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僕とオタと姫様の物語
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517 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/14(木) 23:32:37
あてもなく代官山へ向かう途中。

オタがメールをよこした。

短いメールだった。一画面に収まる内容。


 >嬢様を押さえとけ。明日の飛行機に絶対乗せるな。



今日書いてるときに流れていた曲

シャルロットマーティン/Charlotte Martin 「on your shore」



619 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/16(土) 22:34:31
そのままオタに電話した。メールなんて待ってられなかった。

オタだってわかっててくれたんだと思う。

たった数回の呼び出しで男の声が聞こえた。

考えてみれば ぼくとオタは普段あまり喋らない。あんなにたくさん会話するのに それは2バイトに変換されるから。


大量の文字と画像データ。

電話の声は別人のように聞こえた。

男の声が本人だとわかるまで道路沿いの強風の中、オタなのかと叫び続けなければならなかった。


「エアインディア」

とオタは言った。航空会社の名。

雑音の中 そこだけ やけにはっきりと響いた。

途切れてしまった探索の小径の先。


オタは天才的なひらめきでもって 最後に搭乗予約のデータの中から彼女の名を引き当てた。

ついてた。ラッキーだったとオタは言った。

たまたま航空会社のデータベースに張りついてたやつがいて。

普段なら最初の連絡だけで数日かかるほど用心深い連中なんだ、と。

リークさせるために金もかかったんだろう。オタがそれを口にすることはなかったけれど。




620 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/16(土) 22:36:26
すまない。とオタは悔しがった。


新しいことはもう何ひとつわからない。

憶えてるか。3枚のgif。

インドの3つの街。ペダルタクシィの写真。

この街のどれもが電気街なんだと。日本でいうアキハバラ。まったく知らなかったよ。

路地裏に入ればウィンドウズが2ドルで買える。

この場所が選ばれたのには理由があるんだよ。絶対に。

でも それが何なのかはわからない。

オタのため息。近くて音が割れる。

あのリスト。数字の羅列。

それはレターヘッドに印字されるように整えられてた。

いまでも意味不明の単語がいくつかあって それは医用電子装置メーカ数社の名に似ている。

さらに疑って読み取れば、液体シンチレーションカウンタだの染色体画像解析装置の型番にもぴったり重なる。


これはきっと偶然なんかじゃない。

オタは企業情報と口にしかけ それから、いやあり得ないと一蹴した。

それこそ荒唐無稽だ。


苦しまぎれに頭を切り換えようとして むこう一月分のインド行き予約状況を調べてみた。

そこに嬢様の名があった。


偽名を使ってないところをみると これで終わりにしようとしてるんじゃないのか。

もちろん おれの言ってることは すべて当て推量だ。

だけど今夜 手を離せば嬢様は もう帰ってこない気がする。



621 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/16(土) 22:37:44
もういいんだよ。オタ。

姫様は ここにいる。

ぼくの手を握っててくれる。

目を閉じれば姫様の体温を感じることができる。




今日書いてるときに流れていた曲

スマッシングパンプキンズ/Smashing Pumpkins「machina」



652 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/17(日) 02:00:47
代官山まで歩いても ぼくらは店を探そうとはしなかった。

お腹がすいているのかさえ分からなくなった。

どこかに入ってもいいし何も食べなくてもいい。

このまま道に迷ってしまっても かまわなかった。


結局 落ち着いた先はフレッシュネスバーガーで ぼくはオレンジジュースを飲み彼女はフライドポテトを数本つまんだだけだった。

どうやらあの目黒の晩から巻かれはじめた夜は完全に巻き取られてしまったらしい。

ぼくらには もう時間が残っていないようだった。

彼女が そのことを口にすることはなく つとめて明るく振る舞い、ぼくのために冗談を言い ホテルに戻ってからも ぼくのそばにずっといてくれた。




653 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/17(日) 02:02:28
ホテルにあった暗がり。

その闇の中で彼女は荷造りをはじめた。


洗面台にあった化粧品をまとめ 持ってきたどこかのショップの袋から新しいワンピースを取りだして着替え PCを起動して短いメールを送信した。


そのあと ぼくらはベッドによこになってしばらく眠った。

彼女の心の中にあった凪。

さざ波ひとつない完璧な鏡面。

それに触れた途端ぼくはもう何も話せなくなった。


彼女はありがとう、と言った。

気持ちが落ち着いていて、とても気分がいいと。


明け方。彼女はホテルの部屋を出て行った。

ふかふかの絨毯のせいで足音すらなく 彼女は妖精みたいに ぼくの前から消えていなくなった。



654 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/17(日) 02:03:55
彼女が残して行ったお土産の包みを開けてみた。

派手な極彩色の花が描かれたいかにもインドの土産っぽい香の箱。

中身は からっぽだった。


代わりに入っていたのはピンクのクマのぬいぐるみだった。

箱の蓋を開けるとき、香のかおりが さあっとひろがって ぼくはそいつを肺の中いっぱいに吸いこんだ。

懐かしいかおり。

それは目黒の夜、彼女の首筋に残ったあの匂いとおなじものだった。

どうしても思い出せずにいた、あのあまったるい匂いだった。



最後に流れていた曲

スマッシングパンプキンズ/The Smashing Pumpkins 「rotten apples」



664 名前:70 ◆DyYEhjFjFU   sage 投稿日:04/10/17(日) 02:17:32
おわりました。ようやく。


たぶん いろいろ書きたいことがあったような気がするんだけど キーに触ったとたん忘れちった。

とにかく最後まで読んでくれた人ありがとう。

すべてのレスをくれた人ありがとう。


シロウトのつまんない話に最後まで付き合わせてごめんなさいでした。


さーて飲も。。。ノシ



http://love3.2ch.net/motenai/kako/1092/10925/1092540053.html



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