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今日、彼女の父親は死ぬ
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35 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:33:19.90 ID:7//OxQ26.net[29/87]
それを見ている彼女を見て僕は少し迷ったが、話をすることにした。

「そういえば、僕たちがあの子くらいの時もここにきたよな、お前のお父さんと一緒にさ」

父親の話題を出していいかわからなかったが、この話をしないと前に進まないと思った、だからこの話をすることにしたんだ。




36 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:35:08.31 ID:7//OxQ26.net[30/87]
「うん、そうだね」

彼女は少し暗い声でそう言った。普通の僕だったらこの少しの変化には気付けなかっただろう。

でも、虐待のことを知っている僕にはこの声がとても悲しい声に聞こえたよ。

「最近どうなの? お父さん。もうずっと会ってないけど」

僕はまだ話を続けることにした、できればここで虐待のことを打ち明けてほしかったんだ。

もう事件が起こる日まで時間がないからね。



37 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:37:30.08 ID:7//OxQ26.net[31/87]
でも、僕が望んだ答えは返ってこなかった。

「元気だよ、昔とあんまり変わってないんじゃないかな」

嘘だ、と思ったよ。そんなわけがないんだ。

でも僕にはそれ以上聞くことはできなかった。




39 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:40:00.42 ID:7//OxQ26.net[32/87]
その後、他愛もない話を少しして帰路に着いた。

「家まで送るよ」って言ったんだけど、途中で「ここでいいよ」と言われてしまった。

それが僕が嫌だからなのか、父親に会わせないようにするためかはわからなかった。

後者だといいなと思ったよ。




40 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:41:20.61 ID:7//OxQ26.net[33/87]
その日から僕はとにかく彼女と話すようにした。

くだらない話ばっかりだったけど、彼女と話すのは楽しかったよ。それがどんな感情からくるものなのかは相変わらずわからなかったけどさ。



41 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:42:14.32 ID:7//OxQ26.net[34/87]
でもさ、ただ楽しいとだけ言っているわけにもいかなかったんだ。

事件の日は刻々と迫ってきていたからね、このまま彼女が虐待のことを話してくれなかったら、強硬手段に出るしかなかった。

できれば、そうはならないでほしいなと思ってたんだ。






42 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:42:33.61 ID:7//OxQ26.net[35/87]
それに彼女と話しているとたまにあの綺麗な笑顔が少しだけ曇る事があった。

とても些細な変化でそれに気付けたのは、僕が虐待のことを知っていたからだろう。

僕はあの悲しい顔をこれ以上見るのは耐えられなかったんだ。

だから一刻も早く彼女の本当の笑顔を取り戻したかった。



43 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:43:19.06 ID:7//OxQ26.net[36/87]
そんな思いも虚しく、時間は無情にも過ぎていった。

そして事件が起こるであろう前日、僕は彼女を誘って河川敷に来ていた。




44 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:44:04.40 ID:7//OxQ26.net[37/87]
もし、今日彼女が虐待のことを話してくれなかったら、もう無理やりにでも彼女と父親を引き離すしかないと、僕は思い始めていた。

その方法は思いつかないけどなんとかするしかない、そう思ってたんだ。




45 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:44:41.61 ID:7//OxQ26.net[38/87]
河川敷についてから僕はずっと黙ってそのことを考えていたので、しばらく、来るときに買ったソフトクリームを舐める音だけが聞こえていた。



46 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:45:07.05 ID:7//OxQ26.net[39/87]
最初に話し始めたのは彼女だった。

「あんたさ、最近どうしたの? なんか悩んでることがあるなら私に話してよ、話きくだけならできるからさ」

「えっ」

あまりに、唐突な彼女の質問に思わず声を出してしまった。

笑っちゃうよな、僕は彼女のことを心配しているつもりが、いつの間にか彼女に心配をかけてたんだ。

僕は最初、彼女の異変に気付くことができなかったのに、彼女は僕が悩んでいることに気付いてたんだ。



47 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:45:59.31 ID:7//OxQ26.net[40/87]
「別に、悩みなんてないよ。そっちこそなんか悩んでることないの?」

彼女の殺人を止めるために悩んでるなんて言えるわけがなかったので、誤魔化して逆に彼女にも質問をした。

ただ、内心これで彼女が話してくれるとは思ってなかった。



48 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:46:20.41 ID:7//OxQ26.net[41/87]
「実はさ……私、虐待されてるんだ、お父さんに……」

僕の予想とは裏腹に彼女はそう話し始めた。

なんで話してくれたのかはわからなかったが、こんな言い方はいけないのかもしれないけど、僕はそれが嬉しかった。

彼女が僕を頼ってくれたことが嬉しかったんだ。



49 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:47:03.40 ID:7//OxQ26.net[42/87]
「いつから?」

僕は彼女の話を真剣に聞くように努めた。

「三年くらい前から。お母さんが死んじゃって、会社もクビになって、それから……」



50 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:47:21.82 ID:7//OxQ26.net[43/87]
彼女は虐待のことを全て話してくれた。

それは、とても辛いことだったと思う。

そんなことを話させてしまったんだ、絶対に彼女を助けなきゃいけないって思ったよ。



51 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:47:59.07 ID:7//OxQ26.net[44/87]
「ごめんね……こんな話しして、迷惑だよね」

彼女は目に涙を滲ませながらそう言った。

「そんなことない、話してくれてありがとう。なぁ、明日、家に行っていいか?」

「えっ、私の家?」

「ああ」

もうこれしかないと思ったんだ、明日、彼女が父親を殺す日、直接家に行って彼女を止める。

いや、彼女の父親の虐待を止める、そうしようと思った。



52 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:48:22.51 ID:7//OxQ26.net[45/87]
「でも……」

彼女は言い淀んだ

多分僕に迷惑をかけたくないと思っているんだろう。

「これからとても無責任なことを言うけどいいか?」

「……」

彼女の返事を待たずに僕は続けた。

「多分、このことについて、お前はずっと悩んでたんだと思う。

僕があれこれ口を出していいことじゃないんだと思う。でも、僕はお前の力になりたい。

だから、 僕にお前を助けさせてほしい。そしてお前の笑顔をもう一度見させてほしいんだ」






53 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:48:48.50 ID:7//OxQ26.net[46/87]
こうやって話すと、僕は相当かっこよく見えるだろうけど、多分僕は何回か噛んだし、実際はこんなにスラスラ言えてなかったと思うよ。

とにかく必死だったんだこのときは。



54 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:49:51.01 ID:7//OxQ26.net[47/87]

こうやって話すと、僕が相当かっこよく見えるだろうけど、多分僕は何回か噛んだし、実際はこんなにスラスラ言えてなかったと思うよ。

とにかく必死だったんだこのときは。




55 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:50:38.52 ID:7//OxQ26.net[48/87]
「うん……ありがと。私を……助けて……」

僕の必死の叫びに彼女はそう答えてくれた。

僕に助けてほしいと言ってくれた。

それだけで僕は嬉しかったんだ。



56 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:51:02.59 ID:7//OxQ26.net[49/87]
「それから、今日は家に帰るな。僕と一緒にいよう」

もう彼女を家には帰したくなかった、

今日家に帰ってなにか暴力を受けるのが耐えられなかった。

「うん」

彼女は頷いてくれた。

そして、少しだけ笑ってくれた。

僕はこの笑顔を守らなきゃいけない、そう誓ったんだ。



57 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:51:34.43 ID:7//OxQ26.net[50/87]
この日は公園に移動して、一晩中話した。

このとき、やっと久しぶりに本当の彼女と会話できた気がしたな。



59 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:52:10.10 ID:7//OxQ26.net[51/87]
次の日、事件が起こった日、朝から彼女の家に向かった。

彼女が父親を刺したのは、九月十七日の朝九時頃だと聞いていた。

そして、彼女の家に着いたのが八時五十分、彼女が父親を刺す正確な時間はわからなかったが、とにかくここから二十分くらいが勝負だった。



60 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:52:44.00 ID:7//OxQ26.net[52/87]
ただ、僕はこのときほぼ勝利を確信してたんだ。

このときの彼女の様子から父親を殺すとは思えなかったからね。



61 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:53:07.63 ID:7//OxQ26.net[53/87]
家に入ると、大きな男の声で怒声が響いた。

「おまえ、どこ行って……」

酒で焼けた声の主は僕を見て言葉を止めた。

「誰だ、お前」

「友達です、彼女の」

「何しに来た?」

彼女は僕の後ろで、僕の袖を掴んで震えていた。

だから僕は彼女を安心させるためにも、できるだけはっきりした声で目的を口にした。

「彼女を助けに来ました」

そう口にした次の瞬間、頬に激しい衝撃と痛みを感じた。

彼女の父親は、床に倒れこんだ僕の腹を続けざまに蹴り飛ばした。



62 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:53:56.25 ID:7//OxQ26.net[54/87]
情けないことに僕の身体能力は、酒に溺れた中年にさえ劣るようだった。

彼はなにか喚きながら僕を蹴り続けた。

何を言っているか聞き取る余裕はなかったよ。

まぁ、聞く価値もなかっただろうけどね。



63 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:54:25.12 ID:7//OxQ26.net[55/87]
彼女の父親の暴力は一秒の休みもおかずに続けられた。

毎秒生きているのが嫌になるくらいの激しい痛みが続いた。

僕は、とりあえず彼女に逃げてもらわなくてはいけないと思ったんだ。

もう声も出ないかもしれない、それでも目でだけでも逃げろと伝えたかった。

だから、暴力の嵐の中、彼女がいた場所を見た。







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