水遣り
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「相手の事がほんの少しですが、心の中に残っています。多分与えられた快感のせいだと思います」
「余計な事は言わなくてもいい」
自分が聞いて その答えに怒っています。
「それともう一つ。
奥さんは関連する言葉、態度一つで性衝動が起きます。
薬と行為の激しさの残影響だと思います。
相当以前から こう言う状態だった筈です」
医者は事務的に言っているだけです。言葉を選んではいるのでしょうが、佐伯との行為の激しさが目に浮かび、私を叩きます。
「時間が解決してくれる筈です。それから当分の間は控えてください」
「何を?」
「つまり、あれです。性交です」
「そんなもの、するわけがない」
担当医にまで馬鹿にされているようです。怒りが湧いてきます。この分なら妻に言いたい事も言えるかもしれません。
病室に行きますと妻は退院の支度を済ませ椅子に腰を掛け窓から外を眺めています。
顔色はこの前見た時より少し赤味がさし、表情も戻ってきているようです。
「迎えに来た」
「貴方、御免なさい」
妻は ”ご免なさい”以外の言葉を忘れてしまったように只一つこの言葉だけを何度も繰り返します。
『まあいい。話は家に落ち着いてからだ』
--------------------
家に着きます。
妻の入院中の荷物の整理も大したものではありません。ものの20分もあれば片付きます。
妻が お茶を入れようとします。
「俺は要らない。ペットボトルが冷蔵庫にある。お前が飲みたきゃ自分の分だけ入れろ」
妻の前では どんどん嫌味な人間になってしまいます。
「聞きたい事が山ほどある。一つ一つ聞くから全て正直に答えてくれ」
「・・・・・」
「どうした。返事がないな。聞いているのか」
「聞いています」
「よし。佐伯とは いつからだ?初めて抱かれたのはいつだ?奴とのきっかけは何だ?」
「・・・・・」
暫く返事を待っていても妻は黙ったままです。答えられないのは解っています。解っていても責めるのです。
「答えられないのか。お前の大好きな佐伯が初めて抱いてくれた日を忘れたのか。大阪に初めて出張した日だろうが」
「・・・・・」
「違うのか。言ってみろ」
妻は黙っています。
「お前は この4カ月で出張は30回以上してるな。その出張殆どに佐伯が絡んでいる事は解っている。出張の他にもあるよな。お前たちは新婚夫婦もびっくりする位愛し合ってるんだな」
「・・・・・」
「俺の事はすっかり忘れたか?佐伯にそんなに夢中か?」
「お前たちは どんな事をしていたんだ。俺には出来ない事もしていたんだろう。俺にはさせない事もさせていたんだろう」
答えられようも無い事ばかり聞いています。返事が無い事に腹を立てています。返事があれば、あったで又腹が立つのでしょう。
妻をいたぶる為だけに聞いているのです。
黙って泣いているばかりの妻に手を上げてします。頭を思いきり叩きます。妻はよろけて倒れます。
倒れてうつ伏せになって泣き崩れています。
一つのいたぶりの言葉か次のいたぶりを呼びます。
一度叩けばそれは二度、三度になってしまいます。
人は自分の言葉、行動に尚更激してしまうのです。
どんどん激していくのが解ります。話し合いの事はもう忘れています。
妻を責める、いたぶる事が只一つの目的になってしまいます。
「お前の会社には電話しておいた。お前が体調を崩して10日ほど休むってな」
「どうしてそんな事を」
「お前は会社にまだ行くつもりなのか?どんな顔して行くんだ?この事は一部の人しか知らないだろうが、社長以下トップの人は知っている筈だ」
「何故そこまで」
「俺が言ったわけじゃない。佐伯は別件でも調べられていた。相当数の女と関係していたようだし、取引関係とも色々あったそうだ。あいつがどう処分されるのかは知らないがな」
女関係、取引関係の事をかいつまんで話してやります。
妻は驚いています。
落ちぶれるであろう佐伯の元に妻は二度とは行く事もないだろうと。
私の言葉はどんどん激してきます。
「お前の愛しい人を慰めに言ってやったらどうだ」
「愛しい人だなんて、そんな風には思っていません」
「よく言うな、お前は。愛しくなくて50回も60回もよく出きるな。お前はただの淫乱女か」
「・・・・・」
「自分のオマンコを見た事があるのか」
私は手鏡を妻にぶつけるように放り投げます。
「それで眺めてみたらどうなんだ」
勿論、妻は見れる訳はありません。
「私、私知っていました。醜くなっているのを知っていました」
「知っていた?それでも止めなかったのか?そんなにあいつが良かったのか?」
「違います。好きではなかった。でも私の体が・・・」
「お前の体が求めたのか?同じ事だ」
「違います。でも寂しかった」
「何が寂しいだ。馬鹿かお前は。俺には出来なくっても、あいつには出来たんだろうが」
「貴方は私を抱いてくれない。いつも途中で止めてしまう」
「お前が許さなかったんじゃないか。触ってもだめ、舐めさせるのは嫌。俺のを咥えるのはもっと嫌。全てお前が嫌がったんだ」
「私、貴方にそんな女だと思われるのが怖かったの。淫乱な女だと思われるのが、怖かったの。もっと強引にして欲しかった」
「お前も勝手な事をよく言うな。好きな佐伯には出来たんだろうが」
「違います、好きではなかった」
「もういい。堂々巡りだ」
「結婚してからずっと思っていました。貴方はずっと遅かった。貴方には外に女がいるって。それで私には冷たいんだって」
「外に女が居る?俺が冷たい?
仕事で遅かったんだろうが。何処をどう探せばそんな言葉が出てくるんだ。
そりゃあ俺だって男だ。それむきの女を抱いた事はある、台湾、中国で紹介された女を抱いた事もある。それだけの事だ。
お前みたいに不倫なんかした事はない。そう思ったんなら、どうして俺に聞かなかった」
”どうして俺に聞かなかった”
そう言った時、私自身も妻に聞けなかった事を思い出します。
妻が佐伯にA亭で食事を奢られ帰宅してバスルームで自慰をして、その残り香を私が嗅いだ時。
初めての大阪出張から帰った時。
その後も妻の異変に気づいてはいたのです。聞く機会はいくらでもあったのです。私と妻は同じ種類の人間だったのです。
「佐伯から貴方と松下さんの写真を見せられた時、やっぱりと思ってしまったんです」
「それは お前の言い訳だ。佐伯に抱かれたいからそう思っただけだ」
「違います。以前から何度も何度も誘われました。ずっと断っていました」
「嘘をつけ。あいつは一度目からオッパイを触らせた、唾を飲ませたと言っていた」
「でも、でも最後までは」
「同じ事だ」
「御免なさい・・・、こんな私の体、壊してください」
妻は泣きじゃくりながら、走って体を壁にぶつけます。自分の拳で、自分の顔を、乳房を、腰を打つのです。
思わず妻を抱きとめます。
妻の言っている事が本当なのか言い訳なのか解りません。
本当だとすれば妻は20年間以上もそんな思いを抱いていたのです。
「こっちへ来い」
妻をバスルームに連れて行きます。
「服を全部脱げ」
「出来ません」
出来ないのは解っていた事です。無理やり脱がせます。
初めは手を足をばたつかせていましたが、その内に抵抗は止みます。
妻の全身が晒されます。
「洗ってやる」
頭からシャワーを浴びせます。
私は手に石鹸を付け妻の全身を洗います。
首から肩、肩から胸、特に胸は念入りに洗います。
胸を揉むように洗います。乳首を摘んで擦ります。
もう洗っているのではありません。もうそれは愛撫です。
妻の乳首が反応します。
「あぁ貴方、ご免なさい」
「俺は洗っているだけだ。あいつの汚れを落としているんだ。何を感じているんだ」
妻の背中に回ります。正中線が窪んだ綺麗な背中です。
背中をそこそこに今度は尻です。
盛り上がった双丘を撫ぜ回します。尻の割れ目に手を滑り込ませ擦り洗います。前に回りこみ足を割ります。
石鹸を一杯に付けた手でめっちゃやたらと擦ります。
クリトリスにも陰唇にも膣口も擦り下げ、擦り上げます。
妻はもう立っていられません。窓の枠を手で掴み、足をがくがく震わせています。
必死に堪えてはいますが、妻の口からは、よがり声が漏れてきます。
石鹸の泡をシャワーで落とします。
妻の女陰からはシャワーの水とは別のものが止めども無く流れ出ています。
私の物も妻の膣を求めて猛り狂っています。
「あぁ貴方」
私も、もう妻を責めているのは忘れています。
自分のトランクスを引き下げます。自分の物を妻の膣にあてがいます。
あてがう直前、佐伯の事を思い出します。
『ここに あいつの物が入っていた。妻はそれで善がった。こんなに爛れてしまった』
私の物に異変が起こります。萎えてしまうのです。みるみる小さく萎んでしまうのです。
欲情は怒りに変わってしまいます。
「何が あぁ貴方だ。洗っているだけで こんなに濡らしやがって。相手が佐伯だと思っているんだろう。何て言う女だ、お前は。こんな汚れたオマンコに出来るか」
私はバスタオルを妻に投げつけ出て行きます。
バスルームに一人取り残された妻は ただ泣いているだけです。
担当医の言葉が浮かびます
”薬の影響は長期間残ります”。
薬の影響が残っているのか、妻が変わってしまったのか。多分その両方なのでしょう。
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