIU(主)
人が虫のように密集していた。
長蛇の列は俺にとって退屈そのもので、退屈しのぎに父さんに肩車をしてもらった。
高い視線からは列の先頭やその先の景色まで見通せた。
首を巡らせてみると、右の列だったかな、ぽっかりと穴があいていた。
こんなにも辺りは密集しているのに、そこだけ異様に人がいなかった。
俺はおかしいと思って父さんにそれを言おうとしたとき、女の人の叫び声が聞こえた。
人々は混乱し、我先に我先にと逃げる。
116 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:46:02 ID:pIU(主)
俺は意味がよくわからなかった。
その混乱の中で誰かが「通り魔だ、逃げろ」と叫んだ。
その言葉が一層の混乱を招く。
通り魔と言われても、俺はさっぱり意味が解らなかった。
だが父さんは違った。
逃げ惑う人々の流れに反して、叫び声がした場所のほうを向く。
俺を肩車から降ろして「お母さんには留守番してもらっててよかったな。お前は人の流れに従って走れ」
と言って、あの場所へ走って行った。
俺は嫌な予感がした。
117 :名無しさん@おーぷん :2017/02/26(日)01:56:00 ID:pIU(主)
このまま逃げたら後悔すると思った。
俺は父さんを追いかける。
大粒の砂利が敷き詰められているせいで転んでしまった。
「大丈夫?」
俺に声を掛けたのは、幼いころの灯だった。
白い肌と顔のパーツのそれぞれが、美しい脆さを感じさせた。
たぶん、泣き虫だな、と思った。
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