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思い出話に付き合ってくれないか?
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222 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:55:01.24 ID:MzdjVTRc0.net
もうすぐ地元に帰ることは避けられない。

将来デザイナーになれて、美凪とも再会出来るとしても、何年後になるかも分からない。

当たり前だが、2人とも大人になった後だろう。


再開までの長い間も、美凪に勝つための修行期間と思って絵を描き続けたい。

美凪も夢を見つけたし、絵を描く理由をたくさん見つけた。

美凪も俺と再開するまで絵を描き続けるだろうな。


再会が出来ない可能性もある。

もしかしたらその可能性の方が大きいかもしれない。そんなことは分かっていた。

だが、陸上と美術と、そして美凪に鍛えられたこの負けず嫌いな性格があれば、そんなことだってどうとでもなるような気がした。



223 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:55:33.79 ID:MzdjVTRc0.net
合宿が終わるまでの時間がだんだんと迫ってくる。合宿が終わっても、高校生活が終わっても、この先ずっと絵を描き続けるのは確かだ。

だが、美凪と一緒に絵を描けるのはいつになるかは分からない。そんな寂しさもあったが、美凪はその寂しさに幼い頃から耐えてきた。今後も耐えることになるだろう。

ここで俺が耐えられなければ、絵の勝負どころか我慢比べで負けてしまう。

俺が美凪に負けていいのはこの合宿でだけ。

この先は一度たりとも負けるつもりは無い。



224 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:56:12.03 ID:MzdjVTRc0.net
そして、合宿9日目がやってきた。

もちろん合宿9日目の夕方も東屋で過ごした。

もう明日には地元へ帰ることになるが、俺も美凪も怖くはなかった。

今後の夢に期待を寄せて、また会う日まで絵を描き続けることにワクワクさえしていた。

だから、最終日を目前にしつつも いつも通りに過ごしていた。



225 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:56:58.45 ID:MzdjVTRc0.net
美凪は、絵を描き終えたと思ったら、次は本を読み出した。

今日は夏目漱石か。相変わらずマイペースだな。

いつも通りヘッドホンからは音楽が流れていた。今日は松山千春の 「旅立ち」 が流れていた。



226 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:57:34.17 ID:MzdjVTRc0.net
あなたの思い出だけは

消えたりしない

って歌詞が、俺に向けてのメッセージみたいにも感じて少し嬉しくなる。色々な曲が次から次へと流れていく。



227 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:58:06.38 ID:MzdjVTRc0.net
ウルフルズの 「笑えれば」

ZIGGYの 「ONE NIGHT STAND」

BUMP OF CHICKENの 「ガラスのブルース」

前におすすめした曲も聴こえてきた。

でも、そろそろ帰ろうとした時に流れているのはやっぱり尾崎豊の 「シェリー」 だった。






228 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:58:51.85 ID:MzdjVTRc0.net
時間もお金のように、幸せな使い方ばかりしてるとすぐに夜が来てしまう。もう民宿への集合時間に近かった。



229 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 21:59:37.85 ID:MzdjVTRc0.net
俺「俺は帰るけどさ、美凪はまだここにいるつもりだろ?」

美凪「今日ももう少し絵を描くつもりだよ〜」

俺「やっぱりまだいるつもりかwww それならちょっと待っててくれないか?」

美凪は、俺がこれから何をするか分かっていたようだったけど、俺は知らない気付かれていないフリをしていた。初めて美凪に会った日のように、雑に道具をしまって民宿まで走った。



230 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:00:42.27 ID:MzdjVTRc0.net
部屋に戻り、少し前に戻っていた皆に駆け寄る。

時計はいつも通りの集合時間、6時30分を指していた。ミーティングは30分後の7時から。これが合宿でのルーティンだった。



231 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:01:51.20 ID:MzdjVTRc0.net
俺「おい、お前らwww 俺がこれから何言うか分かるかwww?」

吉田「わかんねぇよwww」

佐野「慌ててどうしたんだwww」

樋口「イッチ、はしゃぎすぎでござるよwww」

嘘つけ、こいつら絶対分かってる。

だって吉田はギターで「シェリー」を弾いてるし、佐野は一度脱いだ外着をもう一度着ようとしているから。

そして樋口は、初日も見たような、いつ買ったのかも分からない花火を抱き抱えていた。



232 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:02:54.56 ID:MzdjVTRc0.net
俺「ミーティング開始数分前は先生も女子たちもいつも忙しそうにしてただろ?そこを狙うんだよwww」

吉田「お、それは名案www」

佐野「イッチ天才か!?」

樋口「懐中電灯用意しとけ、だいぶ暗いからなwww」

俺「やっぱり分かってんじゃねえかよwwwwww」



233 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:04:02.24 ID:MzdjVTRc0.net
吉田は弾いていたギターを拭きながらケースにしまい、肩からがっしりと背負った。

佐野も外着に着替え終え、樋口も準備OKといった顔だった。



234 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:05:06.26 ID:MzdjVTRc0.net
吉田「まあ最後の夜だからな、民宿くらいいつか抜け出さねえとって思ってたんだよwwwwww」

佐野「俺らが問題起こさずに帰る訳にもいかねえだろ?」

樋口「当たり前だ!急ぐぞwww」


最終日の夜、合宿の最後に民宿を抜け出す。

それくらいするのが高校生だよなぁ。

行き先は皆分かっていた。もちろんあの東屋だ。美凪はまだいるはずだ。



235 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:06:08.00 ID:MzdjVTRc0.net
ミーティング開始5分前。入口からは人が多いため、抜け出せないことを分かっていた。

だから、部屋のベランダから非常用のロープを吊るし、4人で降りていく作戦を決行。

夏とはいえ夜の7時にもなると、空のほとんどが紫色で覆われており薄暗い。窓を開けると風で風鈴がチリンチリンと鳴り始めた。



236 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:07:25.87 ID:MzdjVTRc0.net
バレるかバレないかギリギリのスリルってものは、青春真っ只中の高校生には大好物。

みんなワイワイと騒いで興奮しながら、薄暗い中民宿を裏から抜けていった。

民宿前の道は直線で人の目が多いため、草を掻き分け林をぬけて、民宿の裏側にある川の上流から公園まで駆け下りることにした。



237 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:08:30.87 ID:MzdjVTRc0.net
川から公園に降りるのは かなりの大回りをしなければならなかったが、そんなこと気にならなかった。

川の水よりも速いんじゃないかというくらいみんな全力疾走。

岩を何個も乗り越えた。靴が水に濡れても関係なし。吉田が肩からかけているギターケースを岩にぶつけて叫んでいたが、止まらずに走り続けた。



238 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:09:27.46 ID:MzdjVTRc0.net
樋口「夜の川怖ぇwww 流れ速すぎwww」

吉田「怖いならなんか弾いてやるよwww」

佐野「やめろ遅くなるだろwww」

とか笑いまくったな。結局、樋口が怖さを紛らわせるために大声で歌い始めた

マキシマム ザ ホルモンの 「ぶっ生き返す」をみんなで熱唱しながら走っていたwww





239 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:09:48.20 ID:MzdjVTRc0.net
樋口「キィオクノハカヴァニヴァラマカレタマルデセッメイノダストカンドゥノメイキュッ!wwwwwwwww」

俺「デスボイスやめろwwwwwwwww」



240 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:10:33.71 ID:MzdjVTRc0.net
そうして、いつもスイカをくれた農家のおじさんの家辺りまで川を降りてきた。

この頃には辺りも真っ暗になっていて余計不気味だった。

ここまで来ればあとはいつも通り公園までの峠道を登るだけだ。みんなコケたり何か落としたりしながらも走っていた。



241 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:10:49.44 ID:MzdjVTRc0.net
美凪に絵の楽しさを教わって、ついには夢も目標も出来た。

だが、友達とこんなに馬鹿なことをして笑い合うのは初日から変わっていなかった。



242 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:11:23.93 ID:MzdjVTRc0.net
俺「なぁ、お前ら、言ってなかったんだけどさ」

俺「あの子の名前、美凪って言うんだよ。美しいに凪で、ミナギ!」

樋口「はぁ!?!?なんで今まで言ってくれねえんだよwwwwww」

吉田「聞いてねえって、ずるいぞwwwwww」

佐野「知ってたなら言えよwwwwww」



243 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:11:47.31 ID:MzdjVTRc0.net
初日から知ってたってことは言わないでおこう。自分だけが名前を知っている優越感は十分味わった。

今は、より多くの友達が美凪の名前を呼んであげることが俺らにとっても美凪にとってもベストなのだろう。



244 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:12:05.43 ID:MzdjVTRc0.net
少し遠くに見える駅周りの繁華街の明かり、美凪と訪れたひまわり畑、樋口とも絵の勝負をした場所などを眺めながら走る。

夜なのに、そこら中の民家から風鈴の音が聴こえた。



245 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:13:14.25 ID:MzdjVTRc0.net
やっと公園に辿り着いた。

佐野が付けていた腕時計の針は7時30分を指していた。

東屋を目指してもう少し走ると、やっぱり人影が見えた。

美凪がしっかりとそこにいた事にもだが、一番は夜の東屋でなのに、美凪がもうタバコを吸っていなかったことに安心した。

もう寂しくはないんだなって思うと、えも言われぬ嬉しさが俺の全身を包んだ。



246 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:13:38.74 ID:MzdjVTRc0.net
美凪「やっぱり来た、待ってたよ〜!」

俺「おまたせ、最後の夜だからみんな連れてきたwwwwww」

樋口「久しぶり美凪ちゃんwww 民宿抜けてきたwww」

吉田「またギター弾きに来たぞwwwwww」

佐野「よし、樋口、花火だせ!」

樋口「そうだな、皆で花火でもやるかwwwwww」



247 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:13:59.47 ID:MzdjVTRc0.net
岩で傷ついた吉田のギターケースや佐野のボロボロのサンダル、樋口の擦り傷がいつもよりかっこよく見えたなぁ。

佐野がバケツを用意してきて、樋口がみんなに花火を配っていった。

線香花火とかロケット花火が詰まってたかなり大きい花火セット。

樋口、これを抱えながらよくここまで走れたな。

吉田のギターが、RADWIMPSの 「有心論」を奏でてるうちに俺も準備をしてしまおう。



248 :名も無き被検体774号+:2021/08/15(日) 22:14:57.37 ID:MzdjVTRc0.net
まずは一番大きいロケット花火を上空に打ち上げた。

これ、最後のシメでやるやつなんじゃないか?とツッコミ入れながら花火を眺めた。

まるで水彩のような鮮やかな色の花火が夜の空で弾けて、パァンと気持ちのいい音を鳴らす。

俺「すげえwwwwww 結構本格的だwwwwww」

美凪「こんな花火初めてやったなー!みんな、ありがとうー!」







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