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みんなの大好きな、みどりいろのあいつの話
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28 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 17:31:17.88 ID:l7VywiqX0
購入からちょうど100日たったその日、ジュークの記憶を消して、売り飛ばそう。

そうロックは考えていた。

ある意味では、ジュークとロックの利害は、最初から一致していたのだ。



32 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 18:21:49.99 ID:l7VywiqX0
ロックは外に出るたび、しょっちゅう喧嘩をしてきた。

警察に捕まって、三日くらい帰ってこないこともあった。

そして家に帰ると涙目でジュークに抱きついて、「マミー、また喧嘩しちゃったよ」と言った。

その度ジュークはロックの怪我をみたり、しばらくロックを慰めたりしなければならなかった。

なくくらいならけんかしなきゃいいのに。

『ますたー、ほんとはけんかきらいなのに、どうしてそんなに けんかばっかりするんですか?』

ラグビー選手と喧嘩してきて傷だらけのロックに皮膚スプレーを吹き付けながら、ジュークは聞いた。



33 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 18:25:41.23 ID:l7VywiqX0
ロックの答えは、こんなものだった。

「マミー、俺は、無法者を演じなきゃならないんだ。

ロックンローラーの俺が、何もできない皆の代わりに、法律を破って、暴言を吐いて、喧嘩しなきゃならないんだ。

つまり、俺は必要悪で、必要バカで、必要クズなんだよ。

俺みたいな成功者が大人げなく社会に反抗するのを見て、勇気を与えられている人がたくさんいるんだ」


そう言うと、正座したジュークのひざに頭を乗せ、ロックはそのままぐっすりと眠り込んでしまった。

ろっくんろーらーというやつはたいへんなんだな。



35 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 19:05:41.68 ID:l7VywiqX0
家の中では四歳児みたいに甘えるロックだが、一歩家の外に出ると、態度は急変して、ジュークを娘のように扱うのだった。

「だって恥ずかしいだろ?」とロックは言った。

「母親と歩いてるところを見られるのは嫌だろ」

ちゅうがくせいみたい、とジュークは思った。

ただ、ジュークとしては、母親のように扱われるより、娘のように扱われる方が楽しかった。

ロックに抱っこされたり、頭を撫でられたりすると、不覚にもふわふわした気持ちになった。



36 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 19:10:13.50 ID:l7VywiqX0
ジュークがロックの家に来てから70日目、ロックはジューク用のベッドを買ってきた。

『ますたー、もうひとりでねれるんですか?』

ジュークはシーツを張りながらロックに聞いた。

「わからない」とロックは肩をすくめた。

「でも、徐々にそういうのに慣れていかないとな。

いつまでもマミーと寝ているわけにもいかない」

これが”おやばなれ”というやつか、とジュークは思った。





37 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 19:17:22.05 ID:l7VywiqX0
その夜、ジュークは初めて一人で寝ることになった。

きょうは ちょっとさむいな、とジュークは思った。

頭まで毛布に潜ってみたが、やっぱり寒かった。


翌日も、その翌日も、やっぱり寒かった。

ジュークは それを毛布のせいだと思った。

このもうふがいけないんだ。うすいから。

ますたーのベッドのもうふと、なにがちがうんだろう?

そう考えたジュークは、ロックのベッドに潜りこみ、ロックに抱きついて、「ああ、なるほど」と納得し、体が温まるまではそうしていようと決め、結局、そのまま眠り込んでしまった。



39 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 19:38:02.23 ID:l7VywiqX0
目を覚ましたロックは、隣でジュークが寝ているのを見て、「寝ぼけた俺が連れ込んだのかな?」と思った。


それ以後、ジュークは毎日ロックのベッドに潜りこんだ。

しかも以前はロックがジュークに抱きつくだけだったのに、今ではジュークの方からロックに抱きつくようになっていた。

五日目の朝、ロックはジュークに言った。

「そうか。ジュークも、パピーが欲しいんだな?」

『えっと……そういうわけじゃないんです』とジュークは答えた。

『なんか、ひとりでねてると、さむいんです』



40 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 19:49:49.04 ID:QZ/IcpR0P
面白い


41 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 19:59:01.83 ID:g7ay/0Smi
心がぽかぽかしてくる


42 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 20:03:13.52 ID:l7VywiqX0
ロックはジュークの言葉を無視した。

「じゃあ、俺がジュークのパピーになればいいんだ」

『でも、わたしは ますたーのマミーなんでしょう?』

「ああ。そして俺はお前のパピーだ、ジューク」

『なんかおかしいですよ。へんです』

「おかしくない。パピーとマミーが一緒にいる。自然だ」

『……そのいいかただと、”ふうふ”みたいですね』

そう言った後、ジュークはちょっと照れた。

わたしはなにをいっているんだ!



43 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 20:30:18.30 ID:l7VywiqX0
100日目。

ロックはジュークにきれいな服を着せた。

そうした方が綺麗に見えて、高く売れるからだ。


ロックはジュークを連れて外に出た。

ジュークはその服が気に入っていて、いつになく機嫌がよかった。

『マミーとてをつなぎましょう』とジュークは言い、ロックの手を引いて、ちょっと楽しそうに歩いた。

自分がこれから売り飛ばされることには、まったく気付いていない様子だった。



44 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 20:37:41.57 ID:l7VywiqX0
気付けばジュークは、あんまりロックに嫌われたいとは思わなくなっていた。

ますたー、わたしがなにをしてもおこらないし、わたしのぱぴーになってくれるし、あったかくてだきごこちがいいから、ますたーにきらわれるの、やめにしよう。

そうジュークは思った。



46 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:03:49.73 ID:l7VywiqX0
ロックが立ち止まったそこは、かつてロックがジュークを購入した店だった。

「俺がここでジュークを買ったあの日から、今日でちょうど100日目だ」とロックは言った。

ジュークは『そうなんですか』と無邪気に笑う。

「これは、最初から決めてたことなんだ」

ロックは自分に言い聞かせるように言う。

「この病気が治ろうと治るまいと、100日きりで、もう、こういう空しいことはやめにしようって。ジュークを買ったその日から、決めてたことなんだよ」

ロックはジュークの肩に右手を置く。

「ジューク、今日限りで俺は、マミーを卒業するよ」



47 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:19:09.53 ID:l7VywiqX0
ジュークは表情を固めたまま黙りこんでいたが、全てを受け入れるまで、そう長くはかからなかった。

ロックに向かってぺこりと頭を下げると、ジュークは自分から店に向かって歩いていった。

このきおくは、すぐにけしてしまおう。ジュークはそう思った。

扉の手前でジュークはふと振り返り、自分の衣服や髪留めを指差して言った。

『これ、おかえしします。ますたーのしょゆうぶつですし』



48 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:27:47.14 ID:6zo50D2A0
辛い…ハッピーエンドお願いします!




50 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:32:38.89 ID:l7VywiqX0
ロックは「ああ、たしかにそうだ」と言うと、ジュークに歩み寄り、小さな体をひょいと抱え上げた。

腕の中で目を丸くしているジュークに、ロックは言った。

「でもジュークは、何か勘違いしてるみたいだな。

それを言うなら、ジュークだって、俺の所有物なんだ。

マミーはもう、いらない。

でもだからと言って、ジュークが俺のところから出て行っていいという理由にはならない。

高い買い物だったんだ。二百年は使わないと割に合わない」

『えっと』とジュークはしどろもどろの手話で返した。

『わたし、すてられないってことですか?』

「そうさ。残念だったな」とロックはいたずらっぽく笑った。



51 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:39:07.85 ID:6zo50D2A0
完?


52 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:40:43.76 ID:l7VywiqX0
いえ、半分くらいですね。



53 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:42:13.41 ID:fIz/CV3r0
素敵だなおい


54 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:45:14.93 ID:l7VywiqX0
帰り道の半分くらいまで来ても、ジュークは自分に起こったことが信じられず、これは自分が廃棄されている最中に見ている都合の良い幻覚なんじゃないかと思っていた。

だがロックが小声で口ずさむ歌を聴いたことで、ようやく「ああ、これ、げんじつなんだ」と気づき、慌ててロックの胸を叩いて地面に下ろしてもらって、あらためてロックに礼を言った後、遠慮がちに抱きついた。


ロックも直前までは、本気でジュークを捨てる気でいたのだ。

でも自分から姥捨て山に歩いていくジュークの背中を見て、ふとロックは思った。

あれを手放すわけにはいかない、と。



55 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:49:08.72 ID:6zo50D2A0
まだ半分なんや!楽しみ!

頑張って!


56 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:53:10.14 ID:l7VywiqX0
ありがとうー



57 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:53:19.28 ID:N0PfJtHU0
追いついた

素敵な話だな


58 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 21:57:39.23 ID:l7VywiqX0
帰宅後、夕飯の支度を終えたジュークは、譜面とにらめっこするロックを見て、その横におそるおそる座ってみた。

「もっと近くにこい」とロックは命令した。

言われた通り、ジュークはそばに寄った。

ジュークはロックのきれいな金髪を見ていた。

「ところでジューク」とロックは口を開いた。

「”19”ってのは、シリアルナンバーか何かか?」

ジュークはちょっと迷ってから、こう答えた。

『じゅーくぼっくすの”じゅーく”なんですよ、ゆらいは』



59 :名も無き被検体774号+:2013/03/31(日) 22:03:40.78 ID:l7VywiqX0
「ジュークボックスとお前に、何の関係があるんだ?」

『んーと、わたし、むかしは、こえがでたんですよ。それで、ちょっとだけ、うたをうたうのがとくいだったんです』

「歌が得意だった?」ロックは訊きかえす。

『はい。もちろん、ますたーほどじゃありませんけどね。

でも、たのまれれば、どんなきょくだろうと うたってました。

そういういみで、じゅーくぼっくすの”じゅーく”なんですよ』

「なるほど。別に18とか20がいるわけじゃないのか」

ロックはちょっと残念そうに言った。







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