先生を好きになった話
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55 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:17:01.31 ID:HXEO5afsa.net
当然承認し、すぐに駆け足音が聞こえた。凄い勢いでドアが開いた。
R先生「Aくん」
俺「Rちゃん来てくれたんだ」
看護師は「何かあったらナースコールしてもらってね」とニヤニヤしながら出て行った。
後で聞かれるのと看護師内で変な噂をされることは覚悟した。
先生は俺の手を握りながら泣きそうな目をしていた。
R先生「体、動かなくなったの?」
俺「大丈夫。すぐには無理だけど治すから」
R先生「めちゃくちゃ心配したよ!家で泣いちゃったw金曜日でよかったw」
確かに目の周りが少し赤かった。
そんなに大切に思ってくれているとは思わなくて驚いた。
俺「心配かけてごめん。あと、さっき看護師がニヤニヤしながら出て行ったから多分今頃ナースステーションは盛り上がってると思う」
R先生「やめてよw恥ずかしいw」
先生はカバンの中から包みを取り出した。
俺「なにそれ?」
R先生「お守り。今年のバレンタインはチョコレートと交通安全のお守り渡そうと思ってたのに何てことをw」
俺「バレンタインにはまだ早いよねw」
R先生「ここ遠いから頻繁に来れないw ご両親いるのに しょっちゅう来てても変に思われるしw それに こんだけ早ければ1番でしょw」
俺「バレンタイン当日に渡して1番争うならわかるけどwチョコレート食べたいけど手が使えないから」
R先生「じゃあ食べさせてあげるよ」
先生は包みを開け、チョコレートを取り出した。
俺「恥ずかしいってwいいよw」
R先生「遠慮すんなw 嬉しいだろw」
本当に嬉しかった。これならしばらく手足動かなくてもいいなって思ったw
先生との時間は本当に幸せで他のことを考える余裕がなくなるほど満たされた。
56 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:24:28.55 ID:HXEO5afsa.net
午後からは両親が面会に来ることになっていたため、病院の昼食の時間もあるので先生は1時間も滞在せず帰っていった。
猛烈に寂しくなった。
昼食時には看護師が4人もやって来て質問攻めにあった。
そういう類の話が好きなのは察しがつくが。
他の先生や両親が来たときに変なこと言うなよと釘を刺して会話に付き合った。
1人の看護師が「あの目は絶対俺くんのこと好きな目だよw 女だから分かる」とか言ってた。
馬鹿言うなよと笑ったが、内心かなり動揺した。
先生が俺のこと好きとかありえないだろと思いつつも若干鵜呑みにして期待した。
しかしその後、先生はなかなか面会には現れなかった。
57 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:39:20.00 ID:HXEO5afsa.net
ところどころID変わってるスマン
スマホから投下しててPC以外はよくわからないから許して
3月になり卒業式シーズン、夜間高校の先輩も何人か卒業するが まだようやく手が動き出した頃で出席できなかった。
その週の土曜日、R先生がようやく来てくれた。
R先生「ごめんAくん全然来れなくて」
俺「まあこの時期忙しいだろうから仕方ないって思ってたよ」
R先生「うん、卒業式もそうなんだけどね…」
先生は寂しそうな顔をした。嫌な予感はしたが俺がここでテンパっても仕方がない。現実を受け止めようと覚悟し、先生をまっすぐ見た。
俺「異動?」
R先生「…うん」
俺「どこ?」
R先生「○市」
俺「遠いね。引っ越すの?」
R先生「そうだね。今のアパートは解約する」
俺「寂しくなるけど俺はRちゃんのこと忘れないよ。たくさん思い出できたし頑張れる」
R先生「遠すぎて本当に会えなくなっちゃうし面会も来れなくなる」
俺「大丈夫。冷蔵庫開けて大きい包みが入ってるから取り出して」
それはホワイトデーのお返しに用意しておいたチョコレートを入れてある箱。先生の名前も書いておいた。でないと見舞品泥棒の妹に食べられるからw
俺「お返しだよ。いつもありがとう」
R先生「やばい泣いちゃう!w」
俺「ネットで調べて母さんに買ってもらったけどねw手作り無理だからw」
R先生「開けるね」
先生は静かにそして丁寧に箱を開け始めた。
58 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:51:18.50 ID:HXEO5afsa.net
中には数種類のチョコレートがたくさん入っていた。
R先生「美味しそう!一緒に食べよーw」
先生はホワイトチョコを俺に食べさせてくれた。ここで もう一つサプライズを考えていた。
俺「Rちゃん待って、食べさせてあげる」
そう言って俺はゆっくりだが手を動かし端にあるチョコレートを摘んだ。先生は驚いた顔で手で口を覆い、瞳を潤ませていた。
R先生「手が動いてる…」
俺「サプライズだよ。Rちゃんにも一回やられているからねw」
先生の口にゆっくりと手を伸ばし口に入れてあげた。食べながら静かに流し始めた先生は、俺にはにかみながらも「美味しい」と笑顔を見せた。
しかし何かを思い出したかのようにはっとした表情を見せ、俺にまた顔を向けた。
R先生「手が動くならLINE返せw 何日無視されてると思ってるのw」
俺「返しちゃうと今日のこれができないよw」
R先生「あーあ、黙ってたんだ。喧嘩だ喧嘩」
俺「バカだwwww」
R先生「wwww」
その日は比較的ゆっくり話が出来て、昼過ぎから夕方まで話していた。
R先生「話しすぎたw もうそろそろ帰るね」
俺「うん、Rちゃんありがとう。またね」
R先生「…」
先生はドアに向かっていたが、突然こっちにまた戻ってきて俺を強く抱きしめた。
心臓が破裂するかと思うくらい緊張した。静まり返った病室で、先生の心臓の音も伝わってきそうな緊張感だった。
俺を話すと先生は涙を流しながら「またね」と手を振って笑顔を見せ、病室を後にした。俺はしばらく放心状態だった。
59 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 13:03:39.08 ID:HXEO5afsa.net
抱きしめられた時は「え?なに?」と思うと同時に静かな病室が異空間のように感じた。
抱きしめ返すことはできなかったが、確かに先生の感触は残っていた。
看護師が入ってくるまで俺はドアを見つめたまま病室の時計の秒針の音だけが耳を通り抜けていた。
落ち着きを取り戻した俺は先生に内緒で この日の夜から もう一つサプライズを計画し始めた。
看護師に手伝ってもらい、車椅子に乗り自分で漕ぐ練習を始めた。
離任式に突然登場しようというものだった。他の先生方の協力も必要になる。俺は学校に電話して計画の提案をした。
両親にも伝え、全面協力のもと、俺の計画は着々と進んでいった。
あと2週間で車椅子を漕げるように回復しないといけない。長い日は1日5時間以上練習した。
そして当日までに何とか間に合った俺は夕方前に病院を出た。
少し日が落ちわずかに薄暗い夜、久しぶりの外の空気だが、それも どうでもよくなるほど高揚感でいっぱいだった。
冬の風、初めて心地よく感じ、寒さなど身に染みることはなく意気込んで出発した。
60 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 13:26:25.93 ID:HXEO5afsa.net
学校に着くと教頭先生が迎えてくれた。
怪我の心配もしてくれつつ、待機場所に指定してある事務室に連れて行ってもらった。
式が始まる直前に入室して驚かせようという算段だった。
先生や生徒が着席し、今始まろうとしているとき、静かにドアを開けた。
漫画やアニメの主人公の登場シーンはこんな感じなんだろうか。そう思えるほど会場が静まり返り、俺に視線が集まった。
車椅子を漕いで自分の席に行き、何事もなかったようにそのまま参加しようとした。
生徒や先生たち笑顔、R先生だけキョトンとしており先生は全てを察した。
R先生「俺くんやりやがったなw」
マイクで俺にそう告げると俺は笑顔で手を振ってやった。
いつも強気な先生、挨拶を淡々と済ませ、みんなからの拍手を受けながら自分の席に戻った。
視線はすぐに俺の元へ。目を見開いて威嚇してきたw 後でやられると感じたがそれも幸せだった。
先生と会うのは今日が最後かもしれない。俺は最高の1日にしようと心に決めてきた。もちろん先生にとっても。
退場前に車椅子の後ろのポケットからスズランの花束を取り出し先生に手渡した。
初めて教官室でやられたように頭を雑に撫で回された。目には少し涙が見えた気がする。
式が終わると俺は早く病院に戻らないといけなかったため、早めに撤退した。先生とは話すことなく お別れになった。
寂しいようだが自分なりにはこれでよかったのだ。踏ん切りがつくかはわからない。でも確かに俺は先生を好きになってよかった。そう思えた。
病院への道中自然と涙が溢れた。この涙の意味は自分でもわからないが、嫌なものではなかった気がする。
窓から見える暗い夜道を眺めながら気づくと眠りに落ちていた。
61 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 13:34:18.13 ID:HXEO5afsa.net
病院に到着し、病室に戻ると一気に現実を突きつけられた気がした。
先生のために一生懸命頑張ったリハビリも、もうあとはただの自分のため。
燃え尽き症候群というのだろうか、虚無感は大きかった。
看護師に着替えを手伝ってもらいながら今日のことを話した。
俺「無事成功しました」
看護師「よかったね!先生喜んでくれた?」
俺「たぶん喜んでくれたと勝手に思ってます」
看護師「話してこなかったの?」
俺「外出許可の時間ギリギリだったので」
看護師「そんなの律儀に守るなよ〜w告白してないの??」
俺「するわけないじゃないですかw」
看護師「学校変わるなら生徒と教師じゃないんだし言えばよかったのに!」
俺「先生は俺のことそういう目で見てませんから」
看護師「意気地なしwナースステーションでの話盛り上がらないよ〜」
俺「知りませんよw」
確かに今考えてみれば玉砕覚悟で言ってもよかったかもしれないと思った。
ダメだったら諦めもついただろう。
しかし言葉にすることで先生と本当に離れてしまうことを恐れて行動できなかったのだ。
看護師の言う通り意気地なしのヘタレだったのだ。
当然承認し、すぐに駆け足音が聞こえた。凄い勢いでドアが開いた。
R先生「Aくん」
俺「Rちゃん来てくれたんだ」
看護師は「何かあったらナースコールしてもらってね」とニヤニヤしながら出て行った。
後で聞かれるのと看護師内で変な噂をされることは覚悟した。
先生は俺の手を握りながら泣きそうな目をしていた。
R先生「体、動かなくなったの?」
俺「大丈夫。すぐには無理だけど治すから」
R先生「めちゃくちゃ心配したよ!家で泣いちゃったw金曜日でよかったw」
確かに目の周りが少し赤かった。
そんなに大切に思ってくれているとは思わなくて驚いた。
俺「心配かけてごめん。あと、さっき看護師がニヤニヤしながら出て行ったから多分今頃ナースステーションは盛り上がってると思う」
R先生「やめてよw恥ずかしいw」
先生はカバンの中から包みを取り出した。
俺「なにそれ?」
R先生「お守り。今年のバレンタインはチョコレートと交通安全のお守り渡そうと思ってたのに何てことをw」
俺「バレンタインにはまだ早いよねw」
R先生「ここ遠いから頻繁に来れないw ご両親いるのに しょっちゅう来てても変に思われるしw それに こんだけ早ければ1番でしょw」
俺「バレンタイン当日に渡して1番争うならわかるけどwチョコレート食べたいけど手が使えないから」
R先生「じゃあ食べさせてあげるよ」
先生は包みを開け、チョコレートを取り出した。
俺「恥ずかしいってwいいよw」
R先生「遠慮すんなw 嬉しいだろw」
本当に嬉しかった。これならしばらく手足動かなくてもいいなって思ったw
先生との時間は本当に幸せで他のことを考える余裕がなくなるほど満たされた。
56 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:24:28.55 ID:HXEO5afsa.net
午後からは両親が面会に来ることになっていたため、病院の昼食の時間もあるので先生は1時間も滞在せず帰っていった。
猛烈に寂しくなった。
昼食時には看護師が4人もやって来て質問攻めにあった。
そういう類の話が好きなのは察しがつくが。
他の先生や両親が来たときに変なこと言うなよと釘を刺して会話に付き合った。
1人の看護師が「あの目は絶対俺くんのこと好きな目だよw 女だから分かる」とか言ってた。
馬鹿言うなよと笑ったが、内心かなり動揺した。
先生が俺のこと好きとかありえないだろと思いつつも若干鵜呑みにして期待した。
しかしその後、先生はなかなか面会には現れなかった。
57 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:39:20.00 ID:HXEO5afsa.net
ところどころID変わってるスマン
スマホから投下しててPC以外はよくわからないから許して
3月になり卒業式シーズン、夜間高校の先輩も何人か卒業するが まだようやく手が動き出した頃で出席できなかった。
その週の土曜日、R先生がようやく来てくれた。
R先生「ごめんAくん全然来れなくて」
俺「まあこの時期忙しいだろうから仕方ないって思ってたよ」
R先生「うん、卒業式もそうなんだけどね…」
先生は寂しそうな顔をした。嫌な予感はしたが俺がここでテンパっても仕方がない。現実を受け止めようと覚悟し、先生をまっすぐ見た。
俺「異動?」
R先生「…うん」
俺「どこ?」
R先生「○市」
俺「遠いね。引っ越すの?」
R先生「そうだね。今のアパートは解約する」
俺「寂しくなるけど俺はRちゃんのこと忘れないよ。たくさん思い出できたし頑張れる」
R先生「遠すぎて本当に会えなくなっちゃうし面会も来れなくなる」
俺「大丈夫。冷蔵庫開けて大きい包みが入ってるから取り出して」
それはホワイトデーのお返しに用意しておいたチョコレートを入れてある箱。先生の名前も書いておいた。でないと見舞品泥棒の妹に食べられるからw
俺「お返しだよ。いつもありがとう」
R先生「やばい泣いちゃう!w」
俺「ネットで調べて母さんに買ってもらったけどねw手作り無理だからw」
R先生「開けるね」
先生は静かにそして丁寧に箱を開け始めた。
58 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 12:51:18.50 ID:HXEO5afsa.net
中には数種類のチョコレートがたくさん入っていた。
R先生「美味しそう!一緒に食べよーw」
先生はホワイトチョコを俺に食べさせてくれた。ここで もう一つサプライズを考えていた。
俺「Rちゃん待って、食べさせてあげる」
そう言って俺はゆっくりだが手を動かし端にあるチョコレートを摘んだ。先生は驚いた顔で手で口を覆い、瞳を潤ませていた。
R先生「手が動いてる…」
俺「サプライズだよ。Rちゃんにも一回やられているからねw」
先生の口にゆっくりと手を伸ばし口に入れてあげた。食べながら静かに流し始めた先生は、俺にはにかみながらも「美味しい」と笑顔を見せた。
しかし何かを思い出したかのようにはっとした表情を見せ、俺にまた顔を向けた。
R先生「手が動くならLINE返せw 何日無視されてると思ってるのw」
俺「返しちゃうと今日のこれができないよw」
R先生「あーあ、黙ってたんだ。喧嘩だ喧嘩」
俺「バカだwwww」
R先生「wwww」
その日は比較的ゆっくり話が出来て、昼過ぎから夕方まで話していた。
R先生「話しすぎたw もうそろそろ帰るね」
俺「うん、Rちゃんありがとう。またね」
R先生「…」
先生はドアに向かっていたが、突然こっちにまた戻ってきて俺を強く抱きしめた。
心臓が破裂するかと思うくらい緊張した。静まり返った病室で、先生の心臓の音も伝わってきそうな緊張感だった。
俺を話すと先生は涙を流しながら「またね」と手を振って笑顔を見せ、病室を後にした。俺はしばらく放心状態だった。
59 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 13:03:39.08 ID:HXEO5afsa.net
抱きしめられた時は「え?なに?」と思うと同時に静かな病室が異空間のように感じた。
抱きしめ返すことはできなかったが、確かに先生の感触は残っていた。
看護師が入ってくるまで俺はドアを見つめたまま病室の時計の秒針の音だけが耳を通り抜けていた。
落ち着きを取り戻した俺は先生に内緒で この日の夜から もう一つサプライズを計画し始めた。
看護師に手伝ってもらい、車椅子に乗り自分で漕ぐ練習を始めた。
離任式に突然登場しようというものだった。他の先生方の協力も必要になる。俺は学校に電話して計画の提案をした。
両親にも伝え、全面協力のもと、俺の計画は着々と進んでいった。
あと2週間で車椅子を漕げるように回復しないといけない。長い日は1日5時間以上練習した。
そして当日までに何とか間に合った俺は夕方前に病院を出た。
少し日が落ちわずかに薄暗い夜、久しぶりの外の空気だが、それも どうでもよくなるほど高揚感でいっぱいだった。
冬の風、初めて心地よく感じ、寒さなど身に染みることはなく意気込んで出発した。
60 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 13:26:25.93 ID:HXEO5afsa.net
学校に着くと教頭先生が迎えてくれた。
怪我の心配もしてくれつつ、待機場所に指定してある事務室に連れて行ってもらった。
式が始まる直前に入室して驚かせようという算段だった。
先生や生徒が着席し、今始まろうとしているとき、静かにドアを開けた。
漫画やアニメの主人公の登場シーンはこんな感じなんだろうか。そう思えるほど会場が静まり返り、俺に視線が集まった。
車椅子を漕いで自分の席に行き、何事もなかったようにそのまま参加しようとした。
生徒や先生たち笑顔、R先生だけキョトンとしており先生は全てを察した。
R先生「俺くんやりやがったなw」
マイクで俺にそう告げると俺は笑顔で手を振ってやった。
いつも強気な先生、挨拶を淡々と済ませ、みんなからの拍手を受けながら自分の席に戻った。
視線はすぐに俺の元へ。目を見開いて威嚇してきたw 後でやられると感じたがそれも幸せだった。
先生と会うのは今日が最後かもしれない。俺は最高の1日にしようと心に決めてきた。もちろん先生にとっても。
退場前に車椅子の後ろのポケットからスズランの花束を取り出し先生に手渡した。
初めて教官室でやられたように頭を雑に撫で回された。目には少し涙が見えた気がする。
式が終わると俺は早く病院に戻らないといけなかったため、早めに撤退した。先生とは話すことなく お別れになった。
寂しいようだが自分なりにはこれでよかったのだ。踏ん切りがつくかはわからない。でも確かに俺は先生を好きになってよかった。そう思えた。
病院への道中自然と涙が溢れた。この涙の意味は自分でもわからないが、嫌なものではなかった気がする。
窓から見える暗い夜道を眺めながら気づくと眠りに落ちていた。
61 :名も無き被検体774号+:2021/12/21(火) 13:34:18.13 ID:HXEO5afsa.net
病院に到着し、病室に戻ると一気に現実を突きつけられた気がした。
先生のために一生懸命頑張ったリハビリも、もうあとはただの自分のため。
燃え尽き症候群というのだろうか、虚無感は大きかった。
看護師に着替えを手伝ってもらいながら今日のことを話した。
俺「無事成功しました」
看護師「よかったね!先生喜んでくれた?」
俺「たぶん喜んでくれたと勝手に思ってます」
看護師「話してこなかったの?」
俺「外出許可の時間ギリギリだったので」
看護師「そんなの律儀に守るなよ〜w告白してないの??」
俺「するわけないじゃないですかw」
看護師「学校変わるなら生徒と教師じゃないんだし言えばよかったのに!」
俺「先生は俺のことそういう目で見てませんから」
看護師「意気地なしwナースステーションでの話盛り上がらないよ〜」
俺「知りませんよw」
確かに今考えてみれば玉砕覚悟で言ってもよかったかもしれないと思った。
ダメだったら諦めもついただろう。
しかし言葉にすることで先生と本当に離れてしまうことを恐れて行動できなかったのだ。
看護師の言う通り意気地なしのヘタレだったのだ。
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