あなたの知らない世界
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233 名前: 良介 投稿日: 03/07/03 18:26 ID:6sKJFxDE
千春が作った朝食を食べ終え、私は再び立ち上がった。
千春は座ったまま私の方を見なかった。
「じゃあ行って来る。カギよろしく」
千春が黙って頷いた。
私が出て行くまで、千春はその場を動かなかった。
(これでいいんだ・・)
私は自分に言い聞かせ、部屋を後にした。
440 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 16:55 ID:sjh1JPwQ
午後になると私は得意先まわりを始める。
しかし今日は何もやる気が起きなかった。一番仲の良い所へ連絡し、訪問した事にしてもらった。
缶コーヒーを買って、公園のベンチへ腰掛けた。
千春の事を想い浮かべる。まだ部屋にいるだろうか?
忘れかけてた頃に突然やってきた千春との再会。そのお陰で今も頭の中は千春一色だ。
会わなければこんな思いをする事も無かった。
ふと、ある事を思い出した。
お門違いなのはわかっていた。
それでも私は実家へ電話した。
441 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 16:58 ID:sjh1JPwQ
言うまでもなく千春に住所を勝手に教えた親父に抗議するためだ。
今年定年退職して、普段は家にいる。私より無口で、必要な事しか喋らない頑固親父だ。
しばらくして親父が電話口に出た。
442 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 16:59 ID:sjh1JPwQ
「なぜ住所を教えたんだ。」
「なぜって聞かれたからだ。」
親父は何の事か聞きもしなかった。それよりこの開き直った態度が許せない。
「教えるなと言っておいたろう!」
「生意気言うな!どんな理由があったにせよ、女の子をあんなに泣かすんじゃない!」
親父が突然電話口で怒鳴った。
「理由も知らないで勝手な事言うな!」
私も公園である事を忘れていた。
443 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:02 ID:sjh1JPwQ
「あの子がお前を裏切ったんだろう。あの子から聞いた。随分自分を責めていたぞ。」
「そうだ。裏切りは許せない。それがなぜ教える事に繋がる?」
「いいか?年頃の女の子がそれを話すのにどれだけ勇気がいったか解るか?しかも相手の父親にだ。俺はそれに応えただけだ。」
「・・・そんなの知るか」
「それに俺は教えないなんて約束してないぞ。約束したのは母さんだろ?」
「ガキみたいないい訳するな!」
444 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:04 ID:sjh1JPwQ
「お前はあの子が好きなのか?」
「関係ないだろそんな事」
「好きなら度量を持て。相手を許せる度量を持て。」
「・・・・好き勝手言いやがって・・」
「まあ たまには帰ってこい。以上!」
突然電話が切れた。
それにしてもこちらから電話しているのに”以上”で締めくくる親父には呆れた。
446 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:05 ID:sjh1JPwQ
しばらく公園を歩いた。会社に戻るまでにはまだ十分な時間がある。
”度量”
頭の中に親父の言葉が残っていた。
千春が好きか?
−−−考えるまでも無い。好きだ。
千春と出会った事を後悔しているか?
−−−していない。
それなら千春を許せるか?
−−−・・・・・・・・。
自問自答を繰り返す。
いつになっても答えは出てこなかった。
447 名前: 良介(マジでごめん) 投稿日: 03/07/04 17:08 ID:sjh1JPwQ
気がつくと既に5時を回っていた。
私は会社に戻る為、駅まで歩く。駅に着くまでも着いてからも考えるのは千春の事ばかりだ。
ホームに勢いよく電車が飛び込んでくる。
お前の生き甲斐は何だ?
−−−以前は千春。今は・・・。
もう一度千春に会いたいか?
−−−会いたい。
千春が好きか?
−−−好きだ。大好きだ。
私はやっぱり千春が好きだ。
451 名前: 良介(マジ謝罪) 投稿日: 03/07/04 17:11 ID:sjh1JPwQ
目の前の電車のドアが閉まる。
それは私をホームに残し、ゆっくりと動き出した。
気がつくと私を乗せた電車は自宅の最寄駅へ向け、既に走りだしていた。
許す許さないはもうどうでもいい。
私は千春が好きだ。
千春を失いたくない。
千春、千春、千春。
もう千春の事しか頭に浮かばない。
452 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:14 ID:sjh1JPwQ
駅を出ると、自宅まで走り出した。
千春はまだ部屋にいる。
そう自分に言い聞かせ、全速力で走る。
自宅へ着くとポストにわき目もふらず玄関まで走る。
ドアノブを勢い良く回した。
・・・しかし、ドアは開かなかった。
ポストへ向かった。
震える手でポストのつまみを掴む。
まるで怖いものでも見るかのように、ポストの中を覗き込んだ。
2つ折りになったメモ用紙が見える。
そしてその上に私の部屋のカギが置いてあった。
453 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:17 ID:sjh1JPwQ
メモ用紙を手に取り、開いた。
千春からの最後のメッセージがそこにあった。
”ありがとう良ちゃん”
カギを握り、部屋へと戻る。
私は携帯電話を握っていた。
アドレス帳には千春の名前は無い。
一番忘れてはならない電話番号を忘れた。
いや、アドレス帳に頼りすぎて、初めから覚えてなど無かったのだ。
458 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:27 ID:sjh1JPwQ
アドレス帳から千春との共通の友達を探す。
千春を知る私の男友達は、千春の電話番号など知るはずもない。
そして私が知る千春の女友達の電話番号は私は誰一人として知らない。
千春の自宅へは行ったことが無い。
千春は両親と同居の為、会うのはいつも私の自宅だ。
どの町に住んでいるかは知っている。
ここから電車で大凡一時間の所だ。
しかしそこから千春の自宅を探しだすのは至難を極める。
それなら駅で待ち伏せしてみたらどうだろう?通勤時間を狙えば千春は現れる筈だ。
しかし、千春が会社を退職している事に気づくまでそう時間は掛からなかった。
460 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:30 ID:sjh1JPwQ
テレビの上に千春からもらった誕生日プレゼントの紙袋があった。
中身を空ける。中から新品の財布が出てきた。
私は高校時代から財布を変えた事がない。就職して千春に何度となく変えるよう薦められた。私の財布は、社会人が持つ財布ではないとの事だった。
私はもう使い古してボロボロの財布から、千春がくれた真新しい財布に中身を入れ替える。
入れ替えながら涙が止まらなかった。
462 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:33 ID:sjh1JPwQ
ふと、千春が尋ねて来た時の事を思い出した。
”良ちゃんのお父さんから聞きました。”
千春は親父から聞いてこの住所を知った。
もしかしたら親父が何か知ってるかもしれない。
465 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:36 ID:sjh1JPwQ
また親父が電話口に出た。
「千春から電話番号とか聞いてないか!?」
「誰だそれは?」
「この間親父が住所を教えた女の事だ。連絡先知らないか?」
「そんなの知る訳ないだろう。」
「・・そうか。」
「なんだそれだけか?」
「・・ああ。それだけだ。んじゃあな」
「何だお前は・・ああそういえば昨日その子から何か届いたぞ。お前に電話するの忘れてたな。」
「それを早く言え!そこに連絡先書いてあるだろう!」
千春が作った朝食を食べ終え、私は再び立ち上がった。
千春は座ったまま私の方を見なかった。
「じゃあ行って来る。カギよろしく」
千春が黙って頷いた。
私が出て行くまで、千春はその場を動かなかった。
(これでいいんだ・・)
私は自分に言い聞かせ、部屋を後にした。
440 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 16:55 ID:sjh1JPwQ
午後になると私は得意先まわりを始める。
しかし今日は何もやる気が起きなかった。一番仲の良い所へ連絡し、訪問した事にしてもらった。
缶コーヒーを買って、公園のベンチへ腰掛けた。
千春の事を想い浮かべる。まだ部屋にいるだろうか?
忘れかけてた頃に突然やってきた千春との再会。そのお陰で今も頭の中は千春一色だ。
会わなければこんな思いをする事も無かった。
ふと、ある事を思い出した。
お門違いなのはわかっていた。
それでも私は実家へ電話した。
441 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 16:58 ID:sjh1JPwQ
言うまでもなく千春に住所を勝手に教えた親父に抗議するためだ。
今年定年退職して、普段は家にいる。私より無口で、必要な事しか喋らない頑固親父だ。
しばらくして親父が電話口に出た。
442 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 16:59 ID:sjh1JPwQ
「なぜ住所を教えたんだ。」
「なぜって聞かれたからだ。」
親父は何の事か聞きもしなかった。それよりこの開き直った態度が許せない。
「教えるなと言っておいたろう!」
「生意気言うな!どんな理由があったにせよ、女の子をあんなに泣かすんじゃない!」
親父が突然電話口で怒鳴った。
「理由も知らないで勝手な事言うな!」
私も公園である事を忘れていた。
443 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:02 ID:sjh1JPwQ
「あの子がお前を裏切ったんだろう。あの子から聞いた。随分自分を責めていたぞ。」
「そうだ。裏切りは許せない。それがなぜ教える事に繋がる?」
「いいか?年頃の女の子がそれを話すのにどれだけ勇気がいったか解るか?しかも相手の父親にだ。俺はそれに応えただけだ。」
「・・・そんなの知るか」
「それに俺は教えないなんて約束してないぞ。約束したのは母さんだろ?」
「ガキみたいないい訳するな!」
444 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:04 ID:sjh1JPwQ
「お前はあの子が好きなのか?」
「関係ないだろそんな事」
「好きなら度量を持て。相手を許せる度量を持て。」
「・・・・好き勝手言いやがって・・」
「まあ たまには帰ってこい。以上!」
突然電話が切れた。
それにしてもこちらから電話しているのに”以上”で締めくくる親父には呆れた。
446 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:05 ID:sjh1JPwQ
しばらく公園を歩いた。会社に戻るまでにはまだ十分な時間がある。
”度量”
頭の中に親父の言葉が残っていた。
千春が好きか?
−−−考えるまでも無い。好きだ。
千春と出会った事を後悔しているか?
−−−していない。
それなら千春を許せるか?
−−−・・・・・・・・。
自問自答を繰り返す。
いつになっても答えは出てこなかった。
447 名前: 良介(マジでごめん) 投稿日: 03/07/04 17:08 ID:sjh1JPwQ
気がつくと既に5時を回っていた。
私は会社に戻る為、駅まで歩く。駅に着くまでも着いてからも考えるのは千春の事ばかりだ。
ホームに勢いよく電車が飛び込んでくる。
お前の生き甲斐は何だ?
−−−以前は千春。今は・・・。
もう一度千春に会いたいか?
−−−会いたい。
千春が好きか?
−−−好きだ。大好きだ。
私はやっぱり千春が好きだ。
451 名前: 良介(マジ謝罪) 投稿日: 03/07/04 17:11 ID:sjh1JPwQ
目の前の電車のドアが閉まる。
それは私をホームに残し、ゆっくりと動き出した。
気がつくと私を乗せた電車は自宅の最寄駅へ向け、既に走りだしていた。
許す許さないはもうどうでもいい。
私は千春が好きだ。
千春を失いたくない。
千春、千春、千春。
もう千春の事しか頭に浮かばない。
452 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:14 ID:sjh1JPwQ
駅を出ると、自宅まで走り出した。
千春はまだ部屋にいる。
そう自分に言い聞かせ、全速力で走る。
自宅へ着くとポストにわき目もふらず玄関まで走る。
ドアノブを勢い良く回した。
・・・しかし、ドアは開かなかった。
ポストへ向かった。
震える手でポストのつまみを掴む。
まるで怖いものでも見るかのように、ポストの中を覗き込んだ。
2つ折りになったメモ用紙が見える。
そしてその上に私の部屋のカギが置いてあった。
453 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:17 ID:sjh1JPwQ
メモ用紙を手に取り、開いた。
千春からの最後のメッセージがそこにあった。
”ありがとう良ちゃん”
カギを握り、部屋へと戻る。
私は携帯電話を握っていた。
アドレス帳には千春の名前は無い。
一番忘れてはならない電話番号を忘れた。
いや、アドレス帳に頼りすぎて、初めから覚えてなど無かったのだ。
458 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:27 ID:sjh1JPwQ
アドレス帳から千春との共通の友達を探す。
千春を知る私の男友達は、千春の電話番号など知るはずもない。
そして私が知る千春の女友達の電話番号は私は誰一人として知らない。
千春の自宅へは行ったことが無い。
千春は両親と同居の為、会うのはいつも私の自宅だ。
どの町に住んでいるかは知っている。
ここから電車で大凡一時間の所だ。
しかしそこから千春の自宅を探しだすのは至難を極める。
それなら駅で待ち伏せしてみたらどうだろう?通勤時間を狙えば千春は現れる筈だ。
しかし、千春が会社を退職している事に気づくまでそう時間は掛からなかった。
460 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:30 ID:sjh1JPwQ
テレビの上に千春からもらった誕生日プレゼントの紙袋があった。
中身を空ける。中から新品の財布が出てきた。
私は高校時代から財布を変えた事がない。就職して千春に何度となく変えるよう薦められた。私の財布は、社会人が持つ財布ではないとの事だった。
私はもう使い古してボロボロの財布から、千春がくれた真新しい財布に中身を入れ替える。
入れ替えながら涙が止まらなかった。
462 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:33 ID:sjh1JPwQ
ふと、千春が尋ねて来た時の事を思い出した。
”良ちゃんのお父さんから聞きました。”
千春は親父から聞いてこの住所を知った。
もしかしたら親父が何か知ってるかもしれない。
465 名前: 良介 投稿日: 03/07/04 17:36 ID:sjh1JPwQ
また親父が電話口に出た。
「千春から電話番号とか聞いてないか!?」
「誰だそれは?」
「この間親父が住所を教えた女の事だ。連絡先知らないか?」
「そんなの知る訳ないだろう。」
「・・そうか。」
「なんだそれだけか?」
「・・ああ。それだけだ。んじゃあな」
「何だお前は・・ああそういえば昨日その子から何か届いたぞ。お前に電話するの忘れてたな。」
「それを早く言え!そこに連絡先書いてあるだろう!」
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