水遣り
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背中に張りついたブラの細い紐、T-バックは尻の割れ目に食い込み見えません。
「もう一度前を向くんだ」
私の物が その鎌首をもたげます、こんな状況でなければ飛びついているでしょう。
しかし、今はそんな場合ではないのです。眺めている内、新たな怒りが湧いてきます。
「お前はこんな物履いているのか?佐伯に見て貰いたくって、脱がせて貰いたくって、こんな物を。会う前から濡らしているんだろ?俺にはオバサンパンツか」
言えば言う程、感情が激してきます。今まで押さえていた物が全て出てきます。
「お前は佐伯に何回抱かれた?4ヶ月で50回か?俺たちの5年分だな?佐伯のチンポとお前のマンコは余程相性がいいんだな」
妻は俯いたまま聞いています。いや、聞いていないのかも知れません。
「佐伯のチンポは涎を垂らして咥えられるんだ。
奴のザーメンは飲めるんだ。
奴の指ならクリは気持ちいいんだ。
奴の舌ならお前のマンコは喜ぶんだ」
本当のところは知りません。携帯で佐伯の指示で妻が善がっていた、その場面が頭から離れないのです。
ガーターごと一気にT-バックを脱がします。足を開きます。
そこに現れたのは私の知っていた物ではありません。
小陰唇は その窪みから醜くはみ出ています、クリトリスの包皮も捲れています。
しかも色も赤黒く爛れたようになっています。
こんな時でも膣口からは涎を流しています。
あの可愛そうなくらい小さくて可憐な物は もうありません。
今しがた、妻を責める為に言った私の言葉が事実となって帰ってくるのです。
私を打ちのめします。私には もう妻を責める気力がありません。
「こんなにしやがって」
その言葉は妻に向けたものか、佐伯へのものか私にも解りません。
私はバスルームの整理ロッカーから妻の下着も持ってきます。私の知っている いつもの下着です。それを妻に投げつけます。
「もういい。服を着ろ。俺は出かける。自分のした事を良く考えておけ」
本当は出て行けと言いたかったのです。しかし言えません。
佐伯は独身です。出て行けと言えば佐伯のマンションしか行くところはありません。
耐えられません。佐伯のところだけには妻を殺してでも行かせたくありません。
一度や二度の浮気では無いのです。
これだけ長期に渡り、密度濃く、妻は完璧に佐伯に変えられてしまったのです。
本来、妻が持っていた物かも知れません。そうであっても佐伯にそれを引き出されてしまったのです。
普通なら、”離婚だ、出て行け”の一言なのでしょう。
私には頭の整理がつきません、いいえ、心の行き先が見えません。
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もう9時になります。
2時間も妻を責め続けていたのです。仕事をする気になれません。事務所に電話をいれます。
「松下さん、悪いが今日も休む」
「どうされたのですか?」
「いや、私用が片付かなくって」
「お急ぎでなければ、事務所に寄りませんか?味噌汁があります」
「そうか、有難う」
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松下さんの作ってくれたお握りをほうばり、味噌汁を飲みます。
その美味さ、暖かさに思わす涙が零れます。
『社長、余程酷い事があったんですね』
「ご馳走様。美味しかった」
事務所を出ます。行き先は所長さんの所です。
「宮下さん、報告書は今日奥さんに見せたんだね」
「どうしてそれを?」
「言ったように、昨日の午前中が調査の最終日だ。私も大阪に行った。昨日の君の口振りでは、君も大阪に行くに違いないと思った。君の活躍を見たかった」
「それでは全て?」
「そう、見ていた。君は気がつかなかったようだが、同じ喫茶店にいた。ま、気づかれるようなら、私も こんな商売はしていないがね」
私が立ち去った後、妻は、私のキックで歩けなくなった佐伯を部屋まで連れて帰り、自分の荷物を纏めてホテルを出たのです。
一部始終を所長は見ていました。
その時間には東京行きの新幹線は もうありません。
名古屋で乗り換え ”ながら”で帰ってきたのです。
「奥さんは、君を追って駆け出した。暫く追ったが追いつかない」
「私を追ってきたのですか」
「そうだ。名前を叫んでいたが、君は聞こえなかったようだな」
「そうですか」
「その内、歩けない佐伯が気になったんだろう、佐伯に肩を貸してホテルに戻った」
妻がホテルから出てくるであろうと そのまま待っていてくれたのです。
「同じ車両に乗った。あの調子では奥さんは一睡もしていない。私は寝たがね」
所長の目は赤く腫れぼったいのです。妻の様子を見ていてくれたのです。
「有難う御座います」
「何のお礼だね」
「いや、つまり妻を見ていてくれた」
「それより、話があって来たのでは」
写真、媚薬2個を出し所長に出します。
所長が先ず手に取ったのは写真。
「これは君と松下さんだね」
「えっ、松下さんとは会っていない筈では」
「己を知れば百戦危うからずだ」
私は日付日時の事を説明します。所長は日付の部分をじっと見ています。
「此処を見なさい、この部分が他とは色合いが違う」
確かに違います。
「多分、いや間違いなく、佐伯が自分のPCで時刻部分を切り取り、嘘の時刻を貼り付けたのだろう。なんと稚拙な事を」
「その稚拙な事に妻は騙された」
「普通はそこまで見ない。まして奥さんは動転していた。気がつく訳がない」
媚薬に目を移します。
「これは裏では有名な媚薬だよ。どんな女でも いちころだ」
「これを妻は使われていた」
「しかし、酷い奴だ、佐伯は。写真と言い、媚薬と言い手段を選ばない。卑劣な奴だ」
佐伯が卑劣であろうとなかろうと、騙されたのは妻です。
いや騙されたのではなく、妻はそれにのっただけかも知れません。
「宮下さん、君は佐伯を どうしたいんだね」
「頭の整理がついていません。出来れば殺してやりたい」
「そうだろうな、しかし、それは出来ない。奥さんの方は?別れますか?」
「余計な事だ」
「失礼した。人生相談ではなかったな」
”別れますか?”この言葉に困惑します。別れなど考えたこともなかったのです。
真相を知り男を叩きのめす、これしかありません。
妻と別れられるのか、それとも一緒に暮らせるのか、今の私には考えがつきません。
「佐伯の身上調査は火曜日には纏まる。取りに来るといい。ところで中条さんとは会ったかね?」
「中条さん?」
「佐伯の別れた奥さんだ」
「あ、今日お会いしようかと」
中条さんと会った後、佐伯の所へ乗り込む積りです。
「直ぐ会った方がいい」
「そうします。では失礼」
興信所を出る私の背中に声が掛かります。
「困った事があったら いつでも来てくれ。人生相談の窓口は開いてる」
--------------------
中条さんのお宅へは車で40分程度の距離です。
椿の垣根で囲まれた質素なお宅です。呼び鈴を押します。
「はーい」
「宮下と申します。山岡さんに言われて伺いました」
客間でしょうか、8畳の和室に通されます。
物静かな女性です。女の一人暮らしのせいでしょうか、凛とした表情が漂っています。
「どうぞ、お座りになって下さい」
「はい、今日は失礼を省みずお伺いしました」
「どうぞ、気楽になさって下さい」
「あのー」
聞こうとしている事が事だけに中々口火が開けません。
「ご主人の、いえ失礼、佐伯の、いえ佐伯さんの・・」
「佐伯で いいんではないですか。もう私は あの人の妻ではありません」
「無礼を承知でお聞きします。佐伯とはどうして、そのう、離婚を」
「短兵急な方ね。お茶も未だですのよ。それに ご自分の事は何もお喋りになってないわ」
「失礼しました」
妻と佐伯の事の大筋を話します。
「御免なさい。本当は山岡さんから聞いていたの。貴方が死にそうな顔をしてるから、ちょっと言ってみたの」
「そうですか」
「佐伯も昔はいい人だったわ、私にも優しくしてくれた。8年前に変わったわ。手術をしたんです」
「手術?何処か悪かったのですか?」
「いえ、そうじゃ無いんです。男の手術です」
「男の手術?」
男の手術 つまり佐伯は男根の増大手術をしたのです。話によりますと、佐伯のそれは勃起時で大人の男性の中指を少し太くした程度だったそうです。
佳子さんは それで感じ満足もしていたのです。
しかし、コンプレックスを持っている佐伯は悩んだ末、佳子さんに無断で手術を受けてしまうのです。
「手術から回復して、どうだと言わんばかりに私に見せるのです」
それは正視に耐えるものでは無かったそうです。
大きくはなりました、しかし出来の悪い大人のオモチャのようにゴツゴツしたグロテスクな物だったそうです。
「こんな恐ろしい物、おぞましい物、見る事も出来なかったわ」
それ以後、佳子さんはセックス拒否症になり、夫婦はセックスレスになったのです。
「佐伯の性欲は強い方だったと思います。我慢出来なくなったのでしょうね、それと新しい物を試したかったのでしょう。浮気を繰り返すようになったの」
「それで離婚を?」
「いいえ、違います」
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