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三十路の喪女に彼氏ができたときのお話
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50 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:26:38.18 ID:LZSY7jKs.net
「うわー!これ高かったでしょ?」

「あれ、喪子もその画家、好きなの?」

「うん!しかもフルセットだ〜。すげ〜」

「まーそういうのに散財できるのが、独身の醍醐味ですよ」

彼はその他にも、高額そうな画集から中古の文庫本までを、ガンガン床に積んでいた。

DVDも、私が全然知らない映画のボックスがいくつも並んでいた。

そして目的のCDはというと、一目で捜索を諦めるのにじゅうぶんな状態だった。


M君への貧乏疑惑は消えた。

これだけ趣味のものを溜め込んでいるとなると、生活苦ということはないだろう。

アパートがボロいのは、趣味にお金を回すためなのかもしれない。



51 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:27:04.38 ID:LZSY7jKs.net
堆積物を夢中で眺め倒している私に、M君が言った。

「なんか、久しぶりに自分以外の人が部屋にいるの見てると部屋の惨状が客観視できて、自分でも引くわ…」

「そこまで卑下することないよ、帰ったら靴下履き替えるけどw でもこの部屋、なんだかすごい落ち着くんだよねー」

「さては、何もない広い空間が苦手なタチだな?」

「ああ、それだw」


まるで図書館のようなその部屋は、乱雑ではあったけど それなりの秩序があって、妙なバランスで落ち着いていた。

なんだかそこに、M君の内面が現れているような気がした。


「じゃあ、CDはまた今度ってことで、本日は ご満足いただけましたかね?」

「うん、あのねM君、お願いがあります」


ちょっと思いきってみた。



52 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:27:29.34 ID:LZSY7jKs.net
「ん?なに?」

「私、またこの部屋にお邪魔しちゃ駄目かな?」

「駄目だよ」

「えっ、即答かい!」

「うん、ごめんね」

「じゃあ、私と友達になるとかは?」

「…友達」

「うん、友達。その先の下心、全くない」

「友達……は、どうかなあ」

M君は、飲み会の最初のときに見せたみたいな苦笑いをした。





53 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:27:58.09 ID:LZSY7jKs.net
「俺、友達はもう増やさないことにしてるからなあ」

「え、なにそれ。じゃあ彼女なら?」

「さっき自分で下心ないって言ったじゃないかw」

「うん、だって本当にM君の彼女になりたいとかじゃなくて ただ単に仲良くしたいと思ってるんだよ。M君、M君と私は、かなり気が合うよ」

「お。さすがですね、その押しの強さw」


この「さすが」は、私の職業柄をさしての言葉です。

押しが強いってより、言いたいことは言っちゃわないと気が済まないだけなんだけどね。

「だけど、今は仕事じゃないからね… 断られても押しかけたりしないから、大丈夫w」

こういうときの立ち直りの早さは、喪女歴の長さが物を言います。

さーて、あのCM曲のタイトルがわかっただけでもヨシとしよう、なんて思いながら、なるべく上手にさっぱりと立ち去る準備をしていたら。



54 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:28:24.41 ID:LZSY7jKs.net
「あのさ………俺、友達って、"なりましょう"ってなるもんじゃないと思うんだ」


そんなこと言われなきゃ、こんなこと言う気なかったんだけど。


「うん、まーそうかもしれない。でも、"増やさない"って決めるもんでもないと思うよ?」


よくわからなかったけど、この会話はM君にとって、なにか重要なものらしかった。


「そっか………ごめん。なんか俺、面倒くさいこと言ってるな」

「ううん、私が変なこと言い出したからだよ。こっちこそ、気を遣わせちゃってごめんね!私としては、今日が楽しかったからオッケーさw」

「CD、見つかったらメールする」

「えー、友達じゃないのに?w」

「………うん」



55 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:28:54.52 ID:LZSY7jKs.net
このとき、M君が何をどう考えてたのかは知らない。

だけどその後、CDが見つかったってメールがきて、また外で食事して それからは なし崩しに、なんとなーく呼んだり呼ばれたりして 時にはM君の部屋で、語らったりして。

つまり、私たちはいつの間にか、紛れもない友達関係になっていた。

まあ私としては、最初の望みが叶ったわけだから、何の文句もなかったんだけど。


でもだったら、あの日のM君のきっぱり拒絶は、一体なんだったんだろう……?という疑問と戸惑いが、私の中になかったわけではない。だけど そこに触れるのは大人げない気がした。

私は いろんなことをあんまり深く考えない、単純ノンキ。でもM君は反対で、繊細で思慮深く、ちょっと屈折したとこのある人。だからきっと、私では思いもつかないことを考えていたんだよ、うん。



56 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:29:17.71 ID:LZSY7jKs.net
正直に言います。


ガサツな私からすると、M君のそんな繊細さ、思慮深さは、時に複雑すぎて面倒で、臆病さを感じさせもした。

前にも書いたとおり、私の好みは、見た目も性格もごつくて男らしい人。

イケメンで、優しくて、控えめで、線の細いM君は、その対極。

失礼ながら、私には彼が ただの気弱な優男にしか見えていなかった。


同じように、M君だって私のことをガハガハよく笑ううるさい女って程度にしか見てなかったと思う。

そんなふうに、私たちは最初、お互いを異性としては全然見てなかったんだ。


それが あることをきっかけに、私の気持ちが大きく動いてしまったのです。



57 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:29:45.59 ID:LZSY7jKs.net
飲み会からは、半年以上たったころだったかな。

M君の車で、ちょっと遠くの美術展に出かけたことがあった。

外で会うときは いつも現地集合、現地解散だったので おー、なんだかデートみたいですぞ!と、ちょっと浮かれた私。

それでバチでもあたったんだろーか。


帰りに寄ったコンビニで、私は自分で出したゴミを捨てようと、鍵を借りて車に戻った。

ゴミの入ったビニール袋を取って振り返ったら、隣の車に袋が当たってしまった。

そしたら その車から、わかりやすいDQNが降りてきた。二人も。





59 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:30:09.89 ID:LZSY7jKs.net
「おい!いまそれぶつけただろ!」

「すっ、すいません!」

「傷がついただろうがああああん?」

「え、え?」

DQNはぶつけたところを見てもいない。

し、しまった〜、からまれた…

おどおどしてるところへ、店内からM君登場。


「どうしたの?」

「え、あんた、こいつのツレ?」

「そうだけど、なに?」



60 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:30:50.85 ID:LZSY7jKs.net
DQNは、私が女一人でからみやすいと思ってたんだろう。

M君にちょっとたじろいだけど、方針は変えないみたいだった。

私が言うのもなんだけど、優男代表みたいなM君です。いける、と思ったんだろうな。


「こいつがその袋を俺の車にぶつけたんだよ。傷がついたから、直してもらうから」


「ぶつけたの?」

確認してくるM君。

「うん…ちょこっとぶつけちゃった…」

「なにが入ってるの?」

はい。お菓子の空き袋と、空のペットボトルです。

「これで傷がつくって、一体どんな勢いでぶつければ……」

M君はDQNの車のわきにしゃがみこんだ。



61 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:31:31.42 ID:LZSY7jKs.net
「どのへんにぶつけた?」

私に尋ねるM君。

「えーと、たぶんこのへん…?」

「どの傷だかわかる?」

DQNに尋ねるM君。

「そんなんわからねーよ。そこらの傷、全部だよ」

「一度ぶつけただけでこんなに傷がつくはずないだろ。どの傷かって聞いてんの」

「わからねーから全部直せっつってんだよ!」

「なんで因縁つけといてンなこともわからねーんだよ!」

………逆ギレとな!?



62 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:32:02.42 ID:LZSY7jKs.net
M君は突然、ガラの悪い人にジョブチェンジしていた。

下から睨むM君、ああン?って感じで詰めよるDQN。

へにゃちょこ優男だと思ってたM君だけど そうやって凄むと、顔キレイなぶん、怖いです。

それにしても、なんか見たことあるなあ、この構図。

………ああ、龍虎図だ。


「ぶつけたって認めといてバックレる気かよ!」

「直さねえとは言ってねえだろ、こっちでつけた傷はどれだって聞いてんだよ!」

な、なに言ってんの、M君!?

やめてー!お願いだから煽らないでー!

争いより愛を、喧嘩売るより通報を!

と思ってたら、DQNは二人でなにか相談しはじめた。



63 :1@\(^o^)/:2017/01/03(火) 19:32:27.97 ID:LZSY7jKs.net
「あー、もうめんどくせーからいいよ。俺ら、ヤクザの知り合いいるから。いまから呼ぶから」

えっ、リアルで初めて聞いたけど…本当に言うんだ、このセリフ!

「わかった。待つから早く呼んで」

えっ、待っちゃうの!?!?

M君は立ち上がると、私の手を引いて車とDQNから少し離れた。

するとDQNは、また二人でごちゃごちゃなにか言ったあとに

「今日はもういいよ、めんどくせー」

とか言いながら、車に乗って行ってしまった。


ぽかーん…。

いないんだ、ヤクザの知り合い…







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