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今日、彼女の父親は死ぬ
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1 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:14:44.26 ID:7//OxQ26.net[1/87]
これから話すのは多分、とてもよくある話なんだと思う。
運命石の扉や、昨日の公園、八月十五日の午後十二時半、少し考えただけでもたくさん思いつくくらい本当によくある話なんだ。
2 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:16:19.94 ID:7//OxQ26.net[2/87]
ただ一つだけ違うのは、どうやら僕のヒロインは大人しく死んじゃうような簡単な子ではなかったってことかな。
それが最後まで僕を苦しめるわけなんだけど。
5 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:17:57.26 ID:7//OxQ26.net[4/87]
僕には幼馴染がいる。
九月十七日、今日、彼女の父親は死ぬ。
彼女の手によって。
そうなるはずだった。
6 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:18:14.64 ID:7//OxQ26.net[5/87]
その子とは幼稚園の頃からの知り合いで、中学は別々だったけど高校でまた一緒になった。
高校では割とよく話したし、仲も良かったと思う。
だから僕は彼女のことを理解しているつもりだった。
でも違った、僕は彼女のことを何一つわかっちゃいなかったんだ。
7 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:18:39.83 ID:7//OxQ26.net[6/87]
彼女が父親を殺した理由は虐待だった。
彼女の父親は昔はいい人だったんだよ、少なくとも僕達が小学生だった頃は、とてもいい父親だったと思う。
僕も何回か彼女と一緒に遊びに連れてってもらったんだけど、理想の父親って感じだった。
8 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:19:02.35 ID:7//OxQ26.net[7/87]
でも、彼女が中学生になって少しした頃、彼女の父親は豹変したらしい。
彼女の母親が亡くなって精神が不安定な時に、ちょうど会社もリストラされたそうだ。
そんな不幸が続き、おかしくなっちゃって彼女に暴力を振るうようになったとニュースでやっていた。
10 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:19:43.28 ID:7//OxQ26.net[8/87]
それから彼女はずっと暴力に耐え続けた。
でも、何かがプツッと切れたのかな、彼女は父親を殺した。
包丁で何回も何回も刺して遺体はぐちゃぐちゃになっていたんだってさ。
「長年の恨みがこもってたんでしょうね」
って変な名前のコメンテーターが言ってたよ。
11 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:20:05.73 ID:7//OxQ26.net[9/87]
本当に情けない話なんだけどさ、僕はそんなになるまで追い詰められていた彼女に一切気づかなかった。
彼女が父親を殺した前の夜も会っていたのに、僕は彼女の異変に気付くことができなかったんだ。
12 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:20:35.70 ID:7//OxQ26.net[10/87]
もし僕が彼女の異変に気付いていれば、こんなことにはならなかったんじゃないかって何度も思った。
ずっと近くにいた僕ならそれができたはずなんだ。
僕は自分を呪ったよ、なんで気づけなかったんだって。
何度も何度も思った。
できることならやり直したいと思った。
頼むからやり直させてくれと。
13 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:21:11.32 ID:7//OxQ26.net[11/87]
そんな風に思い続けて何日か経った頃かな、僕にチャンスが与えられた。
15 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:21:36.89 ID:7//OxQ26.net[12/87]
朝起きたら事件がおこる一週間前、九月十日に時が巻き戻されてたんだ。
最初何が起きたのかわからなかったよ。
何が原因でこうなったのか見当もつかなかった。
でもそんなことはどうでもよかった、とにかく僕は、彼女が父親を殺す一週間前に戻ってこれたんだ、とても都合のいいことにね。
神様がいるなら僕に相当優しいなと思ったよ。
16 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:22:16.13 ID:7//OxQ26.net[13/87]
こんなチャンスを絶対に逃してはいけないと思った。
だから僕は決めた、彼女に父親を殺させないと。
僕は彼女を守るために、虐待をする最低な父親を守ると決めたんだ。
17 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:23:21.95 ID:7//OxQ26.net[14/87]
それで僕はとりあえず学校に行くことにした。
教室に入ると彼女はいつもの席で、いつもの顔で、いつものように僕に「おはよう」と言った。
その笑顔は、虐待をされて一週間後に殺人をするなんて一切感じさせない、とても綺麗な笑顔だったよ。
でも僕は知っていた、
彼女は今虐待を受けていると、それを周りに知られないように隠していることを。
僕はこの笑顔を本当の笑顔にさせなきゃいけない、そう思った。
18 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:23:41.21 ID:7//OxQ26.net[15/87]
僕が何をしなくてはいけないか、それを考えるとやっぱり一つの考えに収束したんだ。
彼女への虐待を止める、これしかないと思った。
彼女の殺人を止めるだけなら他にも方法はあるかもしれない、
あの日彼女と父親を離れさせればいい、物理的に殺人を不可能にするんだ。
でもそれは根本的な解決にはならない、
結局、虐待を止めない限りこの問題が解決することはないんだ。
19 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:24:08.32 ID:7//OxQ26.net[16/87]
そのためにまず、彼女に全てを打ち明けてもいいと思ってもらえるくらい、信頼してもらえるようにさせることにした。
全てを話してもらえれば、いろいろ協力できることもあるだろうと思ったんだ。
20 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:24:28.28 ID:7//OxQ26.net[17/87]
放課後、僕は彼女と一緒に帰ることにした。
たまに途中で会って一緒に帰ることはあったけど、僕から誘ったことはなかったので、彼女は少し驚いていたが、笑顔で了承してくれた。
22 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:25:30.23 ID:7//OxQ26.net[18/87]
帰り道僕が「少しどこかによっていかないか」と聞くと、また少し驚いた顔をされた。
「何それ、もしかしてデート?」
と彼女が笑いながら返してきたので、
「そうかもな」
と真面目な顔で返事をした。
23 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:25:58.31 ID:7//OxQ26.net[19/87]
正直、僕は自分が彼女のことをどう思ってるのかわからなかった。
好きか嫌いかで聞かれたら「好きだ」と答えるだろう。
でもその感情が何から来るものなのかわからなかった。
ただ、そういう関係になれば、虐待のことも話しやすいかなとこのときは思ったんだ。
今思えば最低な考え方だな。
24 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:27:37.50 ID:7//OxQ26.net[20/87]
真面目な顔で返事をした僕に、彼女は一瞬戸惑ったようだったが、すぐに返事をしてきた。
「嘘だね、嘘ついてる時の顔してるよ」
彼女の目は僕の考えを見透かしているような気がして少し怖かった。
だから僕はまた軽口で返した。
「ああ、悪い、でもどっか行きたいのは本当だ」
「ふーん、まぁ、いいや。で、どこ行くの?」
彼女の顔にはまたいつもの笑顔が戻っていた。
僕はその顔に少し安心して、どこに行くかを考えはじめたんだ。
25 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:28:02.71 ID:7//OxQ26.net[21/87]
結局、大した行き先は思いつかなくて、学校から少し離れたとこにある店でアイスを買った後、その近くの公園で食べることにした。
こんな計画性のないデート、本当にデートだったら完全に愛想を尽かされるプランだろうな。
そんなことを思っていたら彼女にも同じことを言われた。
27 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:29:32.18 ID:7//OxQ26.net[22/87]
あまり大きい場所ではなかったけど、公園には割と人がいたな。
僕たちは空いているベンチに座って、話しを始めた。
28 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:30:05.59 ID:7//OxQ26.net[23/87]
「おいしいね、これ」
彼女は手に持っているソフトクリームを舐めながらそう言った。
これがまた、絵になるんだよな。
少女×ソフトクリーム×公園、ちょっと想像してみてよ、どんな美しい風景もこの光景には負けるんじゃないかなって思うよ、僕は。
29 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:30:33.62 ID:7//OxQ26.net[24/87]
「そうだな、店は怪しかったけどな」
ソフトクリームを買った店は、ログハウスで外から見ると謎の雰囲気を醸し出していた。
「確かに、でもああいうの男子は好きなんじゃないの? ほら、隠れ家って感じでさ」
まぁ、そう言われたら『男子』としては言い返せないところはあったね、僕もそういうのに憧れる『男子』の一人だったみたいだ。
31 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:31:02.54 ID:7//OxQ26.net[25/87]
「それにほら、お店の人もいい人だったじゃん。磯崎さんだっけ?」
「ああ、あの人はまさにいい人って感じだったな」
「でも意外だったな」
「意外?」
「あんたがあんなに人と話すとは思わなかった。ああいう話しかけてくる店員とか嫌いだと思ってたから」
32 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:31:28.38 ID:7//OxQ26.net[26/87]
それは確かに自分でも不思議だった。
僕は基本内向的だからね、フレンドリーな人は苦手なんだ。
服屋とかで話しかけてくる店員は遠慮したいタイプだしね。
でも、あのお店であの人が話しかけてきた時、不快な感覚はなかったんだ。
33 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:31:50.52 ID:7//OxQ26.net[27/87]
「あの人がいい人だからじゃないか?」
結局、考えてもなぜあの人は大丈夫だったのかわからなかったので、思ったまま返事をした。
「そっか」
そう言った後、彼女の目は砂場を見ていた。
34 :名も無き被検体774号+@\(^o^)/:2016/03/26(土) 20:32:47.32 ID:7//OxQ26.net[28/87]
砂場では、四十代くらいの男性と、小学生くらいの小さい女の子が遊んでいた。
多分親子だろう、誘拐犯と少女って線も捨てきれないけどね。
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