俺の墓場までもっていく秘密となった体験談
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428 :えっちな21禁さん:2005/05/31(火) 21:35:21 ID:+/dKYG6g0
どうなっちゃうんだろうと心配しながら子縁してしまう僕がいます。
429 :262:2005/05/31(火) 21:36:32 ID:og3HIr6g0
「もう、行かなくっちゃ。授業があるんだ」
「食べてゆかないの?」
俺は、トーストをコーヒーで流し込み、手早く朝食を済ませた。
「ね、合い鍵を頂戴」
「残念だけど、今は手元に無いんだ」
「じゃあ、私が作るから、あなたの鍵を預かるわ」
「イヤ、俺が作るよ」
彼女はここにいるつもりなのか。突っ走り過ぎではないのか。俺達は不倫の仲なんだ。
射精しすぎた疲労からか、禁断の道に踏み込み、人生を狂わせてしまったという後悔からか、俺は吐き気が止まらなかった。
第1、中出ししている。妊娠したらどうするのか。以前読んだことのある「青春の蹉跌」と同じ筋書きじゃないか・・・・
俺は主張した。
「とにかく、一度お家に帰るんだ。良いね。合い鍵は用意しておくから、電話で連絡を取り合えばいい」
彼女はかぶりを振った。
「イヤ」
430 :262:2005/05/31(火) 23:03:09 ID:og3HIr6g0
普段、聡明で仕事のできる彼女が、どうしてこんなになってしまうのか、俺には理解できかねた。
まるで駄々っ子である。どうして俺の言うことが理解できないのか。頭で分かっても、感情が納得しないのか。
女はわからないとつくづく思う。女房や子供を見ても、そう思う。
小学生までは分かりやすい娘達だが、思春期を迎えると突然変貌を遂げる。
あんなに父親に甘えかかっていた子供が、中学高学年にもなると突然「お父さんて不潔」となる。
分からんと女房に言うと、「男と女は別人種なのよ・・・」と意味あり気だ。
が、これはずっと後の話。
とにかく、俺は彼女を家に帰した。
彼女が無断外泊をどうやって護摩化したのか、それは未だに分からない。
説得に時間をかけたので授業には出られず、やり切れなかった。勉強どころではなかった。
431 :262:2005/05/31(火) 23:08:26 ID:og3HIr6g0
中出ししたのも恐怖だった。
俺はSさんに初体験と二度目に中出ししている。
が、それは幸いに命中しなかった。
彼女が出してといったので、出したのだが、それからは膣外射精に決めていた。
今回は4回連続で中出ししている。
彼女が妊娠したら、俺は死のうかと思ったりした。バカは死ななきゃ直らないとはよく言ったものだ。
Mちゃんには申し訳が立たない。俺は泣きたかった。まさしく勉強どころではなかった。
Mちゃんに連絡を入れた。会いたかった。無性に。
俺は駅のホームで彼女と待ちあわせ、彼女は夜だったけれど、家の人を護摩化して出てきてくれた。
俺の姿を見つけると、にっこり笑って小走りに駆けてくる。可愛らしかった。清潔な、清楚な感じ。
それに対してドロドロに汚れた俺。
433 :262:2005/05/31(火) 23:19:37 ID:og3HIr6g0
Sさんを説得しているうちに分かったことがある。
ご主人の浮気がお盛んだったのだ。夫婦仲は、冷えていた。
あんなに俺と寝ると乱れるSさんだが、ご主人とのセックスは好きでないと言う。
ご主人とSさんは約束していたという。お互いに干渉しないと。
それをSさんは律義に守り、ご主人にクレームを付けなかった。
だから、Sさんもご主人に干渉させないと言っていた。
俺の存在はご主人も知っている。そして、深い中になっていることもご主人は知っていたのかもしれないと今では思う。
だが、進んでいる理解しあっている夫婦のように見えて、実際はそうでなかったのだろう。
Sさんは俺に「さびしかったのよ」とぽつんと言ったことがある。
その反動が俺との関係で出たのかもしれない。
夫婦間は、お互いの信頼の上に成り立つものだろうし、それは相手が絶対に浮気しないという信頼に立つものと今では思う。
俺はこの失敗で、多くのことを学ばせてもらった。
434 :262:2005/05/31(火) 23:30:40 ID:og3HIr6g0
その週は、勉強にならなかった。勉強なんかできる状態ではなかった。
一週間ちょっとで、4回Mちゃんとデートした。酒も飲んだ。
Mちゃんは驚いていたが、それでも嬉しそうだった。随分俺の勉強に気兼ねして、我慢していたことを知った。
Sさんと一緒にいると、情が移ることもある。が、Mちゃんと一緒にいると彼女を選ぼうという気持ちになる。
そして、Sさんのことを考えると気が重くなった。
Mちゃんを2回抱いた。処女が開発されてゆくプロセスを、見ることができた。
はじめは、反応も見せなかった彼女だが、その内にインサートされると感じるようになってきた。
蜜坪をこねくり回されるのが好きだった。
「あ、あ、あ」
「アン、アン、アン」
と声を上げ、俺にしがみついてくるようになった。
440 :262:2005/06/01(水) 22:08:16 ID:EyrfPPp90
俺はアパートへの帰宅をわざと遅らせ気味にした。研究室に行っても、勉強どころではない。ただ、机に座るだけで、ぼんやり本の活字に目を落とすことができるだけだった。
短答式に合格した人達は、夢中になって勉強していた。論文試験が近づいていた。
研究室のメンバーは、合格者が最終合格に至れるよう助けることになっている。色々な雑用が会ったが、俺はそんな気になれなかった。
だからといって、早く帰るのは恐かった。俺はぐずぐず時間を潰した。
アパートのドアに、手紙が挟まっている。Sさんからのものだ。丸っこい、少女じみた字だ。クルーノートでしばしば見ていたあの字。
中には合鍵のこと、会えなくて寂しいこと、その他色々書いてある。
俺の誠意を疑うようなことも書いてあったが、今となってははっきり思い出せない。
手紙には切手が張ってなかった。彼女が来て、挟んでいったのだ。
俺は手紙をくしゃくしゃに丸めた。
443 :262:2005/06/01(水) 22:21:50 ID:EyrfPPp90
頭の中を、どうでもよい考えがグルグル回る。
SさんとMちゃんとのこと、俺を信じきっているMちゃん。
Sさんも俺との愛を確認できたと思っている。
俺が傷つかず、何とかSさんと別れる手はないものだろうかと、頭をひねった。
が、所詮それは無理だ。アパートを引き払おうか。だが、彼女は俺の実家の場所も電話番号も知っている。彼女は俺の履歴書の内容など先刻ご承知だ。
もしもSさんが妊娠していたらどうしよう。Sさんからの手紙に、思わせぶりなことも書いてあった。愛の実とか何とか、妊娠と取れなくもないあいまいな言葉。
俺は、氣がおかしくなりそうだった。胃もおかしかった。
何を食べても胃にもたれた。俺は身長177センチ体重70キロで、筋肉質で幾ら食べても太らない体質だった。
が、この2週間余り食べられず、俺はどんどん痩せていった。
実はこの辺りの時間、日にちの感覚がどうも思い出せない。日記もつけていなかった。
思い出したくないことを、不安を確認する作業になる、日記とは。
高一から付け続けていた日記が、この辺りでごっそり欠けている。
444 :262:2005/06/01(水) 22:49:25 ID:EyrfPPp90
合鍵をSさんに渡すしかなかった。彼女は何度も電話をかけてきた。
大家さんは不機嫌になる。一々俺の部屋に電話の取り次ぎに来るのだから。俺は申し訳なさそうに大家さんに頭を下げて、電話に出るとSさんなのだ。
遂に俺は合鍵をSさんに渡した。彼女は俺の部屋に自由に出入りできるようになった。
俺はSさんを抱いたことで、彼女の要求を突っぱねるきっかけを失ったのだ。
あの場合、一回目はほとんどレイプであった。が、彼女にかかると愛の確認の行為になってしまう。
ほとんど馬鹿だとしか、俺には思えなかった。彼女は一途に俺を誤解して、感情に任せておれに迫り、遂に合鍵を手に入れたわけだ。
あの時の彼女の笑みを俺は忘れない。アパートに来てもらいたくはなかったので、彼女と別のところで待ち合わせた。
喫茶店に入り、コーヒーを飲みながらよもやま話をした。
「痩せたんじゃない? 身体は大丈夫なの?」
誰のせいだと思いつつも、俺は笑顔で応える。
「ああ、平気だよ。疲れが溜まっているんだと思うんだ」
「そうなの? だと良いけど。どこかでゆっくり休んでゆく?」
445 :262:2005/06/01(水) 23:04:23 ID:EyrfPPp90
彼女は上体を少しくねらせた。
俺は、嫌悪感を覚えつつも「イヤ、いいんだ」
合鍵の話が出てこなければよいがという淡い期待を持ちつつも、この場から早く離れたいとも思った。
「ところでSさんの体調はどお? 元気そうだけど」
彼女はほほ笑み、
「私は大丈夫、でも、身体は大切にしなくっちゃね、自分だけのものじゃないんだから」
俺は青ざめた。相当な衝撃であった。ガーンという効果音の意味がわかった。
本当はこの時点では、妊娠しているかどうかなど分からない。
2、3ヶ月生理がなかったら、その時調べることになるのだが、そんな知識俺にはなかった。
彼女はジュースをすすって、両肘を立てて顎を乗せ、俺を見つめた。
それからゆっくりと俺に片手を伸ばし、手のひらを俺に見せた。
俺は観念した。
合鍵を渡す。彼女は両手で鍵を受け取って、大事そうにハンドバックにしまった。
447 :262:2005/06/01(水) 23:22:41 ID:EyrfPPp90
喫茶店の料金は、彼女が持った。俺が持とうとしたのだが、どうしても払わせなかった。
彼女は時々アパートに来た。俺が遅く帰ってみると、部屋がきれいになっていたり、冷蔵庫に食材が入っていることがあった。
合鍵を貰ったことで、彼女は心に余裕ができたのだろう、遅くまで部屋にいて俺を困らせるようなことはなくなった。
ときに俺は彼女を抱いた。中に出してと言われても、絶対に中出しはしなかった。
俺は自分が破滅を先送りしているだけだとはっきり分かっていた。
が、どうすることもできなかった。
勉強は全く身が入らなかった。研究室に行くだけでも辛かったので、俺は渋谷や歌舞伎町を夜になるまで歩き回った。
俺は腐ってきていた。
道場には辛うじて行っていた。Mちゃんがいるからだ。
道場には、外国からも稽古生が来る。カナダ出身のJという男がいた。
俺より後に入門し、身長180センチで男前だった。政府機関で働いており、日本には期限を区切って、留学に来ていた。良い男だった。
448 :262:2005/06/01(水) 23:29:38 ID:EyrfPPp90
Jは良いやつだった。稽古に熱心で、本質を捉えることができる男だった。
力を入れず、柔らかく技は使わねばならない。多くの道場生は、それが頭で分かっていても身体に現れない。
Jは本気で技を掴もうとしていたし、師範からも可愛がられていた。
そのJがMちゃんにほれたのだ。が、俺はその時それを知らなかった。
Jは良いやつだったので、おれとMちゃんの関係を邪魔しないようにしてくれていたのだと思う。
449 :262:2005/06/01(水) 23:44:47 ID:EyrfPPp90
鮮烈な気迫、生き生きした生命、透き通った清潔な雰囲気、それらは数値には表わせないが、心で敏感に察知できる。
そして、それらは生き方が真っ直ぐでないと出てこないもののようだ。
というよりも、かつて俺が持っていたかもしれないそれらの雰囲気が俺から失われた。オーラが濁るというか、友人からどうしたのかと問われたりした。
Mちゃんも敏感にそれを察知したのだろう、心配していると手紙をくれたりした。
俺は濁っていた。すぐに手に入る女体がある。彼女を嫌悪しつつも、俺は彼女を突き放すことができなかった。
小遣いをくれると彼女は言う。が、俺はもらわなかった。
かすかなプライドが俺を支えていたが、それが崩れるのは時間の問題だったと思う。随分長い期間だったようにも思うし、短かったようにも思う。
俺は彼女の若い燕、愛人になっていたということだ。
Mちゃんの可愛らしさが、清潔感が俺にはまぶしかった。
Sさんはぼってりした感じになってきてしまった。身体が太ったというのではない、心に脂肪がついてしまったのである。
どうなっちゃうんだろうと心配しながら子縁してしまう僕がいます。
429 :262:2005/05/31(火) 21:36:32 ID:og3HIr6g0
「もう、行かなくっちゃ。授業があるんだ」
「食べてゆかないの?」
俺は、トーストをコーヒーで流し込み、手早く朝食を済ませた。
「ね、合い鍵を頂戴」
「残念だけど、今は手元に無いんだ」
「じゃあ、私が作るから、あなたの鍵を預かるわ」
「イヤ、俺が作るよ」
彼女はここにいるつもりなのか。突っ走り過ぎではないのか。俺達は不倫の仲なんだ。
射精しすぎた疲労からか、禁断の道に踏み込み、人生を狂わせてしまったという後悔からか、俺は吐き気が止まらなかった。
第1、中出ししている。妊娠したらどうするのか。以前読んだことのある「青春の蹉跌」と同じ筋書きじゃないか・・・・
俺は主張した。
「とにかく、一度お家に帰るんだ。良いね。合い鍵は用意しておくから、電話で連絡を取り合えばいい」
彼女はかぶりを振った。
「イヤ」
430 :262:2005/05/31(火) 23:03:09 ID:og3HIr6g0
普段、聡明で仕事のできる彼女が、どうしてこんなになってしまうのか、俺には理解できかねた。
まるで駄々っ子である。どうして俺の言うことが理解できないのか。頭で分かっても、感情が納得しないのか。
女はわからないとつくづく思う。女房や子供を見ても、そう思う。
小学生までは分かりやすい娘達だが、思春期を迎えると突然変貌を遂げる。
あんなに父親に甘えかかっていた子供が、中学高学年にもなると突然「お父さんて不潔」となる。
分からんと女房に言うと、「男と女は別人種なのよ・・・」と意味あり気だ。
が、これはずっと後の話。
とにかく、俺は彼女を家に帰した。
彼女が無断外泊をどうやって護摩化したのか、それは未だに分からない。
説得に時間をかけたので授業には出られず、やり切れなかった。勉強どころではなかった。
431 :262:2005/05/31(火) 23:08:26 ID:og3HIr6g0
中出ししたのも恐怖だった。
俺はSさんに初体験と二度目に中出ししている。
が、それは幸いに命中しなかった。
彼女が出してといったので、出したのだが、それからは膣外射精に決めていた。
今回は4回連続で中出ししている。
彼女が妊娠したら、俺は死のうかと思ったりした。バカは死ななきゃ直らないとはよく言ったものだ。
Mちゃんには申し訳が立たない。俺は泣きたかった。まさしく勉強どころではなかった。
Mちゃんに連絡を入れた。会いたかった。無性に。
俺は駅のホームで彼女と待ちあわせ、彼女は夜だったけれど、家の人を護摩化して出てきてくれた。
俺の姿を見つけると、にっこり笑って小走りに駆けてくる。可愛らしかった。清潔な、清楚な感じ。
それに対してドロドロに汚れた俺。
433 :262:2005/05/31(火) 23:19:37 ID:og3HIr6g0
Sさんを説得しているうちに分かったことがある。
ご主人の浮気がお盛んだったのだ。夫婦仲は、冷えていた。
あんなに俺と寝ると乱れるSさんだが、ご主人とのセックスは好きでないと言う。
ご主人とSさんは約束していたという。お互いに干渉しないと。
それをSさんは律義に守り、ご主人にクレームを付けなかった。
だから、Sさんもご主人に干渉させないと言っていた。
俺の存在はご主人も知っている。そして、深い中になっていることもご主人は知っていたのかもしれないと今では思う。
だが、進んでいる理解しあっている夫婦のように見えて、実際はそうでなかったのだろう。
Sさんは俺に「さびしかったのよ」とぽつんと言ったことがある。
その反動が俺との関係で出たのかもしれない。
夫婦間は、お互いの信頼の上に成り立つものだろうし、それは相手が絶対に浮気しないという信頼に立つものと今では思う。
俺はこの失敗で、多くのことを学ばせてもらった。
434 :262:2005/05/31(火) 23:30:40 ID:og3HIr6g0
その週は、勉強にならなかった。勉強なんかできる状態ではなかった。
一週間ちょっとで、4回Mちゃんとデートした。酒も飲んだ。
Mちゃんは驚いていたが、それでも嬉しそうだった。随分俺の勉強に気兼ねして、我慢していたことを知った。
Sさんと一緒にいると、情が移ることもある。が、Mちゃんと一緒にいると彼女を選ぼうという気持ちになる。
そして、Sさんのことを考えると気が重くなった。
Mちゃんを2回抱いた。処女が開発されてゆくプロセスを、見ることができた。
はじめは、反応も見せなかった彼女だが、その内にインサートされると感じるようになってきた。
蜜坪をこねくり回されるのが好きだった。
「あ、あ、あ」
「アン、アン、アン」
と声を上げ、俺にしがみついてくるようになった。
440 :262:2005/06/01(水) 22:08:16 ID:EyrfPPp90
俺はアパートへの帰宅をわざと遅らせ気味にした。研究室に行っても、勉強どころではない。ただ、机に座るだけで、ぼんやり本の活字に目を落とすことができるだけだった。
短答式に合格した人達は、夢中になって勉強していた。論文試験が近づいていた。
研究室のメンバーは、合格者が最終合格に至れるよう助けることになっている。色々な雑用が会ったが、俺はそんな気になれなかった。
だからといって、早く帰るのは恐かった。俺はぐずぐず時間を潰した。
アパートのドアに、手紙が挟まっている。Sさんからのものだ。丸っこい、少女じみた字だ。クルーノートでしばしば見ていたあの字。
中には合鍵のこと、会えなくて寂しいこと、その他色々書いてある。
俺の誠意を疑うようなことも書いてあったが、今となってははっきり思い出せない。
手紙には切手が張ってなかった。彼女が来て、挟んでいったのだ。
俺は手紙をくしゃくしゃに丸めた。
443 :262:2005/06/01(水) 22:21:50 ID:EyrfPPp90
頭の中を、どうでもよい考えがグルグル回る。
SさんとMちゃんとのこと、俺を信じきっているMちゃん。
Sさんも俺との愛を確認できたと思っている。
俺が傷つかず、何とかSさんと別れる手はないものだろうかと、頭をひねった。
が、所詮それは無理だ。アパートを引き払おうか。だが、彼女は俺の実家の場所も電話番号も知っている。彼女は俺の履歴書の内容など先刻ご承知だ。
もしもSさんが妊娠していたらどうしよう。Sさんからの手紙に、思わせぶりなことも書いてあった。愛の実とか何とか、妊娠と取れなくもないあいまいな言葉。
俺は、氣がおかしくなりそうだった。胃もおかしかった。
何を食べても胃にもたれた。俺は身長177センチ体重70キロで、筋肉質で幾ら食べても太らない体質だった。
が、この2週間余り食べられず、俺はどんどん痩せていった。
実はこの辺りの時間、日にちの感覚がどうも思い出せない。日記もつけていなかった。
思い出したくないことを、不安を確認する作業になる、日記とは。
高一から付け続けていた日記が、この辺りでごっそり欠けている。
444 :262:2005/06/01(水) 22:49:25 ID:EyrfPPp90
合鍵をSさんに渡すしかなかった。彼女は何度も電話をかけてきた。
大家さんは不機嫌になる。一々俺の部屋に電話の取り次ぎに来るのだから。俺は申し訳なさそうに大家さんに頭を下げて、電話に出るとSさんなのだ。
遂に俺は合鍵をSさんに渡した。彼女は俺の部屋に自由に出入りできるようになった。
俺はSさんを抱いたことで、彼女の要求を突っぱねるきっかけを失ったのだ。
あの場合、一回目はほとんどレイプであった。が、彼女にかかると愛の確認の行為になってしまう。
ほとんど馬鹿だとしか、俺には思えなかった。彼女は一途に俺を誤解して、感情に任せておれに迫り、遂に合鍵を手に入れたわけだ。
あの時の彼女の笑みを俺は忘れない。アパートに来てもらいたくはなかったので、彼女と別のところで待ち合わせた。
喫茶店に入り、コーヒーを飲みながらよもやま話をした。
「痩せたんじゃない? 身体は大丈夫なの?」
誰のせいだと思いつつも、俺は笑顔で応える。
「ああ、平気だよ。疲れが溜まっているんだと思うんだ」
「そうなの? だと良いけど。どこかでゆっくり休んでゆく?」
445 :262:2005/06/01(水) 23:04:23 ID:EyrfPPp90
彼女は上体を少しくねらせた。
俺は、嫌悪感を覚えつつも「イヤ、いいんだ」
合鍵の話が出てこなければよいがという淡い期待を持ちつつも、この場から早く離れたいとも思った。
「ところでSさんの体調はどお? 元気そうだけど」
彼女はほほ笑み、
「私は大丈夫、でも、身体は大切にしなくっちゃね、自分だけのものじゃないんだから」
俺は青ざめた。相当な衝撃であった。ガーンという効果音の意味がわかった。
本当はこの時点では、妊娠しているかどうかなど分からない。
2、3ヶ月生理がなかったら、その時調べることになるのだが、そんな知識俺にはなかった。
彼女はジュースをすすって、両肘を立てて顎を乗せ、俺を見つめた。
それからゆっくりと俺に片手を伸ばし、手のひらを俺に見せた。
俺は観念した。
合鍵を渡す。彼女は両手で鍵を受け取って、大事そうにハンドバックにしまった。
447 :262:2005/06/01(水) 23:22:41 ID:EyrfPPp90
喫茶店の料金は、彼女が持った。俺が持とうとしたのだが、どうしても払わせなかった。
彼女は時々アパートに来た。俺が遅く帰ってみると、部屋がきれいになっていたり、冷蔵庫に食材が入っていることがあった。
合鍵を貰ったことで、彼女は心に余裕ができたのだろう、遅くまで部屋にいて俺を困らせるようなことはなくなった。
ときに俺は彼女を抱いた。中に出してと言われても、絶対に中出しはしなかった。
俺は自分が破滅を先送りしているだけだとはっきり分かっていた。
が、どうすることもできなかった。
勉強は全く身が入らなかった。研究室に行くだけでも辛かったので、俺は渋谷や歌舞伎町を夜になるまで歩き回った。
俺は腐ってきていた。
道場には辛うじて行っていた。Mちゃんがいるからだ。
道場には、外国からも稽古生が来る。カナダ出身のJという男がいた。
俺より後に入門し、身長180センチで男前だった。政府機関で働いており、日本には期限を区切って、留学に来ていた。良い男だった。
448 :262:2005/06/01(水) 23:29:38 ID:EyrfPPp90
Jは良いやつだった。稽古に熱心で、本質を捉えることができる男だった。
力を入れず、柔らかく技は使わねばならない。多くの道場生は、それが頭で分かっていても身体に現れない。
Jは本気で技を掴もうとしていたし、師範からも可愛がられていた。
そのJがMちゃんにほれたのだ。が、俺はその時それを知らなかった。
Jは良いやつだったので、おれとMちゃんの関係を邪魔しないようにしてくれていたのだと思う。
449 :262:2005/06/01(水) 23:44:47 ID:EyrfPPp90
鮮烈な気迫、生き生きした生命、透き通った清潔な雰囲気、それらは数値には表わせないが、心で敏感に察知できる。
そして、それらは生き方が真っ直ぐでないと出てこないもののようだ。
というよりも、かつて俺が持っていたかもしれないそれらの雰囲気が俺から失われた。オーラが濁るというか、友人からどうしたのかと問われたりした。
Mちゃんも敏感にそれを察知したのだろう、心配していると手紙をくれたりした。
俺は濁っていた。すぐに手に入る女体がある。彼女を嫌悪しつつも、俺は彼女を突き放すことができなかった。
小遣いをくれると彼女は言う。が、俺はもらわなかった。
かすかなプライドが俺を支えていたが、それが崩れるのは時間の問題だったと思う。随分長い期間だったようにも思うし、短かったようにも思う。
俺は彼女の若い燕、愛人になっていたということだ。
Mちゃんの可愛らしさが、清潔感が俺にはまぶしかった。
Sさんはぼってりした感じになってきてしまった。身体が太ったというのではない、心に脂肪がついてしまったのである。
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