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私が初恋をつらぬいた話
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157 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:44:36.80 ID:+beSXCVE0
「今からそこのステージに立って、少しだけ歌ってもらいますね〜」

私はビックリしてヘラ男に聞き返す。

「歌ですか?」

「そうっすよ〜なんでもいいんで、テキトーに歌ってください。」

私は促されるまま、ステージの上に立った。

適当に、当時流行っていた曲を歌う。

歌い始めて早々に店長は私を止めた。

「わかった。歌はもういいから、脱いで」

言われて思わず体が固まった。

「ほら、早く脱いで。下着もね!」

ヘラ男の焦った様な声がする。

あぁ…やっぱりこうゆう事か……私はなかば半笑いで服を脱いだ。

店長とヘラ男は、じーっと私を見ている。

不思議と、恥ずかしいとも嫌だとも思わなかった。

「OK、それならいけるね。もう帰っていいよ。」

店長はそういうと、またさっき出てきた部屋に戻っていった。ヘラ男が嬉しそうに近づいてくる。

「いや〜よかったね!あ、もう服は着ていいよ。家まで送るね。」

私はまた、そそくさと服を着た。



158 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:46:53.17 ID:+beSXCVE0
「渚さん、来週卒業式っすよね?終わったら連絡ください。待ってますから。」

私を家の前で降ろすと、ヘラ男はそう言った。

私は返事をせずに車のドアを閉めて、さっさと家に入った。

「おかえりなぎぃ〜♪どうだった〜〜〜??」

上機嫌で話しかけてくる母を無視して、足早に部屋に戻る。

久しぶりに部屋に鍵を掛けると、私はベッドに突っ伏した。

母がまた、わざわざ私の部屋の前まで来てギャーギャー叫んでいる。

私は鬱陶しくなって、MDのイヤホンを耳に付けた。

もうこのまま消えてなくなっちゃいたいな…

ひたすら そんな事を考えながら、目を閉じた。





159 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:49:02.55 ID:luzV68/p0
読んでて辛い。

>>1のペースで、辛くなったら休み休みでもいいので頑張ってください。


160 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:50:10.63 ID:+beSXCVE0
>>159
大丈夫です。皆さん、優しいですね。ありがとうございます。


卒業式が終わる。

当たり前のように、母は出席しなかった。

友人達は皆、泣いていた。


式が終わってすぐに少しだけ懇親会のようなものが予定されていたのだが、私はそれに出る事無く高校をあとにした。


家に戻るのが なんとなく嫌で、あてもなく街中をブラブラ歩く。

街の賑やかな喧騒が耐えられなくて、私は人気の少ない小さな公園に向かった。

その公園は地元では有名な心霊スポットで、街を一望出来る綺麗な場所なのに、普段から誰も近寄ることが無かった。


どっかりとベンチに腰を下ろす。

私は携帯の電源を落とすと、ただボーっと空を眺めた。


思えば最初は天国、最後は地獄の高校生活だった。

先生と再会出来た事、大事な友達が沢山出来た事……色々な思い出が、頭を駆け巡る。


何だか疲れちゃったな……

そう思いながらボーっとしていると、空はあっという間に暗くなっていった。



161 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:52:56.40 ID:+beSXCVE0
辺りが完全に暗くなった所で、私は時間を見るために携帯の電源を入れた。

時間はもう6時過ぎ。

着信履歴は母からのもので埋まっていた。

ボーっとしながら履歴のページをめくっていく。

不思議な事に5時を過ぎた辺りで、母からの電話はピタッと止まっていた。

あーあ…やっちゃったー…なんか色々と大変な事になってるんだろうな…

そう思いつつも、まったく家に戻る気が起きない。

なんとなく そのまま無心で履歴をめくり続けていると、最後の方で堺先生の名前が出てきた。

それを見て、指が止まる。



先生とはあの日以来、連絡を取っていない。

メールが来ることも、こちらから送ることも無かった。

ふと、先生の言葉を思い出す。

ー 人って結局、いつかは自分から離れていくじゃないですか… ー


離れないと決めたはずなのに、私は簡単に先生から離れていった。

その時は本気で離れないと思ったはずなのに、結局は先生の言うとおりになっている。

先生の悲しそうな顔が、思い浮かんだ。

瞬間、離れるのが正しかった事なのだと、私は自分に言い聞かせた。

こんな自分の泥沼のような人生に、もう先生を巻き込んじゃいけない。

そう思いながらも心のどこかでは、先生に会いたくて、このまま離れたくなくて、ダダを捏ねてる自分が居る。


ダメ…でも…いや絶対にダメだ……私は久々に味わう心の痛みに、葛藤していた。



162 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:56:15.85 ID:+beSXCVE0
長い長い葛藤のあと、私は思いついた。

最後に一度だけ、先生に電話をしよう……それで心の踏ん切りをつけよう…と。

よくわからない緊張が、私を支配する。

コレが最後。と何度も自分に言い聞かせながら、私は思い切って携帯のボタンを押した。


「…………」

暫らく鳴らしても、先生は電話に出ない。

やっぱりそうだよな…出るわけ無いよな。でもかえってこれで踏ん切りがついた…。

そう思いながら電話を切ろうとしたその時、呼び出し音がブツっと急に止まる。

「……もしもし…」

先生の声がした。

「……もしもし…渚さん?」

久しぶりの柔らかい声に、胸が一杯になる。

「…お久しぶりです…先生。」

何とも言えない懐かしさで、私の心は一瞬で穏やかになっていった。





163 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 17:58:45.42 ID:+beSXCVE0
「お久しぶりです。元気にしてましたか?」

「はい。…先生こそ、元気でしたか?」

昔のように笑いあう。

「元気でしたよ。…渚さんは今日卒業式でしたよね?おめでとうございます。」

「…ありがとうございます。」

卒業という言葉に少しだけ現実を思い出して、胸が痛む。

「どうしたんですか?急に。」

先生はいつもと変わらぬ明るい声で、私にそう尋ねた。

先生の言葉に大きく一回深呼吸をして、私は勇気を出して話し始めた。

「…これが最後のつもりで、先生に電話をかけました。」

「……最後?」

「はい。…先生に電話を掛けるのも…今日で最後にします。」

電話の先で先生が黙り込む。

「…先生には沢山助けてもらいました。だから…今までありがとうございました。もう迷惑はかけません。」



165 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 18:01:06.93 ID:+beSXCVE0
先生からの返事は無い。

言い終えた私は、胸の痛みを必死で堪えていた。

自然と涙が溢れてくる。

「…今、どこにいますか?」

長い沈黙のあと、先生は私にそう尋ねた。

「…どうしてですか?」

私は泣いているのを悟られないように、明るく聞き返した。


またほんの少しの沈黙の後、先生は小さく「だって…」と言った。

「……これで最後にしますって言われて、しかもその連絡が電話だけ…っていうのは、なんか嫌じゃないですか。」

私は何も言えなかった。

「…これでもうサヨナラするのなら、最後に会って話をしましょう。僕はそうしたい。」

私は少しだけ考えて、「〇〇公園に居ます。」と応えた。

先生は場所にちょっと驚いたようだったが、「わかりました。すぐに行きますから。」といって電話を切った。



あの時のように、泣いてる顔なんて絶対に見せない。

私はそう決心をして、ひたすら何も考えないようにじっと夜景を眺めた。



166 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 18:03:51.89 ID:+beSXCVE0
案外すぐに涙も止まり、不思議と穏やかな気分になっていた。

これでもう大丈夫…あとは何があっても普通に接していればいい…

心の中でひたすら そんな事を繰り返していると、先生は本当にすぐにやってきた。

「おまたせしました。…やっぱりココ、なんだか怖いですね。」

そう言いながら、私の横にちょこんと腰をかけた。

ラフなスーツ姿の、小学校の時と何も変わらない先生を見ていたら、懐かしい気持ちがこみ上げてくる。

私は少し笑って、「そうですね。」と返事をした。


「…仕事、あれからどうなりました?結構色々と見て回ってましたよね?」

胸がズキッと痛んだ。

「全部、落ちちゃいました。」


私は努めて明るく答える。

先生は凄く驚いた顔をした。

「なんで?あんなに頑張ってたのに…」

「ちょっと色々ありまして…残念でしたけど。あ、でも もう仕事他に決まったんですよ。」

「そうなんですか?…ならよかった。どんなお仕事?」

胸がどんどん痛くなっていく。

「母から紹介されて…脱いで歌うお仕事だそうです。」

私が笑いながら言うと、先生は私を見ながら固まった。



169 :名も無き被検体774号+:2012/06/07(木) 18:05:31.78 ID:+beSXCVE0
「脱ぐ…って…」

「はい、歌いながら裸になるそうです。まいっちゃいますね。」

「…ストリップって事ですか?」

「多分、そうだと思います。結局私には そういう仕事しかなかったみたいです。」

私は先生の顔を見ないように前を向いて、アハハと笑った。

もう2度と会う事はない。

このまま嫌われてしまっても構わない。

いや、むしろ嫌われて軽蔑されてしまった方が、気が楽だ。


私は話しながら、そんな事を考えていた。

「そんな仕事を始めるし、私はどんどん先生達の世界から離れていきます。」

「……。」

「だからこれ以上、先生を巻き込みたくないし、迷惑かけたくないんです。私は先生に、幸せになって欲しいから。」


言い終わってホッと溜め息をつく。

先生が隣で固まっているのがわかった。

これでいいんだ…

昔のように痛くなる胸の締め付けを我慢しながら、私はただじっと夜景だけを眺めた。







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